人妻の事情
非現実:作

■ 人の妻として8

「おっほっほ〜〜いいねぇいいねぇ〜〜理紗ちゃん〜〜」
「……やだ」
「理紗ちゃんは小柄だけどオッパイとかお尻とかは大きいって聞いてたからさぁ。
特別にあしらったんだけどねぇ〜、いやいや恐れ入ったわ。」
「特注って、ですか!?」

その制服……キャミワンピ的な作りで、脱ぐのも着るのも簡単な作りだった。
そしてHPに紹介されていた写真では、大事な箇所は普通に守れていた筈だった。
……なのに。

(い、今の私ぃぃ!?)
「もう少しサイズ大きくしても良かったねぇ〜〜」

明らかな作為が見えた。

私は良家の家の出だったし、夫も良識や規律を重んじる人だった。
大事に育てられた私は、自然と清楚で控え目な服装を自ら選んで着ていた。
それが……今。

身体のライン、ウエストまではっきりと解る程のピチピチなサイズ違いの服。
高く盛り上がってしまった胸は谷間を見事に作り上げており、辛うじて頼りない生地が乳首を隠していた。

「理紗ちゃんは…… ……うふふ。
胸もお尻も良いけど、その足が美しい実に美しいねぇ。」
「ぃやっだ!」

ワンピースのスカート部分は無いに等しく、股間をギリギリ守るのみ。
歩けばお尻の生地が捲れそうなくらい。
こんな服を着るのは生まれて初めてだった。
夫以外には絶対見せることない素足を交差させるものの、それが田崎さんには興奮剤となっているらしい。

「はいはい、はいはいはい〜〜いいよぉ〜〜実に良いよぉ。
腰クネクネしちゃって〜〜〜見られるのが好きぃ〜?。」
「そ、そん……そんな事ぉ……ぉ」
「いいねいいねぇ〜奥さぁん、ウィヒッヒッヒ」
「そんな風に…わら…わない…でぇ」

田崎さんは私を尚も追い詰める。

「いや〜〜、奥さんは一昔前のボディコンもお似合いだねぇ〜。」
「こ、こんな恥ずかしい服……」
「そうか奥さんはバブルの時期を知らないのだったねぇ〜。
あの時はね、別に普通だったんですよぉ〜そういう服って。」
(は、話とかでは聞いてたけど……こんな恥ずかしい服を平気で?)
「どうですかぁ〜、恥ずかしいのかな理紗ちゃん?」

私の本心を言えといっているのだ、その事を田崎さんは望んでいる。

「は、恥ずかしい……ですぅ…ぅ」
「ふぁっはっはっは、そうかそうか恥ずかしいか奥さん〜〜」
「そんな風に……よ、呼ばないでっぇ…ぇ……ぇっ!?」
「うっふっふっふっふっふ」

まるで私の羞恥こそが田崎さんの糧となっているようだった。
田崎さんが更に言う。

「さぁ理紗ちゃん、両手を後に回してよく見せてごらん」
「ぇ?」
「あ・い・じ・ん契約」
「…… …… ……」

「やっぱりいいよ」と言う言葉を期待しながら時間を掛けた。
田崎さんの口は動かない…… ……。
観念の意を込めて、両手を後へと回した。

「ほぉ…ぉぉ〜〜〜」

歓喜を含ませた溜息混じりの田崎さんの声。

「そ、んなに……みな、見ないで下さぃぃ」
「いやいや、いや〜〜〜実に見事な身体だぁ〜ぁ」
「やっぁぁぁっん!?」
「こ、コラコラ、手は後にしたままだよっ奥さん!!」
「ぅ、す、す…すいません……」

胸と下腹部を隠しに出した両手を、慌ててお尻の箇所まで戻した。
再び田崎さんの歪んだ視線が全身を捕らえてくる。
今の私はそう……とんでもない格好。
決して夫にも見せたことのない格好。
薄くて素材の粗い、際立ったドピンク色のワンピースの下は、下着すら着けていない。
上質な生地や美しい装飾品のブランドを買い漁った成れの果て…… ……。
実に愚かな行為をしたものだと、つくづく思った。

「ねね、奥さぁん〜どうだい、興奮するかね?」
「こ、興奮なん…て」
「ふっふっふ、ふぅっふ〜これからもぉっと恥ずかしい事になるんだよぉ?。
楽しみだねぇ、ねぇ…ねぇ理紗ちゃん〜〜?。」
「ぅ…ぅっぅ……ゆ、るしてっぇ……」

でも、これは序曲に過ぎないのだった。

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