ボクとアイツと俺
木暮香瑠:作

■ 疑惑の日焼け跡3

「今度は前、塗ろうね。仰向けになって」
 仰向けに態勢を変えた志穂の肌に棚田の手が添えられる。
「ちょっとおまけね」
 添えられた手が胸を揉むと柔肉はムニュムニュと淫猥に波打つ。胸の柔肉に麓から円を描くようにクリームを塗りこんでいく。そしてその手は徐々に胸の頂へと近づいていく。

 水着の下に入れられた手が、日焼け止めクリームを塗りこむように胸の頂点を弄る。
「あっ、あんっ、うんっ……」
 志穂は漏れる声を飲み込んだ。慌てて周りを見渡す志穂の目に映るのは、軽蔑の眼差しを向ける女性たち、好奇の視線を送る男たちだ。
「イヤッ!!」
「あれえ? イヤイヤ言いながら乳首勃ってねえ? コリコリしてるぜ」
 胸を弄る手は、固くなった突起を確かめるように何度もクリームを塗る振りをして愛撫すように乳頭を擽る。
「うんっ、ううっ……」
(だ、だめ……。そんなにイジメないで、乳首ばっかり……)
 棚田は志穂に喘ぎ声を上げさせようと指先でクリクリと弄る。そして指先で乳頭を押し込むと、志穂の唇が開く。
「うっ、ううっ、んっ……」
 志穂は堪え切れずに喘ぎ声を漏らした。

「ほら、水着をこんなに押し上げてるぜ」
 棚田は勝ち誇ったように目の前の志穂の胸を見つめている。手が抜かれた指差した先では、胸の頂点を隠す水着の帯がはっきりと尖っている。
「じゃあ、次、塗ろうね」
 そしてクリームを掌に載せると、塗る手はお腹から下半身へと移っていく。志穂は、身体の上を這う手の感触のムズムズとする刺激に身を捩りながら耐えていた。
「へへへ、大事な所も塗っておかなくちゃね」

(あっ! 濡れてる……)

「だめっ!!」
 志穂は大きな声を上げ、股間に忍び込もうとする棚田の手を制した。
「もう、その辺にしとけ」
 困った顔の志穂に助け舟を出したのは佐々木だった。
「ちぇっ……」
 棚田は名残惜しそうだったが佐々木に従った。
 顔を真っ赤にした志穂は、両手で股間を覆っている。二の腕がたわわな胸肉を押し寄せ、今にも胸の頂点を隠している水着の帯がずれそうにしながら……。

「ボート乗るぞ!」
 佐々木は顔を真っ赤にした志穂の手を取り、引き起こした。
「じゃあ俺たちも……」
「お前たちは待ってろ」
 棚田たちを制して、志穂と二人で貸しボート場に向かった。



「あああ、自分だけ楽しもうとして……。佐々木のヤツ、アイツに惚れたんじぇね?」
「確かに良い女だもんな。オッパイはでかいし、スタイルはいいし、顔も良しときたら惚れても不思議じゃねえな」
「あそこの締りもいいし感度抜群だもんな、あの娘……」
 二人が乗ったボートが沖に進むのを見ながら棚田たちは語り合った。



 佐々木の漕ぐボートは沖にみるみる進む。海岸で遊んでいる海水浴客の姿が豆粒のように小さくなる。志穂も浜辺の人混みのから解放され、少しは気が落ち着いてきた。
 漕ぐのを止めた佐々木は志穂に向かって言う。
「一発抜いてくれよ。こんなになっちまった」
 佐々木が指差す股間では、怒張が海水パンツを押し上げている。
「えっ? 見られちゃう……」
 たとえどんなに人混みから遠くても炎天下の下の行為には気が引ける。
「どうせ何してるか判らねえよ。あんなに離れてるぜ」
 佐々木が指差す通り、こちらから見られる浜辺の景色は人の姿も小さく何してるかは判らない。同様に浜辺から見える佐々木たちの姿も、ボートに人が乗っていることは判るが何をしてるかまでは判らないだろう。でも志穂には不安だった。今までもはしたない女として見られ続けている。少しでも不審な動きに気付かれたら、浜辺の客たちはいろんな妄想を巡らせ噂に火が付くだろう。
 しかし、そんなことを考えるだけで身体の芯が熱を帯びる自分がいた。

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