ボクらの秘密
木暮香瑠:作

■ 自由研究3

 岩場を上っていく美紀。どう登ったらいいのか戸惑っている。
「何やってんだ、美紀。今まで見てたから判るだろ」
「下から見るのと違うんだもん。ちゃんと教えて!」
 ボクの声に美紀がむっとしている。こんな時しか美紀に勝てないから、ついいい気になって上から目線で指示を出してしまう。後々の反撃があるかもしれないというところまでは気が回らなくて……。
「ねえ、どこに手を掛ければいいの?」
「ほら、そこっ。もう少し上、そこに右手掛けて……」
 ボクは、戸惑ってる美紀に優越感を感じながら指示を出す。
「ここ? ここでいいの?」
「そこでいい!」
 今の美紀はボクのいう通りに動いている。とても気持ちがいい。ボクが言えば手を動かし、ボク言うところに足を持っていく。美紀を支配しているような気になる。これを優越感と感じなくて何を優越感というのだろう。そんな気分だ。
「今度は左足。左足はもう少し上!」
 美紀が足をボクが言った岩場に掛けようと上げる。ボクは美紀の脚の位置と岩場の脚を掛けれる窪みを注意深く見ながら指示を出す。裾の広いキュロットから覗く白い太腿、そして覗き込めばパンティまで見えそうだ。
「そこっ!!」
 見えた……、美紀が僕の指定した岩に足を掛けた時、キュロットの裾の隙間から……、パンティ。

 えっ!?

 ええっ!? 黒? 黒いパンティ? 裾の奥で陰になっているから、一瞬だったから見間違い? イヤッ、確かに白じゃなかった。ピンクでもイエローでも水色でもなかった……。それにボクが見間違えるはずがない、こんな重要なこと……。Hなことに関してはボクが見間違う訳がない……。
「ここでいいだよね。いいんだよね」
 ボクは返事をすることを忘れている。
「ねえっ、ここでいいんでしょう?」
「あっ、いい、そこでいい」
 美紀の聞き返す声でボクは、やっと返事を返した。
「判った」
 美紀はパンティが見えたことには気付いていない。でもボクにはしっかり見えた。思っていたのとは違う美紀のお尻を包む黒い布地が……。

 派手好きの姉ちゃんだって黒い下着なんか持ってないぞ。ピンクの下着は持ってるの知ってるけど……。母ちゃんはベージュのしか見たことない。なのに美紀が持ってるなんて……、黒いパンティ。姉ちゃんを通り越してませてる? 大人の階段登ってる?

 ボクの心臓がバクバクしている。

 その間に、難所をクリアした美紀は、あとは何事もなかったようにスイスイと上に登っていった。

「あとは健だけだぞ。早く登って来いよ」
「ああ、すぐ行く」
 ボクは岩に手をかけ登り始めた。

 ヤバイ。立ち始めてる……。何がって、ボクの股間の物が。美紀が悪いんだぞ、あんなもの見せるなんて、黒い下着着けて来るなんて……。

「健、怖いのか? 腰が引けてるぞ」
 武彦が上から覗き込んでいる。腰が引けてるのは判っている。位置が悪いのだ。位置が悪い上に起き上がろうとしている。登り始めてるボクには、位置を直す余裕はない。右手も左手も岩に掛けてんだから。股間に手をもって行く余裕なんてないんだ。このまま起き上がると折れちゃいそうだ、ボクの息子……。
「怖くなんてねえよ、こんな岩場……」
 でも、腰が引けてる理由は言えなかった。ボクの息子はすでにガチガチに……。そんなこと口が裂けても言えない。美紀が、彩ちゃんがいる前で……、美紀のパンディが見えたからチン〇ンが起ってるなんて。見えたのが黒いパンティだったからなんて、尚更言えない……。

 なんとかボクは岩場を登り切った。ボクはみんなに背を向けて、ズボンに着いた土を払うのを装って股間の物の位置を直した。

「すごいね。町が全部見渡せる……」
「本当だ、あそこが学校で……。あっ、あそこが私の家だ。美紀ちゃんの家も見える」
 岩の上で美紀と彩ちゃんが楽しそうに話している。岩場を登り切って、普段しない冒険気分でテンションが上がってるんだろう。ここへ登ったのも、ここから景色を見るのも初めてなんだろう。でも、ボクの視線は美紀のショーパンに向けられている。いや、ショーパンというよりその奥に向けられている。見える筈のないショーパンの布地の向こう側に……。

 確かに黒いパンツが見えた。……じゃあ、ブラジャーも黒いヤツ着けてる? 上下とも黒い下着?

 ボクの頭の中では、にっこりと笑顔をこっちに向けた美紀がいる。黒いブラとパンティを身に着けただけの姿で……。それも、知っているかぎりのエロいレースのスケスケの下着が頭に浮かんでいる。週刊誌のグラビアで見たことある、一樹から貰ってベットの下に隠しているHな本で見たエロエロスケスケの黒のパンティとブラジャーを……。

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