ボクらの秘密
木暮香瑠:作

■ 水着とお尻と……9

「何してんの! 静かにしなさい!! うるさいわよ、健!!」
 母ちゃんがボクの悲鳴を聞きつけて、階段の下から叱り声を上げる。
「はーーい! お母さん。静かにしなさいって、健!! 悪ふざけはやめなさい!」
 姉ちゃんは、騒ぎの仕業をボクの所為にしようとしている。美紀も母ちゃんの声で、やっと手の動きを止めてくれた。

「健! ちゃんと片付けておきなさい。はいっ!」
 姉ちゃんは、ハア、ハア、ハアと息が上がってるボクにコンニャクを手渡した。
「憶えてろ!! 絶対に許さないからな」
 セックスなんて嫌いになってやる。絶対、嫌いになってやる。セックスに興味を持ったことが、こんな悲惨な結果になったんだ。

 怒って、コンニャクを手に自分の部屋に戻るボク……。背後から姉ちゃんと美紀の会話が聞こえてくる。
「大丈夫かな?」
「大丈夫よ。一晩寝ると、ケロッと忘れてるわ。健のことだから……」
 忘れるもんか! 絶対に憶えててやる、この恨み……。

 ボクは手の中にあるコンニャクを見詰める。コンニャクでするオナニー、気持ちいい? されるオナニーは? なんとも言えない感触がむずむずと股間に残っている。充実感? 達成感……?、口では怒ったけど意外と……、でも虚しい。



 翌日の登校の時……。
「健、顔色悪いぞ!」
「頬もこけてるし、目の下にクマができてる。酷い目にあったのか?」
 みんなボクを心配してくれる。
「何もないよ。本当に」
「美紀に何かされたか? それとも姉ちゃんに告げ口されて……」
「何もされてないよ」
 そしてみんな、ボクの後ろを歩いている美紀を気にしてる。昨日の下校時は10mの距離があったが、今日は2mもない。
「許してくれたのか?」
 ボクはコクリと頷いた。許してくれたとは、口に出して言いたくない。別に悪いことをした訳じゃないし……。
「健、よく許してもらえたな」
 みんなの言い方は、ボクが許してくれとお願いしたみたいに聞こえる。
「女なんてバカだから、一晩寝ると忘れるよ」
 ボクは、男の威厳を示す意味でも強気に言った。後を歩く美紀に気を配りながらも……。うんっ? でもどこかで聞いたような気が……、この台詞……。
「いいのかな? そんなこと言って……」
 案の定、美紀が反応した。美紀は余裕の表情で僕の顔を覗き込んだ。
「なにが?」
 美紀の余裕が怖いけど、ボクは感じてない振りをする。
「変態君はコンニャッ、うっ、ううう……」
 ボクは慌てて美紀の口を塞いだ。
「仲いいな、お前たち」
 武彦の言葉に、にやっと笑った美紀の顔がボクには怖かった。



 放課後、今日も美紀と彩ちゃんを撒いていつもの所……はマズイので、今日は一樹の家のガレージに集まった。一樹の家は、運送屋なので車庫兼倉庫の大きなガレージがある。そして、一樹のオヤジさんの大好きなエロ漫画も……。

「健、スマタって知ってるか? 気持ちいいらしいぞ」
「スマタ?」
 武彦から漫画を見せられた。
「これなら本番じゃないから、美紀、やってくれないかな……」
 絵の中では、横たわった女の子が脚を上に挙げ股を締めている。その間に男がチン○ンを鋏んで貰い腰を振っている。凄く気持ち良さそうな顔をして……。
「こっちの方が気持ちよさそうだぞ。パイズリ! 絶対パイズリだよ!!」
 大きなオッパイに挟まれたチン○ン。そして、そのオッパイから顔を出した先っぽ、そこから大量の精液が噴出し女の子の顔に掛かっている漫画を一樹がボクに見せる。
「これは美紀じゃ無理だろ。挟めるほど大きくないし……」
 ボクの言葉に、一樹はそうだなって頷いた。もちろん、もし胸が挟めるくらい大きくても、素股もパイズリもさせてはくれないだろうけど……。

 知識だけはどんどん詰まっていく。これが勉強に向かえば、ボクらはきっと東大にでも行けるのに……。東大は無理でも一流大学には行けるだろうに……。
 結局、ボクはセックスを嫌いになることはなかった。益々興味は増していく。漫画を読みながら、チン○ンはズボンの中で大きくなっていく。



 九時過ぎ、おじさんが美紀を迎えに来た。美紀が帰るのを見届けて、ボクは姉ちゃんの部屋に入っていった。
「姉ちゃん、素股って知ってる? 素股なら本番じゃないからいいよね、ねっ!」
「バカ!!」
「じゃあ、パイズリは?」

 ゴツン!!

 頭をグーで思いっきり叩かれた。やっぱりダメか……。痛てててて……。頭を手で押さえたら、大きなコブが出来ていた。

水着とお尻と……・おわり


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