ボクらの秘密
木暮香瑠:作

■ 過ぎた好奇心6

 ガタッ、ギィィィーーー、ガタッガタッ……。

 倉庫の扉が音を立て開いた。ボクらの身体がビクンと跳ねる。亮太は、慌ててナイフをボクの首に向けた。姉ちゃんは、恐る恐る中を覗き込んだ。姉ちゃんの服装は高校の制服、白のブラウスに膝上15cmの紺のチェックのスカート。昨日、脱ぎ捨てていたものを、とりあえず着てきたんだろう。相当慌てたらしい。やっぱり寝起きだったんだ。

「健!!……」
 ヤンキ−風の男にナイフを突きつけられてる僕を見つけた姉ちゃんが、大きな声を出した。
「し、静かにしろ! 中に入ってドアを閉めるんだ!」
 亮太の後ろに隠れている実が、低い声で言った。亮太は口をパクパクと動かすだけだ。窓から差し込む光が姉ちゃんを照らしている。僕らは逆光になり、姉ちゃんからははっきりと見えないだろう。全てボクらの考えた作戦どおりだ。

「あなた、誰なの? どうして?」
 倉庫の中に入った姉ちゃんが亮太に向かって訊ねた。実は亮太の後ろの看板の陰から、姉ちゃんの問いに答えることなく武彦が作った台本どうりに喋る。
「お、おれの言うことを聞くんだ。いっ、いぃ、言うことを聞かないと、こいつがどうなるか判ってるな!」
 やっぱり実も緊張している。呂律がまわってない。
「何をしようって言うの? 健を放しなさいよ! 私があなたに何かした?」
「まず服を脱ぐんだ!」
「私の質問に答えなさいよ!」
 姉ちゃんと実の会話は全然噛み合わない。ボクたちには、姉ちゃんが何ていうか判ってるはずも無く、返事なんかも考えてなかった。実も、台本どおり台詞を読むのに必死だ。当然、話は噛み合わない。それでも実は話を進めた。
「服を脱がないとこいつを刺すぞ!」
 亮太を見るとガタガタと震えていた。ナイフを持った手も震えている。きらきらと光を反射するナイフが緊張感を増幅する。

 このままでは、ばれてしまう。ボクはとっさに叫んだ。
「姉ちゃん助けて!! ボク死にたくない!」
 ボクの叫び声、呂律の廻ってない実の台詞と震える亮太を見て、ボクらの緊張感が姉ちゃんにも伝染したみたいだ。姉ちゃんも、やっとことの重大さに気付いたようだ。
「健には何もしないで。健は助けて……。言うこと聞くから……」
 気の小さい亮太の震えが役に立った。姉ちゃんは、手を胸の前の持っていきボタンに手を掛けた。

 ボクの後ろから、コソコソと武彦と実の声が聞こえる。会話が噛み合わないことに気付いた武彦が、実に次の台詞を教えているらしい。姉ちゃんに聞こえないか心配だが、気が動転してる姉ちゃんは気付いてない。

 ボタンに掛けた指を動かせない姉ちゃんに、実の命令が飛ぶ。
「さ、さっさと脱ぐんだ!」
 亮太の口は、ぽかんと開いたままになっていて台詞と全然合っていない。でも、姉ちゃんも恥かしそうに俯いたままなので、それさえも気付かないみたいだ。
「早くしろ! さもないと……」
「はっ、はい……。ぬ、脱ぐから、健には何もしないで……」
 姉ちゃんは、ビクンと身体を震わした。姉ちゃんの指がやっと動き出しす。姉ちゃんの言葉がボクの良心をチクリと刺す。ボクらは、なんて事をしているんだ。でも、もう後戻りできない。

 ブラウスのボタンが全て外され、薄い布地が肩をすべり床に落ちた。姉ちゃんの白い肌と、胸の隆起を飾るブラジャーが露わになる。初めて正面から見る姉ちゃんの柔らかそうな膨らみは、ブラジャーに押し上げられ深い谷間を作っている。僕が知っているより大きい。ボクが最後に姉ちゃんと一緒に風呂に入ったのは、四年も前のことだ。ボクの背も伸びたが、姉ちゃんの胸も成長していた。

 ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、……。
 静まり返った倉庫の中に、心臓が血を送り出す音が響いている。初めて聞く、自分の心臓が一生懸命に働いている音だ。いやっ、僕だけの音じゃあない。隣からは、亮太の心臓の音が聞こえてくる。後ろからも、小さい音だが三つ聞こえてくる。みんな興奮して、姉ちゃんの行動を見守っているんだ。

 姉ちゃんの指でスカートのホックが外されると、スカートはふわっと床に落ちた。ボクらの目に飛び込んできた真っ白なパンツは、いつもスカート捲りしている美紀や彩ちゃん見慣れたパンツと違い、少し布地が少ない。頼り無さげに姉ちゃんの大切な部分を包んでいる。ボクらが見たい秘密の場所を隠している。あの布地の下に、ボクらが見たい秘密の場所があるんだ。そう思ったとき、ズボンの中のチ○ポが大きくなった。

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