千佳
木漏れ日:作

■ 40

少女の手は小さい。
私達は志穂の運んできたお茶を飲み果物を食べる。
「志穂ちゃん…。」
「はい?」
「いつもその格好なの?」

「はい、お屋敷の中では…。」
「なぜ?」
「何も隠していないのを示す為です…。」
「あなただけ?」
私以外にあと2人だけです…。」
後の人はこの部屋に入れないの?」

「そうです…。」
「志穂はあなたに付き添うのが仕事なの…。」
「そう…志穂さん悲しくない?」
「いえ! ご主人様が出来て嬉しいです!」
志穂の言葉に嘘はなさそうだ。
「志穂、下がっていいわよ…。」

「はい、失礼致します…。」
志穂はトレイを持って部屋を出て行った。
「驚いた?」
「はい、あの子あれでいいのでしょうか?」
「千佳の係りを申し出たのはあの子なの…。」
「え? そうなんですか?」

「そりゃそうよ…強制はできないもの…。」
「そうですよね…。」
そろそろ深夜である。
叔母が、
「お風呂入る?」
「はい…。」

私は叔母に言われて風呂場に向かう。
「こちらです…。」
着物姿の女性が出てきて案内してくれた。
脱衣して風呂に入る。
体を流して湯に漬かる。
軽く洗ってもう一度漬かり風呂を出る。

見ると私の着物は無く、浴衣が置いてある。
それを着て叔母の部屋に戻る。
「お風呂頂きました。」
「さっぱりした?」
「はい…あの…。」
「ん?」

「私はこれからもあの家で暮らすのでしょうか?」
「いいえ今日からここがあなたの家よ!」
「分かりましたお休みなさい…。」
「お休み…今案内させるから…。」
すぐに戸が叩かれた。
「こちらです…。」

さっきの女性が案内してくれる。
私達の足音で奥の部屋から少女が出てきた。
「お待ちしていました……。」
志穂はそう言った。
部屋に入った。
2部屋でどちらも洋室だ。

「志穂ちゃん…。」
「はい?」
「あなたのお部屋はどこ?」
「隣です…。」
「お風呂済んだ?」
「はい、先ほど…。」

「喉渇いたんだけど…。」
「こちらにあります…。」
手前の部屋のテーブルの横に冷蔵庫があった。
志穂はその中からボトルに入ったお茶を取り出した。
「あなたも飲んだら?」
「ありがとうございます……。」

2人でお茶を飲んだ。
「志穂さん…。」
「志穂って呼んで下さい…。」
「じゃあ志穂…。」
「はい…。」
「さっき私の事主人って言ったわよね?」

「はい…。」
「じゃ私の命令聞ける?」
「はい…。」
静かだが意思のこもった声だ。
「真っ昼間裸で外歩ける?」
「安全が確認出来れば…。」

「どういう事?」
「裸で歩くのは構いません、でもあなたに危険が及ぶと困ります…。」
「安全ならいいの?」
「はい…。」
「しちゃいけない事ってある?」

「私の命を奪う事です…。」
「後は?」
「むやみに心と体を傷つける事です…もし志穂
の事がお嫌いなら別の人をお選び下さい…。」
「志穂…。」
「はい?」

「私の事どう思う?」
「お優しいと思います…。」
「それから?」
「強い露出癖をお持ちですね…。」
「志穂…。」
「はい?」

「一緒に寝ようか?」
「それがお望みなら従います…。」
「ホントはイヤ?」
「いいえ…。」
「志穂…。」
「はい?」

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