ボクとアイツと俺
木暮香瑠:作

■ 最後の日1

 圭一は志穂との待ち合わせ場所で時計を気にしていた。約束の時間を5分ほど過ぎていた。
「お待たせえー」
 手を振りながら、志穂は圭一のところに小走りにきた。はあ、はあと息をする志穂は頬を紅く染めていた。
 オフショルダーTシャツにフレアのミニスカートというファッションで身を包んだ志穂の姿は、いかにも今どきの女子高生らしい夏らしいものだった。しかし、今までボーイッシュな恰好の志穂しか知らない圭一に驚き与えるには十分である。オフショルダーTシャツはピチッと志穂の身体に貼り付き、その大きな胸の形を顕わにしている。スカートは軽い生地のフレアスカートは、健康的なすらりと伸びた脚をこれでもかと晒している。風がスカートを揺らせば、その下の下着が覗きそうなくらい短い。
「顔赤いぞ。熱でもあるんじゃないか?」
 圭一は、ドキドキしていた。ボーイッシュな志穂しか見てこなかった圭一には。それほど今日の志穂のファッションは刺激的で魅力的だった。いつもと違うファッションと頬の赤い志穂に照れる自分の気持ちを隠すかのように、茶化す言葉を吐いた。
「ううん、遅れそうになって走ってきたから……」
「そう? じゃあ、行こうか」



 この10分前、志穂は佐々木たちと人気のないビルの陰で会っていた。

 約束の一ヶ月、その最終日。志穂がデートに際して、佐々木から出された条件は、デートに佐々木たちがばれない様に着いてくることだった。それだけではない。途中、彼らが呼び出せば、彼らの悪戯に付き合わなければならないというものだ。

「ちゃんと浣腸して、腸の中、綺麗にしてきただろうな」
 浣腸して調の中をキレイにしてくることも、露出の多い指定のファッションで来ることも、ノーパンノーブラでで来ることも条件になっていた。
「ケツだしな。俺たちからデートを楽しくする玩具のプレゼントだぜ」
 そういうと突き出された志穂の二つの穴に卵型ローターを押し込んだ。そして佐々木はポケットに忍ばせていたコントローラーのスイッチを押す。
「ヒイッ……」
 志穂は頭を仰け反らせ、身体を震わせる。そして弱々しく首を横に振る。
「ううっ、こ、こんなんじゃデートなんて……できない」
「するんだよ、デート。楽しみにしてた彼氏とのデートだろ?」
 恫喝のように低い声が志穂に投げかけられた。

「スマホはバイブに設定しておけよ。呼び出されたら、すぐに来いよ」
 志穂を呼び出す合図も打ち合わせ済みだ。
「心配するな。ばれるほど長い間、呼び出したりしないから。それも志穂ちゃんの協力次第だけどな」
「さあ、行った行った。彼氏が待ってるぜ」
 志穂は、佐々木たちに多くの人が行きかう通りに押し出された。



「じゃあ行こうか」
 志穂は圭一に手を引かれ歩き出す。バイブは動いていないが、二穴、膣とお尻にはローターを入れて恋人である圭一の横を歩いている罪悪感が志穂を責める。ミニスカートにノーパン・ノーブラで歩いてることの恥辱に身体が熱くなる。周りの人たちの視線が全て自分に向けられてるように感じて……。

「あの映画、志穂が見たいって言ってたアニメのやつ。今週いっぱいやってるって……」
 圭一は久しぶりのデートに口も軽かった。志穂が普段とは違い女の子らしいおしゃれをしてきてくれたことも心を軽くさせていた。
「急ごう。始まっちゃうぜ」
「う、うん……」
 速足で大股になると、中に入っているローターのスイッチが入れられないか、ローターが落ちないか不安になる。ローターのスイッチも入れられることなく映画館に着いた。

 映画館の中は性が半分ほど空いていた。人気映画ではあったが、公開終了間近ということもあり、公開当初の満席札止めという状況から解放され落ち着いてみることができる状況だった。志穂と圭一は、真ん中あたりの席に着いた。

 映画が始まり、30分ほどが過ぎたところでスマホが震え着信を知らせた。

「ちょっと……トイレ行ってくるね」
 志穂は圭一にそう告げて席を離れた。出口に向かって階段を登っていくと最上段の通路で佐々木たちが待っていた。
「いらっしゃいーーー。彼氏と楽しそうに歩いてたねえ」
 棚田が手招きし志穂を呼び寄せる。
「手着いて、ケツをこっちに向けな」
 佐々木は最後尾の席の背もたれを指差し手を着くように指示する。
「こんなところで……? 気付かれちゃう……」
 後ろの方の席には客はいなかったが、それでも5席ほど前にはちらほらと客がいた。
「さっさと済ませちゃおうぜ。あまり待たせると疑われちゃうぜ」
 ニヤニヤとした笑顔で棚田が急かす。
「さっさとケツ出せよ。言うこと聞かないと約束は反故にするぞ。今ここで彼氏に全部ばらしていいのか?」
 躊躇する志穂を佐々木は背中を押す。
「あっ……」
 小さな声を発し前のめりにつんのめった志穂は、目の前の背もたれに手を着いて身体を支えた。

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