ボクらの秘密
木暮香瑠:作

■ Hなマンガ4

 美紀が姉ちゃんと勉強をしているとき、ボクらは彩ちゃんに頭を下げていた。美紀が何の勉強をしているかは全然知らずに……。

「ねっ、いいだろ? 一度だけでいいんだ」
「だめっ、彩、出来ない。そんな変態みたいなまね、しちゃあだめだよ」
 彩ちゃんは、ボクらの過ちを諭すように言う。やっぱり優しい、彩ちゃんは……。ボクらを正しい道に導こうとしてる。でも、冒険家に『安全』を説いても、ボクらは聞く耳を持たない。
「彩ちゃん、頼むよ。ねっ、一度だけ、真面目な実験なんだ」
 武彦が真剣な眼差しで、彩ちゃんに頼み込んでいる。これからやろうとしていることが、絶対真面目なことではないことは判っている。でも、ボクらの知りたい気持ちは真面目なんだ。他のみんなも顔の前で手を合わせ、お願いのポーズで彩ちゃんを見詰めた。

「イヤッ! 絶対イヤッ!!」
 彩ちゃんは、執拗に拒絶する。
「そこを何とか……。ねっ、ねっ、ねっ……」
 でも、ボクらも諦めない。
「イヤって言ったらイヤッ!」
「お願いだからさ……。誰にも言わない。絶対、秘密にするから」
 彩ちゃんの『イヤ』とボクらの『お願い』が延々と繰り返される。
「彩ちゃん、お願い!!」
 何度、頭を下げただろう。みんなは土下座し、頭を地面に押し当てている
「健も、頼めよ!」
 地面から見上げる武彦が、ボクに小声で言う。
「彩ちゃん、お願い!」
 ボクは顔の前で手を合わせ、眼を硬く瞑りお願いした。手の合わせ目の隙間から、しっかり彩ちゃんの表情を盗み見してたけど……。

 ボクらの根気に断り疲れたのか、彩ちゃんの断る声が弱くなってきた。そして遂に言った。
「健くんも見たいの? 彩が縛られたところ?」
 ボクは、うんと首を勢いよく縦に振った。

 彩ちゃんは、フーーーと溜め息をつき、伏し目がちに口を開いた。
「服の上からならいいよ。彩、縛られても……」
「やったーーー!!」
 みんな、一斉に万歳した。
「一度だけだよ……。誰にも言わないって約束だよ……」
 ボクらの喜ぶ声に彩ちゃんは、何度も念押しした。
「一度だけ、一度だけよ。約束だよ、誰にも言わないって……」
「もう、絶対!! 誰にも言わない。約束する」
 ボクたちの約束ほど脆くて崩れやすいものはない。でも彩ちゃんは信じてくれた。

 早速、ボクらは準備を始めた。一樹が持って来た縄、縛るのに参考にするマンガ……。
「でもこの縄、汚ねえな」
 確かに一樹の用意した縄は汚れている。
「仕方ないだろ。父ちゃんがトラックで使ってる縄だから……」
 彩ちゃんも、縄の汚れを気にしている。ボクらにしても、彩ちゃんの真っ白なブラウスを汚すことには気が引ける。何より服を汚したら、そこから土が着くかも知れない。汚れた服をお母さんに問い詰められたら、彩ちゃんが隠しきれずに喋ってしまうかもしれない。
「そうだ! 体操服に着替えたら? 今日、体育あったから持ってるでしょ?」
 ボクは、彩ちゃんに提案した。あまり悩む時間を掛けるのは得策ではない。彩ちゃんの気が変わってしまうかもしれない。
「う、うん」
 戸惑いながらも、彩ちゃんも同意してくれた。
「あっち、向いてて。着替えるから……」
 彩ちゃんは、ボクらが後ろを向くのを確認して着替え始めた。布が擦れる音が耳を擽る。今振り返ると、彩ちゃんの生着替えが覗ける。でも、ボクらはそうしなかった。その後の楽しみが待っているんだ。もしボクらが覗き見して彩ちゃんを怒らせてしまったら……、その後の楽しみをふいにしてしまう気にはなれなかった。

「いいよ。着替え終わったから……」
 ボクらは、一斉に振り返った。うん、かわいい。彩ちゃんは何を着ても可愛い。たとえそれが、見慣れた体操着姿でも……。恥ずかしそうに俯かせた顔で、ボクらを上目使いで見る彩ちゃん。体操パンツから伸びた脚が、膝を擦り合わせる仕草が男心を擽る。

「彩ちゃん、手、後ろに廻して……」
「こう?」
 ボクらは、Hなマンガ本を参考に、彩ちゃんに縄を掛けていく。後ろに回した手を武彦が縄で縛る。後手が完成した。

「次は……オッパイの上下に縄を廻して……、オッパイの上下ってどこだ?」
 確認しようと彩ちゃんの胸に手を伸ばそうとする。
「エッチ!! 触っちゃダメ! 触っていいなんて言ってないよ。縛るだけだよ」
 彩ちゃんに睨まれた。でも、ほとんど膨らみのない彩ちゃんの胸は、オッパイの位置が判らない。
「えーーっと、オッパイ……どこ?」
 ボクは彩ちゃんに聞いた。
「ひどいぃ……」
 彩ちゃんの瞳が潤んでくる。ボクの言葉は、幼い女心を傷つけてしまったみたいだ。
「ゴメン、ゴメン。冗談だよ、冗談。ここ、ここだよね」
 ボクは慌てて、縄を適当に廻す。とりあえず、二重に廻した縄が彩ちゃんの胸と思われるところを二箇所上下に、二の腕と一緒にぐるっと廻される。後ろ手に縛られた腕が身体と一緒に縛られる。本来なら、これでオッパイがムギュッと搾り出されるはずだ、マンガなら……。でも、彩ちゃんではそうはならなかった。ちょっと残念……。これで、彩ちゃんの上半身は身動き出来なくなった。

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