千佳
木漏れ日:作

■ 31

タオルで体を拭いた。
寒気は無くなっていた。
廊下に出る。
外には日差しがあふれていた。
ふと母の部屋に行った。
そこに母の鏡台があった。

鏡台の前に立った。
掛けてある布を外す。
真っ裸の私が写っていた。
まだ乳房は膨らんでいない。
真っ平らだ。
アソコにも毛は無い。

あるのは深くクッキリと刻まれた縦筋。
それだけだ。
しかし飽きる事なく眺めていた。
何時か本で見た水着の写真。
(あたし…あんなふうになれるの?…)
そう思った。

(あたしのからだ…女の子のじゃないみたい)
そう思った。
では何故眺めているのか?
理由は自分でも分からない。
好奇心。
それもあった。

自分の体がどうしてこんな姿なのか…。
それ以上の訳があった。
(気持ちいい…。)
そう思う。
(モデルさんてこんな気持ち?)
だから鏡の前から離れる事が出来ない。

自分でもそうかも、と思う。
実はこうして鏡の前に素っ裸で立つのは今日が初めてではない。
今日で3度目だ。
(もうやめよう…。)
何度もそう思う。


何かの力に惹かれる様に鏡の前に立ってしまう。
玄関の方で音がした。
ビクっと肩が動いた。
慌てて自分の部屋に戻る。
浴衣を着る。
「泰ちゃん…。」

「はぁ〜い!」
返事をして居間に向かう。
母親が買い物したものをしまうところだった。
テーブルの上におやつがあった。
「食べて良い?」
「いいわよ…。」

内心思った。
(よかったばれなくて…。)
食べたあと部屋に戻った。
宿題をしていてもあの事が頭から離れない。
手を止めてちょっと触ってみる。
少し湿っていた。

左手で触りながら宿題を続けた。
風呂と食事を終わり自分の部屋に戻る。
布団に入る。
今夜はおとなしく寝る事にした。
寝巻きもキチンと着た。
目を閉じる。

なかなか寝る事が出来なかった。
でも触る事はなかった。
何時の間にか眠った。
こんな夢を見た。
私は草原に居た。
何も身に着けていなかった。

向こうの方から人が近づいてきた。
男の人だ。
20歳位に見えた。
彼は私に、
「何ではだかなの?」
と聞いた。

「気持ちいいから…。」
「見られたいんだね…。」
私は思わず頷いた。
「じゃ仰向けになって…。」
私は素直に指示に従った。
彼は足を開いてアソコを見た。

アソコが熱い。
そこで目が覚めた。
体が熱かった。
アソコに触る。
太股まで垂れていた。
(お漏らししちゃった…。)

最初、そう思った。
部屋の明かりを点けて良く見た。
太股に指で触れてその匂いを嗅ぐ。
おしっこの匂いはしなかった。
アソコと太股を拭いた。
それから明かりを消した。

しかし眠れなかった。
いろいろ考えた。
(あたし見られたいのかなぁ…。)
そう思った。
翌朝。
起こされた時、遅刻寸前だった。

授業中も全然集中出来なかった。
泰子ちゃんの話が終わった。
「泰子ちゃんあたしも同じだよ、男の人に見せたいって思うもん…。」
しのぶちゃんがそう言うと、
「あたしも…。」

と美弥ちゃんが言った。
……「今夜はこれぐらいにしましょ…。」
しのぶさんは穏やかな笑顔でそう言った。
そして、
「お休みなさい…。」
と私の部屋を出た。

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