ボクらの秘密
木暮香瑠:作

■ 姉ちゃんの恋愛実習3

 二階に上り、自分の部屋のドアの前に立ったとき、姉ちゃんが顔を覗かせた。
「健! ちょっとおいで……」
 姉ちゃんが手招きしている。不吉な予感がする。
「やだよ。今日の姉ちゃん、機嫌悪そうだもん」
「いいからこっちにおいで……」
 何か決意したような真剣な目をしている。
「どうしてだよ? やだ!」
 こういう時の姉ちゃんは恐い。近寄らないに越したことはない。
「そんなこと言っていいの? あのこと、母さんに喋るわよ。私の裸、見たこと……」
「うっ!」
 姉ちゃんは、ボクの痛いところを突いてきた。この前の、ボクらが姉ちゃんを騙して裸を見たことをいってるんだ。今まで黙っていてくれたのは、こういう時のためにとっておいたのか?
「母さん怒るだろうな……。私を騙して、あんな事させたって知ったら……」
 母ちゃんが怒ると恐い。ゲンコツ、夕食抜き、それだけじゃあ済まないだろうな。小遣い一ヶ月抜き、いやっ、事件の大きさを考えると半年抜きだって考えられる。ボクは、仕方なく姉ちゃんの部屋に入った。

 姉ちゃんは、ボクを部屋の真中に立たせ言った。
「あんた! 脱ぎなさい、ズボン!」
「えっ? いやだよ。どうして脱がなくちゃいけないんだ!」
 姉ちゃんの機嫌が悪いのと、ボクがズボンを脱ぐのと何の関係があるんだ。
「いいから脱ぎなさい! あんたは、私に弱みがあるでしょ? いいの? 私が喋っても……」
 姉ちゃんは、恩着せがましく、高圧的に命令する。
「うっ、ううん……」
 仕方なく、ボクはズボンを脱ぎ始めた。

 ボクが脱ぐところを、姉ちゃんはじっと見詰めていた。ズボンのチャックを下ろし、ズボンを膝まで下ろした。
「パンツもよ。さあ、脱ぐの!」
 仕方ない! 姉ちゃんにあのことを喋られたら、ボクのこれからの人生は終わりだ。人生は大げさだけど、しばらくの間は小遣いなしの人生を送ることになるだろう。ボクはパンツに手を掛けた。

 ボクはゆっくりパンツを下ろし、チン○ンが露出した。姉ちゃんの瞳が大きく見開かれる。しばらくの沈黙のあと、姉ちゃんの悲鳴がした。
「いやっ! かっ、隠して……。そんな気持ち悪いもの……」
 姉ちゃんは、両手で顔を覆い床にペタンと腰を着いた。
「何言ってんだよ。脱げって言ったの、姉ちゃんだろ?」
「だっ、だって……、大きいんだもん。グロテクスよ……。前は、あんなに小さかったのに……」
 姉ちゃんは、一緒に風呂に入ってた頃のボクのチン○ンを想像していたらしい。そんなの、もう四年も前のことなのに……。その間、ボクだって色々あったんだ。
「俺だって、もう大人だよ」
「何いってんのよ、小学生のくせに……」
 小学生でも、身体も大きくなったしHなことも考えるようになった。チン○ンだって、昔のままじゃない。皮だって剥けているんだ。毛はまだ、チョロチョロとしか生えてないけど……。

 手で顔を隠してはいても、隙間から見える姉ちゃんの頬が紅くなっていくのが判る。ほらっ、耳まで紅くなってきた。ボクよりずっと年上だけど、ボクは姉ちゃんをかわいいと思ってしまう。この感じだと、姉ちゃんはまだ処女だな。彼氏には、まだ、キスすら許してないらしいっていうのも本当みたいだ。
「見たいっていったから、見せてるのに……。ほらっ、ほら……」
 ボクは、姉ちゃんの前でチン○ンを振って見せた。恥かしがる姉ちゃんは面白いし、かわいい。形勢は、ボクの方が有利になってきた。ボクは思いっきり姉ちゃんに近づき、チン○ンが顔に触れるほど腰を前に出した。
「見たいなんて言ってないわよ! どうでもいいから、早くパンツ履きなさい!」
 姉ちゃんはそう言いながらも、指の隙間からボクの下半身を見ている。

 姉ちゃんはズボンとパンツを膝まで下ろしたままのボクを、部屋から追い出された。
「ちぇっ! 自分が脱げって言ったくせに……」
 ズボンとパンツを引き上げながら、ボクは考えを巡らした。姉ちゃんに何があったんだろう? デートから泣きながら帰ってきたかと思えば、今度はチン○ンを見せろと言う。何があったんだろう? でも、形勢はボクに有利になってきたことだけは確かだ。これで、ボクがしたイタズラも許してもらえるかもしれない。それ以上に、何か起こる予感がしていた。それが何かなのは、今のボクには分かっていないが……。

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