千佳
木漏れ日:作

■ 22

「嘘…。」
「信じられない?」
私は黙って肯いた。
「じゃあ証拠見せてあげる…。」
「証拠って?」
私は抵抗した。

看護師は笑みを浮かべたままゆっくりスカートを上に上げた。
白いストッキングは膝の上で終わりその上は素肌だった。
更に上がるとオ〇ンコが現れた。
キレイな一本の縦筋だった。

「どう?」
私は更に抵抗した。
「さっきショーツ脱いだかも知れませんよね?」
「強情ね…。」
「生まれつきですから!」
「そう…じゃあここ見て…。」

看護師は私の横に来ると更にスカートを上げた。
ウエストの部分に目をこらした。
ショーツのゴムの跡がない。
ショーツを毎日穿いているとどうしてもゴムの跡が残る。
それがないのはショーツを着けない人だからだ。

「私と同じだ…。」
思わず呟いた。
「分かった?」
「ハイ…。」
「あの…。」
「ん?」

「何時からなんですか?」
「露出の事?」
「ハイ…。」
「5歳位からだわね…。」
「詳しく聞かせて下さい…。」
「また今度ね! もう寝なさい…。」

「もう一つだけ…。」
「なぁに?」
「毛どうしたんですか?」
「永久脱毛したの…。」
「痛いですか?」
「痛くはないわ…。」

そう言い、
「お休み」
と言って私に服を着せ部屋を出て行った。
胸のプレートには伊藤と書いてあった。
私もあんな女性になれたらいいな。
そう思った。

その伊藤さんに話しを聞くチャンスは来ないまま10日後私は退院した。
後で聞いた話によると伊藤さんは結婚退職したそうだ
しかも相手は私の担当のあの先生だった。
なぜそれが分かったかというと、ある日私はバス停で声を掛けられたからだ。

「千佳ちゃん、元気?」
振り返ると伊藤さんが立っていた。
「何で突然居なくなったんですか?」
私は伊藤さんが退職した事を知らなかった。
私の退院後あの先生も辞めていた。
私は置いてけぼりにあった気がして寂しかった。

「酷い…。」
私はそう言って伊藤さんを見つめた。
「千佳ちゃん…。」
「ハイ?」
「時間ある?」
「ありますけど…。」

「じゃ一緒に来て…。」
「いいですけど…。」
伊藤さんはスタスタ歩き出した。
「あの…。」
「ん?」
「家に電話していいですか?」

「ああそうね…。」
私は携帯を取り出し家にかけた。
「あ、お祖母ちゃん…私これからちょっとお友達と逢うから…そんなに遅くならないと思うけど」
私は電話を切った。
連れて行かれた所はマンションだった。

伊藤さんは鍵を開けた。
「入って…。」
リビングに通された。
室内はきれいに片付いていた。
「誰のお部屋なんですか?」
「後輩の子の部屋よ…。」

「ご本人は?」
「勤務中よ…。」
「そうなんだ…。」
「何か飲む?」
「いいんですか?」
「いいわよ…。」

「何でもいいです…。」
「じゃ用意するから待ってて…。」
伊藤さんはキッチンの方へ行った。
暫くして戻って来た。
トレイにコーヒーとクッキーが載っていた。
「コーヒー大丈夫?」

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