ボクらの秘密
木暮香瑠:作

■ Hなマンガ7

「ここだよ」
 公園に着いたボクは、鬱蒼に茂った茂みを指差す。周りに人がいないことを確認して、人一人がやっと通れる茂みの隙間に頭を突っ込んだ。木々の茂みのトンネルを、ボクを先頭に姉ちゃん、美紀と続く。小学生がやっと通れる樹木のトンネルは、姉ちゃんにはちょっと辛そうだ。

「はあ、はあ、はあ……」
 秘密基地にたどり着くと、四人の興奮した荒いと息が聞こえてきた。何してるんだろ? 何に興奮してるんだろ? その中に混じり、男の息とは異質の吐息が聞こえる。彩ちゃんの吐息だ。彩ちゃんも興奮してる?

 僕の目に飛び込んできたのは、二人が彩ちゃんの胸に顔を埋めている姿だった。それを見ている残りの二人も、口の周りを涎でベトベトにしている。代わる代わる彩ちゃんの胸を舐めた証だ。

「何してんの!! 君たち! 困った子ね」
 呆然と見詰めているボクの背後から、姉ちゃんの怒鳴り声が聞こえた。
「ひいっ! やべえ!!」
 四人は、猫が驚いたときのように飛び上がり退いた。地面に残された彩ちゃんは虚ろな瞳を泳がせている。紅潮した顔で、小さく開いた口からハア、ハア、ハアと荒い吐息を吐いている。

 声の主がボクの姉ちゃんだと判った四人は、肩の力を抜いた。
「なんだ、健の姉ちゃんか。待ってたんだ、来るの」
「なんで美紀まで付いて来るんだよ。ここは俺たちの秘密基地だぞ!」
 姉ちゃんの後ろに美紀がいるのに気付いて文句まで言う。

 ボクらは、遊びで彩ちゃんを縛ったはいいけれど解けなくなったことを姉ちゃんに説明した。
「なに考えてるの? マンガの世界はマンガ! 現実とは違うわ! もう……」
 姉ちゃんは、ボクらを呆れて見ている。

「早く彩ちゃんの縄、解いてあげて」
 ボクは彩ちゃんの身体を起こし、姉ちゃんに言った。彩ちゃんの胸に目をやると、彩ちゃんの体操服の胸のところ、上下に縛られた縄の間が四人の唾液でべとべとに濡れ肌に張り付いている。そして、ぽっちりと膨らんでいる。乳首だ、そこだけが肌色でなくピンク色を浮き出している。唾液に濡れた体操服は、彩ちゃんの肌の色を透かして見せていた。彩ちゃんの乳首が体操服を押し上げていた。

 姉ちゃんのお叱りを受けている四人を見ると、四人のズボンの股間も濡れていた。射精していたのだ。興奮した四人は、そのことにも気付いていないみたいだ。
「こんなにきつく縛って、もう……、解けないじゃない」
 姉ちゃんは、文句を言いながらも縄の端を押したり捏ねたりしながら、何とか解いていく。

 やっとのことで股間の縄が解けた。彩ちゃんはさっと脚を閉じたが、ボクは見逃さなかった。彩ちゃんの体操パンツの股間が、少し濡れ色が変わっていた。

 美紀は呆れた顔でボクらを見ている。とても怖い顔で……。
「絶対、先生に言うからね。こんな酷いこと、彩ちゃんにしたんだから覚えてなさいよ!」
 美紀は酷く怒っている。ボクらも、負けないように言い返す。
「ダメだよ。彩ちゃんと秘密にするって約束したんだから!」
「そうだそうだ。俺たちが約束破ったみたいになるじゃないか」
 ボクらは美紀に抵抗した。しかし、美紀の怒りは絶頂に達している。チョモランマより高いみたいだ。
「だめ、絶対先生に言うからね。先生に叱ってもらうんだから」

 彩ちゃんが首を横に振った。イヤイヤと小さく振る。
「言わないで……、美紀ちゃん……」
 彩ちゃんは、小さな声で呟いた。潤んだ瞳が、お願いと必死に訴えている。

 そうなんだ。先生に言わないことが、秘密にすることがボクらの為でもあるし、彩ちゃんの為でもあるんだ。ボクらが先生に怒られても、彩ちゃんには何の為にもならない。彩ちゃんは、恥ずかしい思いをするだけなんだ。

「とにかくもう、こんなことしちゃあだめよ!!」
 姉ちゃんにこっぴどく叱られたボクらは、しょぼんとしてばらばらに帰り道を急いだ。

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