ボクとアイツと俺
木暮香瑠:作

■ 週末の憂鬱5

 棚田は早速ズボンを脱ぎ下半身を晒す。
「さあ志穂ちゃん、始めようぜ」
 志穂の目の前に棚田は、分身を見せつけるように腰を持って来た。
「どう? 気持ちよくなれそうだろ?」
 突き付けられた怒張は佐々木ほどの大きさはないが、カリが大きく張り出していてまるで毒蛇の頭のようだ。

「コッ、コンドームは着けてください」
 今すぐにでも始めそうな勢いの棚田を志穂は制した。
「ええーー、やっぱり? 俺、生じゃなきゃ逝けないんだけどな」
 勢いでナマで始められないかと思っていた棚田は残念そうに顔を顰める。その代わりとばかりに棚田は、
「じゃあ着けてよ。ただし手は使わずネ。口で着けて」
と、志穂に注文を付ける。
「!?」
 驚く志穂を尻目に、棚田は昨日の残りのコンドームの箱を持って来た。

「そのかわいい口で着けるんだよ。ソープ嬢みたいにさ」
「彼氏に喜ばれるよ、口で着けてあげたら。さあ、彼氏を喜ばせる練習だと思って……」
「ソープでバイトも出来ちゃうんじゃない? こんなにかわいい子が口で着けてくれるってなれば評判のソープ嬢になれるぜ」
 棚田の提案を男たちは面白がり、茶々を入れる。

「イヤッ……」
 顔の前に突き出された肉根の鼻を衝く臭いに志穂は顔を背けた。
(そ、そんなはしたないこと……出来ない、ボク……)
 志穂には、男性器を口で咥えるなんて考えられない。フランクフルトを咥えることさえ、それがフェラチオの練習だと言われ恥ずかしくて動けなくなった。それなのに、顔の前には本物の肉根が嫌な臭いを放ちながら刃を向けている。

「いいのかな? 俺たちに逆らって……。写真はいつでも送れるんだよ」
 棚田はスマホを手にする。顔を背けた志穂に脅しをかける。
「学習しないなあ。一々文句言うの止めようよ。そろそろ諦めて素直に従ったら? 一ヶ月だけなんだし……。楽しまなきゃ損だよ、お互いに……」
「そうそう、どうせ命令には逆らえないんだし……。結局いうこと聞くんだろ? それともツンデレなのかな?」
「それとも無理やり犯してほしいのかな? それはそれで、俺たち燃えちゃうけど?」
 棚田に加勢するように佐々木たちも志穂をからかいながら追い詰めていく。志穂は嫌々棚田の差し出す箱を受け取った。

(ゴム着けるのなんて最初だけさ。あれだけ感じやすい身体してんだから……、気絶するほど感じさせたら、後は……ナマでやり放題だろう)
 仲間全員が同じ考えでいた。ニヤニヤと笑う顔がそれを物語っていた。

 袋から取り出したコンドームを見つめる志穂。保健の授業で取り付け方は習ったことがある。しかしそれは、手での装着方法だ。恋人である圭一にでさえ自ら着けたことはない。圭一は自分から進んで着けてくれた。自分で装着することさえ憚られるのに、それを商売女のように口を使って着けなくてはならないなんて……。それを口でするなんて……どうすればいいの? 戸惑いコンドームを見つめる志穂。
「早く着けてくれないと、ナマでやっちゃうよ」
 棚田が脅しをかけ急かす。
「ほら、ザーメン溜まりを口に咥えて……、唇で扱くみたいに被せりゃいいんだよ。公園で練習しただろ?」
 志穂は意を決してコンドームの精液溜まりを唇で挟んだ。

 コンドームを口に咥え、装着しようと棚田の前で前屈みになる志穂。
 ウイッグのロングヘアがはらりと顔を隠すように垂れた。
「志穂ちゃん、髪をかき上げて! 顔が隠れちゃうよ」
 ビデオカメラを構えた楠木が言う。
「こんなの……撮らないで」
 キッと志穂は楠木を睨む。
「ああ、反抗的な態度とった。そんなこと言える立場なのかな? 志穂ちゃんは」
「うっ、……」
 言われたとおりに志穂は、ウィッグの髪を掻き上げ後ろに流す。そして、カメラを構えた楠木を睨んだ。涙を湛えた潤んだ瞳が醸し出す少女の色気をカメラのレンズが捕らえていく。

「志穂ちゃん、濡れてねっ? 俺たちに見られて感じちゃった?」
 屈んだ志穂の後ろ見回りミニスカートの中を覗き込んだ木下が、パンティにできた染みを見つけ声を上げる。
「違げえよ。これから俺のチ○ポ、オマ○コで咥えること想像して濡れてんだよね、志穂ちゃん。へへへ……」
 屈んだことでミニスカートからお尻と薄い布に包まれた柔肉の膨らみが佐々木たちの目に晒され、それを目にした男たちが志穂の心を逆なでするような冗談を言う。

 自分は何をしているんだろう。これから行われる男女の交わりの準備を自分でしている。それも男たちにからかいの言葉を浴びせられながら……。恋人の圭一にもしたことない行為が背徳感を煽る。

 キスをするように唇に咥えたコンドームを亀頭に宛がう。そして、亀頭のカーブに沿って唇を滑らせていき巻かれたコンドームを被せていく。しかし、唇で被せようとしても、根元まで咥えきらない。先端が喉の奥に触れ嘔吐しそうになる。吐き出しそうになる。
「ほらっ、なにやってんの。横からフルート咥えるみたいに唇でさ。舌も上手に使わなくちゃ、へへへ……」
 志穂は、言われたとおりにフルートを吹くみたいに竿を横に咥え唇と舌で少しづつ根元近くまで装着していく。
「最後までしっかり着けようね。チ○ポ咥えて、唇締めて根元まで……」
 棚田は、慣れない作業にはあはあと息をする志穂の口に怒張を咥えさせ、そして一気に押し込んだ。
「うぐっ、うぐぐぐ、ううっ……」
 喉奥を亀頭で突かれ苦しそうに喘ぐ志穂をせせら笑うように男たちは声をかけた。
「歯を当てないようにね。破けちゃうと大変でしょ? せっかく着けたんだから……、へへへ……」
「孕みたくなかったら言うこと聞こうね」
「うぐぐぐぐ……、うぐぐ……」
 喉の奥深くを怒張で擦られ志穂は、苦しさからくぐもった悲鳴を上げた。

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