俺だけの肉奴隷
木暮香瑠:作

■ 決行の日は来た1

 耕市は、自分の部屋から絵里香の部屋を見た。
 二人は、家が隣同士でもあり、幼なじみであり、高校も同じ進学校に進んだ。お互い2階に部屋があり、向かいあっているため、窓越しによく話しもした。

 絵里香は、部屋には居ないようだ。耕市は、目線を斜め下に落とした。絵里香の姉の裕子が、車に載りお母さんと出かけるところだった。それを絵里香は、玄関から見送っていた。車の窓越しに絵里香のお母さんが声を掛けた。
「絵里香、戸締まりはちゃんとするのよ。あさっての夕方には戻ってくるから……」
「わかってる。もう、子どもじゃないんだから」
「だから心配してるのよ。わかったわね」
「はいはい」
 笑顔で絵里香が答えた。お母さんも、信頼を寄せた笑顔を返して、車は出ていった。

 絵里香は、高校三年生で、小学生の頃からピアノを習っていて、中学の時、練習が近所迷惑にならないよう部屋を防音室にしたくらいの入れ込みようだ。コンクールでも、いつも上位に入賞するくらいの腕前である。
 耕市とは、小学校の時、隣に引っ越してきた時からずっと仲のいい幼なじみだ。
 ニ歳年上の姉、裕子、輸入雑貨を扱う店を経営している母のちずると3人で暮らしている。3年前、輸入商をしていた父親をなくした。お母さんの輸入雑貨店は、父親が輸入商をしていた関係で、輸入雑貨を安く仕入れるルートを確保していて、3人が暮らしていくには十二分な収入があるようだ。
 姉の裕子は、大学に入るとすぐ、車の免許をとって、免許のない母を手伝いはじめた。
 近所でも評判のいい親子である。特に娘2人は、美人姉妹として評判である。姉は親孝行で誰に対してもやさしく、妹は、笑顔を絶やさず、挨拶がきちんとできる娘と、近所のおばさん達からも噂されていた。
 幼なじみの耕市も、絵里香と仲のいいことは自慢だった。

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