俺だけの肉奴隷
木暮香瑠:作

■ 制服で迎える絶頂3

 駅で電車を待つ間、英語の教科書を開いた。今日から、一学期の期末試験なのだ。一時間目が、英語の試験である。昨日のことを思い出してくるのを振り払うため、必死で英語の教科書に目を通した。なにも頭の中に入っては来なかったが、それでも、教科書に書かれている単語を黙読した。昨日の記憶が蘇ってくるのだけは避けたかったからだ。

 10分も待たなかったろう、電車が来た。絵理香は、ホームと反対側のドアのところの手摺りの横に立った。電車の中は、通勤のサラリーマンとOLでいっぱいだ。いつもより、一時間早い電車のせいか、学生はほとんど乗っていなかった。ドアが閉まりかけた時、耕市が、電車に飛び乗ってきた。
「絵理香、早いじゃないか……試験勉強かい?」
「こ、耕市……、どおして……?」
 一時間も早いので、耕市とは合わずにすむと思っていた絵理香は、耕市の出現に驚いた。
「期末試験だろ。静かな教室で予習しようと思ってね」
 明らかに嘘だと分かる返事をした。いつもは、始業時間ギリギリにしか、学校に現れない。絵理香が、学校に行く時、耕市の部屋の窓の下から、遅れないように声を掛けるのが習慣だった。耕市は、ドアを背に立っている絵理香の正面に立つ。手摺りと反対側の手を絵理香の顔の横からドアに突っ張り、絵理香の逃げ道を塞いでいる。

 次の駅で、乗客の数が急に増えた。満員の状態になった。耕市の背中が、満員の客に押され、絵理香との距離が接近する。耕市の胸が、絵理香の前髪に触れるくらい近づいた。絵理香は、顔を下に向けて、じっとたたずんでいる。小柄の絵理香は、耕市の陰になり、他の客からは、ほとんど見えないでいる。耕市の手が、制服越しに絵理香の胸に触れてきた。何かを確かめるように触っている。反対の手がスカート越しにヒップを撫でる。
「耕市、や、やめて……」
「命令を破ったね」
「だっ、だって、そんなこと……できない……」
「でも、命令だよ……。俺は、お前のなんだ?」
「なんでもない……。た、ただの、幼なじみよ……」
 下を向いたまま答える絵理香の顎を、手で上を向かせ、耕市の方を向かせながら、さらに、小さく低い声だが、語気を強めてさらに聞いた。胸を触っていた手が、強く胸を揉む。
「俺は、お前のなんだ?」
 耕市に見つめられて、絵理香の頭に、昨晩の記憶が蘇る。絵理香は、他の乗客に聞こえないよう、小さな声で答えた。
「やっ、やめて……、他のお客さんがたくさんいるわ……」
「お仕置きが必要だね、絵理香には……」
「おっ、お仕置き……?」
 学校のある駅に着いた耕市は、急ぎ足で学校に向かった。ホームに残された絵理香は、耕市の言った言葉で、不安になった。
(えっ、なに……お仕置きって……)
 昨晩の記憶が、鞭やバイブのことが思い出された。

 一時間目の英語の試験が、無事に終わった。試験中も、耕市の言ったことが気になって、試験どころではなかった。でも、まだ、何も起きてはいない。絵理香は、二時間目の試験の準備を始める。
「絵理香、英語、どうだった?」
 隣の席の真由美が聞いてくる。真由美は、高校に入ってからの友人で、ちょっと姉御肌の、大柄な明るい女性だ。
「ぜんぜん、だめ。真由美は……?」
 真由美と話していると、心が落ち着く。
「ぜんぜんダメっていっても、絵理香は成績、いいからなー」

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