ボクらの秘密
木暮香瑠:作

■ 水着とお尻と……7

 美紀が姉ちゃんに話したんだ、あの光景を……。公園の秘密基地で見たボクと亮太の格好を……。
「違うよっ!!」
 ボクははっきりと言い放った。絶対違う。これだけははっきりと言える。なぜなら、女の子に興味があるからだ。あのことだって、女の子に興味があるからこそ、セックスに興味があるからこそ起こった誤解なんだ。
「じゃあ……ゲイ? それともオカマ?」
「違うって! ホモでもゲイでもオカマでもない!!」
「本当? お姉ちゃん、誰にも言わないから本当のこと言って。黙ってるのって辛いでしょ? 誰にも秘密はあるわ」
「本当に違うんだから!!」
「隠さなくていいのよ。親身に相談に乗ってあげる。うん、母さんには秘密にしとくから、お父さんにも……」
 姉ちゃんは信じてくれない。ボクがオカマの方が面白いとでも思ってんじゃないだろうか。でも、本当にボクはホモでもゲイでもオカマでもない。なぜ信じてくれないんだ。なんと言ったら信じてくれるんだ。本当のことは言い難いし……、セックスしてみたいなんて……。

 ホモと言ったら信じるのかな? それともオカマって言ったら信じるのかな? ゲイ? ホモ? オカマ? 何が違うの? この三つ……。
「って、ホモとゲイと……オカマって何が違うの?」
 ボクは素直に疑問を姉ちゃんに投げかけた。
「うっ……?」
 姉ちゃんの顔が強張る。こんな質問をされるとは想定外だったんだろう。姉ちゃんの目が怒りに燃えだした。ボクがふざけてるって思ったのかな?
「そんなことどうでもいいの。あんたがそっちの気が有るのか無いのかが問題なの。わたし達だって、付き合い方があるってもんでしょ? あなた次第で……」
 姉ちゃんは早口で捲くし立てた。美紀も姉ちゃんの後ろで、うんうんと頷いている。
「どうなの? 真面目に話してるんだから!! ホモなんでしょ!?」
 ああ、ダメだ! もう本当のことを言わなければ、ボクはホモにされてしまう。
「とにかく違うんだ! ただセックスってどんなのかなって。試してみようって。でも誰もさせてくれないだろ? だから……」
 遂にボクは本当のことを言った。
「バッカじゃない! 考えることがこれだから、男子は子供だっていうのよ」
 美紀が呆れた顔でボクに言った。
「それなら美紀がやらせてくれるのか? そうしたらあんなこと、しなかったよ」
「バカッ! させるわけないじゃない!!」
 美紀は顔を真っ赤にして怒った。それ見ろ、だからボクらは、あんなこと考えたんだ。未知のことに対する興味、ボクらには向上心があるんだ、女子よりも……。
「姉ちゃん、セックスって気持ち良いの? セックスしてみたかったんだ! でも誰もさせてくれないだろうから、お尻で疑似体験? 試してみたかったんだ!」
 われながら、疑似体験なんて難しい言葉が出たことに感心してしまう。でも、姉ちゃんの顔はキョトンとしている。
「何言ってんの!? 変態!!」
 美紀が又もボクを睨みつける。
「美紀だって興味あるだろ?」
 ボクはふざけ顔で美紀に言ってやった。
「あるわけ無いじゃない、この変態!!」
「何言ってんだ! 姉ちゃんにオナニー教えてもらって、昨日もやったんじゃないのか? オナニー」
「うっ!」
「図星だったみたいだな。で、姉ちゃん、セックスってどうなの? 気持ちいいの?」
 ボクの質問に、姉ちゃんの目が左右に揺れている。戸惑ってる証拠だ。知らないから、何かいい言い訳を探してるんだ、きっと……。
「知るわけないか、姉ちゃんじゃあ……。処女だもんな姉ちゃん、いい歳こいて……」
 最後の言葉が、姉ちゃんにはカチンッと来たみたいだ。姉ちゃんのプライドに火が点いた。
「ちょっと待ってな!」
 啖呵を切った姉ちゃん。そう言い残すと姉ちゃんは、部屋を出て行った。ボクと美紀は正座したまま、きょとんとして待つしかなかった。

 戻ってきた姉ちゃんが持っていたのは、お湯の入った鍋。
「さあ、おチン○ン出して!」
 戻ってきて最初の言葉がそれかよ。
「早く出しなさい!!」
「はっ、はい!」
 ボクの身体は条件反射のように背筋を伸ばしてる、姉ちゃんの命令に。チン○ンを出すことは、別に恥ずかしくなんかない。もう何度も姉ちゃんには見られてる。美紀にも見られてる。それに、ささやかな期待も少ししているわけで……。姉ちゃんのプライドが、何もなしに終わる訳がない。何か良いことが起こるんじゃないかと、どこかで期待を持っているボクがいる。パンツを下ろすと、ボクのチン○ンは期待に頭を擡げていた。もしかして姉ちゃん、『処女だもんな姉ちゃん、いい歳こいて……』というボクの挑発に乗って、遂にバージンを卒業する気になったかな?

 でも、ボクの期待とは少し違う展開だ。お湯の中から姉ちゃんが何か取り出した。
「コンニャク・オナホーーールゥ」
 ドラえもんじゃあるまいし、なんだその言い方は……。

「ううーーん、いい温度になってる」
 満足気に取り出したのは、黒い物体……。オナホーーールゥ? コンニャク・オナホーーールゥ? ボクは姉ちゃんの手にある物体に目を凝らす。あっ! コンニャク? あの食べるコンニャクだ。おでんに入れるコンニャクだ。何しようってんだ? でもオナホールって知らないけど、なんだか卑猥な予感がする。
「何なの? 何しようってしてんの?」
「まあ、黙って座りなさい。じっとしてんのよ!」
 そう言って姉ちゃんはボクを座らせ、股の間に身体を置いた。

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