人妻の事情
非現実:作

■ その時は妻であらず8

ポカンと口を開ける店員さん。
一方私は…… ……もう、ここまで言ってしまったという勢いだった。

「り、料理に……というよりか、その…あの……あのっ。
ちっちっ、ちが…う、違う意味でっぇ、使いたいのでっすが!?。」

恐らく意味は伝わったのだろう、更にポカンと阿呆の様に口を開けている初老の店員さん。
田崎さんが後ろで見ている、そして言い出してしまった以上、もうここでは買い物は出来ないという覚悟。
そして何よりも、見ず知らずのただの店員さんにキュウリの間違った使い道を知られてしまった事実。
私は血の気が引いていた。
ここで何らかの騒ぎが起きれば、新婚生活という幸せの真っ只中が破壊されるからだ。
数分の無言。

「解りましたよ奥さん、一番太っいやつを選んであげますよ、私がねぇ。」
「……はぃ……」
「だけど特別ですよ、1本だけなんて普段はやってませんからね。
だからいつまでも奥さんが満足できる、すンごいイボイボの太っいキュウリ、1本売りますよ。」
「…… …… ……はぃ」

途端に初老の店員さんの目つきが変わった。
そして今までに無い機敏な動きで、袋詰めされたキュウリを選別しだしたのだった。
私は何ていう事を告白してしまったのだろう、一時の快楽に溺れた自分が恨めしい。
そんな自暴自棄に囚われている私を他所に、興奮した表情で店員さんは独り言をボヤキながらキュウリを選別していた。

「えぇっと、これも違うな……奥さんの中にスッポリ納まるのは…と。
うぅん、これもただ太いだけだしなぁ〜〜おっと、この曲がり方は刺激になるかなぁ〜。」
(は、恥ずかしいぃぃ……)
「いや待てよ……こいつなんか差し込んだら結構……」

キュウリを料理意外で使う、それを知った店員さんは次々とキュウリの袋を破いては悩んでいる。
おそらく想像しているのだろう……私のオ○ンコに埋まる相応しいキュウリ……。
一々選別したキュウリを手に、振り返り私の全身を嘗め回してニヤリと笑う店員さん。
これだけでも十分な羞恥プレイである。
逃げ出したい、正直そう思い始めた時だった。

「うん、こいつは極上の一品だ!」

極上という言葉がここでは巧い使い所かは甚だ疑問だったが、これ以上の羞恥に耐えられそうになかった私は、店員さん曰く極上のキュウリ1本をお買い上げしたのだっ。

「1本だけてのは初めてでね、しかも……その……ねぇ?。
コレ、入れちゃうんでしょ、一応うちは無農薬の取り扱ってるんだけどね、ねぇ。」
「あっぁの、構いませんからっ!」
「…… ……見たいなぁ〜」
「そっそんな!!」
「駄目?」
「で……すぅ!!」
「う〜〜〜ん、残念だなぁ……ホント残念」

本当に悔やんでいる店員さんだったが、火の粉は追い払うべき。

「色々とお世話なったけど……これはあくまで私の趣味ですから……」
「うぅぅ〜ん、残念だけど〜しょうがないねぇ。
後ろの彼氏に飽きたらサ……是非、私がね!。」

田崎さんの存在を理解したのだろう。

「ご、ゴメンなさいね」

今はソレしか言えない、だって……田崎さんは人には云えない性癖を満たしてくれる最高のパートナーであるから……。
そのパートナーが近寄って言ったのだった。

「さぁ買ったね、次に行こうか?」

そして、次の御命令は。

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