俺だけの肉奴隷
木暮香瑠:作

■ 決行の日は来た2

 耕市は今朝、家の前で絵里香の母と会った。
「おばさん、おはよっ」
 おばさんと呼ぶことをはばかるほど絵里香の母、ちずるは若く見える。39歳になると聞いているが、若者相手の商売をしてることもあり、いつまでも若さを保っている。絵里香、裕子と三姉妹といっても通るくらいだ。
「おはよう、耕市くん。今朝は早いのね。今日は暑いわね。もう、夏本番ね」
 そんな他愛のない会話をしていたが、
「あさってまで、留守にするの。心配だわ、絵里香一人にするの……」
 おばさんは、すこし心配顔になって話を続けた。
「韓国の雑貨も扱うことにしたの。それで、裕子と二人で韓国へ調査に出かけるの」
「韓国ですか? いいですね」
「裕子は試験休みだから……。耕市くんたちはこれからでしょう?」
「来週から期末試験です。」
 おばさんは当然知ってるだろうけど、と思いながらも耕市は答えた。
「女ひとりだけど、隣に耕市君がいるから大丈夫ね。気を付けてやってね」
 おばさんは、にこっとしてそう云った。耕市も、すこし微笑むように、そして、こくりと首を縦に振った。心の中で、絶好のチャンスだと思いながら……。

 三日前のことだ。学校の帰り道、耕市は絵理香から相談を受けた。お隣同士ということで、時間が合えば二人で帰ることも多かった。クラスメートからは、付き合ってるのか? と、冷やかされることも多かったが、耕市は、内心そう言われることがうれしかった。
 相談の内容はショックなものだった。
 絵理香のクラスメートから交際を申し込まれてるというのだ。
「どう思う? 悪いこじゃないと思うんだけど……」
 相手は生徒会長をしているヤツだった。
「俺じゃだめなの? 俺達、結構気が合うぜ。二人、付き合ってると思ってるやつも結構いるぜ」
 耕市は、すこし冗談めかして言ってみた。
「耕市と…? なんか違うんだな。兄弟? みたいな感じで…。
だって、私の裸見たことある男性って耕市だけだよ、お父さん以外…」
「小学生の頃の話じゃないか」
「小学生の時でも裸を見たのは耕市だけだよ。一緒に、よくお風呂、入ったもんね。
 それに、耕市、最近、Hだし。知ってるゾ。エッチな本見てるでしょう。私の部屋から丸見えだぞ」
 絵理香は、クスッと笑いながら言った。
「男なら誰でも見るよ。やつだって見てるよ、きっと」
 そう答えてはみたが、後は、何を話したか憶えてなかった。でも、絵理香を誰にも渡したくはなかった。

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