人妻の事情
非現実:作

■ 妻である私は1

終わらないという無念と。
決して捨てられない無い理性と。
恥ずかしい目に合わされてるという自分への情けなさと。
ブラを外す1つ1つの作業で手が止まった。
結局、着けていたブラを外すのに30分以上も要してしまったのだ。
そして今、私は両手を頭の上に乗せて直立していた。
外気に触れる乳房と秘所は、哀れな性の観賞道具でしかない。

「とても30には見えない美味そうな乳だねぇ〜新井理紗さん」
「そ、そんな風に言わないで下さぃ」
「いやいや実に見事な身体をしてるよ」
「も、もう嫌ぁ」
「こんな上品な奥様がねぇ〜こぉぉんな扇情的な格好になっちゃったねえ」
「ひ、酷い」

酷いのは私の格好?。
大事な下腹部を隠す為のショーツは、黒の総レース仕様だが肌地が見える程に透けている。
そして大事で恥ずかしい2ヶ所の部分には生地が全く無い。
腰にはウェデングドレス以来、2回目の着用となるガーターベルト。
同様に総レースで真っ赤なガーターベルトに網目が大きい真っ赤なストッキング。
ご近所と出合っても解らない位の濃いメイク。
そして、トップレスブラ。
アンダーバストの部分にしか紫の布はなく、3/4は曝け出している状態。
アンダーの部分からブラが押し上げるよう締め付けるから、何をしていなくても胸が突っ張って少し苦しい。
これが田崎さんからのプレゼント、だった。

「いやいや時間掛けて選んだ甲斐があったなぁ。
すっごいお似合いですよ奥さん〜。」
「う、嬉しくないで……す」
「僕の趣味ですからねぇ、奥さんは付き合ってくれればいいです。
契約に基づいたキチンとした商売です、同意した時点で成立でしょ?。」
「ぅう」

「それにまだまだこれからだ」そう言ってから、田崎さんが鞄の中を物色し始めた。
(これ以上、私を辱めるの?)
馴れないハイヒールの両足が震えている。

「あ、あのっ!?」
「心配無い無い、これ以上のエログッズは持ってきてないからサァ。
次はねぇ〜〜〜コレだよ、理沙ちゃん。」
「ぇ、ええっぇ!!」

デジカメ、思わず私は両手で身体を精一杯隠す。

「ナニナニ、どぉしたの?」
「写真とかって聞いてないです!」
「言ってないけど、何時でも観賞出来るようにしたいじゃん?」
「しょ、しょ…証拠に残るのはホントに嫌ですっ!!」

私としては珍しいくらいの怒声だった。
当たり前である。
私は人妻であり、決して人には言えないバイトをしている。
今の家庭を壊したくはないし、何よりもソレで強請られたりでもしたらという恐怖が先立つ。

「大丈夫大丈夫、顔は決して写さないから、これはマジで誓うよ。」
「そっ、そんな事ぉ信用できませんっ!!」
「じゃあこうしよう、撮った写真は全て理沙ちゃんに見せる、どう?」
「私は恥ずかしい写真を取られて泣き寝入りですかっ?」
「う〜ん……じゃあこうしよう、写真を撮ったら5万追加するってのは?」
「お、お金の問題じゃっ……私のプライドとかっ、そういうのがっ!」
「そうかな〜〜、だって理沙ちゃんお金欲しくてやってるんでしょ?。
早々に金貯めればこんな恥ずかしいバイトも数こなさなくていいんじゃない?。
ようは手っ取り早く金が貯まればこんな事から足洗えるのも早まるでしょ?。」
「そ、それは……」
「大体5万貯めるって大変だよぉ、うちの店なら5人分の客取らないと駄目だし」
「…… …… ……」
「それをサ、顔出しNGの写真で5万だよぉ?」
「…… ……」
「ま、確かに僕のエロフォルダには残るかもしれないけどさぁ〜〜。
顔とか出てないから僕は脅迫とかしても意味無いでしょ。」
「……」
「むしろそれで脅迫とかしちゃったらサ、僕が名誉毀損とかで訴えられるし」
「…… …… ……わ、解りました……」

ニヤリと気味の悪い笑みを零す田崎さんが続けた。

「ウンウン〜そうこなくっちゃ理沙ちゃん」
「ただし、写真は絶対に全部確認させて頂きます」
「OK〜OK〜〜」

結局私は、より手っ取り早くお金を得る方に賭けた。
一回のイケナイ逢瀬と写真で10万、最低月2回の契約だから一月20万。
どうせイヤラシイ事されるのならば……エスカレートしないうちに数は少なく収入を得たい。
それが私の出した回答だった。

「じゃぁ〜〜〜僕の言う通りにポーズを取ってみてぇ?」
「ぇ、あっ、いきなりですか?」
「そりゃそうよ、記念すべき第一回目の撮影だしね」
「…… ……は、ぃ」

この賭け、吉と願う。

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