千佳
木漏れ日:作

■ 34

ここにも女性が待っていた。
「これを着てみて…。」
制服を手渡す。
制服は紺でスカートはミニだ。
その服は私の体にぴったりだった。
続いて黄緑色のリボンを渡され、

「これからその色があなたの色だから…。」
と言われリボンの付け方を教わった。
ソックスを履くと、先程の女性が入ってきて、
「教室に行きましょ皆に紹介するわ…。」
部屋を出て教室に行った。
中に居る人が一斉に私を見た。

「今日から私達のお仲間の〇〇千佳さん、皆仲良くしてね。」
担任らしい女性が言った。
「はーい…。」
「千佳さんの席は楓さんの隣ね…。」
「はい…。」

「授業始めるわよ!」
何が何だか分からないまま授業が始まった。
四時間目が終わった。
「お昼いこ…。」
楓さんが声を掛けてきた。
教室を出た。

廊下を右に曲がると「ランチルーム」とプレートが掛かった部屋があった。
皆並んで順番を待つ。
トレイを持って進み最後まで行くと食事が揃う仕組みだ。
トレイをテーブルに置き食事が始まった。

「ここ意外に狭いですね…。」
「時間をずらして食事するからよ…。」
楓さんが教えてくれた。
「楓さん私なにも分からなくて…。」
「大丈夫よ…心配しないで…。」
楓さんはにっこり笑った。

ランチが終わりトイレに行った。
驚いた。
扉がない。
しょうがないのでそのまま用を足した。
楓さんに、
「驚きました!ないんですね…扉…。」

「緊急の時閉じ込められない為だそうよ…。」
午後の授業が始まった。
5時間目が終わると次は体育だった。
捜したが体操着がない。
楓さんに聞くと、
「いらないのよ…。」

「え? どういうこと?」
私の質問に答えず、楓さんは服を脱いで裸になる。
服を椅子に掛け、
「急がないと遅刻よ、早く脱いで!」
そう言われ慌てて裸になる。
私だけじゃなく回りの人が皆裸だ。

脇の出入り口から外に出る。
クラス全員がグランドに整列した。
「今日はソフトボールを行います…。」
全員でグランドに散る。
少し体をほぐした。
うちのクラスは全員で20人。

じゃんけんで二つに分かれた。
楓さんは敵側になった。
試合が始まった。
先生は審判だ。
キャッチャーと審判だけプロテクターを着ける。
私はどきどきした。

全員試合に集中していた。
全裸なんて忘れていた。
(なんて体が軽いの…。)
そう思った。
試合が終わった。
2−1で私の居た方が勝った。

皆活き活きとした顔をしていた。
シャワーに行った。
広い部屋だった。
シャワーを浴び体を拭いて教室に戻る。
満ち足りた気分だった。
全員で教室の掃除をする。

そのあと服を着て校門前に集合した。
校門の前に2台バスが停まっている。
「スクールバスよ…。」
楓さんが教えてくれた。
「千佳さん…。」
担任が近づいてきた。

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