人妻の事情
非現実:作

■ その時は妻であらず12

「あ〜ぁ……これでラストになっちゃうよぉ」

最早先端しか残っていないキュウリを見ながら、まるで子供のような残念がり方で呟く田崎さん。
(良かった、も…ぅ終わり…ね)
チラチラとキュウリと私を見る田崎さんに、一瞬恐怖を覚えた。

「もっ、もう……そろそろ時間っ…なので、す。
きょ、今日のところはもうっ!。」

現に時間は迫っている、だがここで私の口から「もう」を口にしないと2本目とか言い出しかねない。
何となく理解したのか、田崎さんは素直に言うのだった。

「……ま、いっか、今日は沢山理沙ちゃんと遊んだし、ね」
「は…ぃ」
「また……やってくれるよね、ねねっ?」
「……」

取り合えずは、頷くしか出来ない。
愛する夫では満足できないプレイをしてくれる田崎さんとの縁は切りたくないという背徳的な感情。
だから取り合えずは頷いておくしかない。
だけど……このプレイはもうできる事ならしたくはない。
食べ物をアノ中に入れて……しかもソレを食べるなんて……先程の事を思い出しただけでカァッと身体が熱くなってしまう。
(駄目よ絶対、そんなのキモチワルスギル)
フェラとかシックス○インとか……むかしHサイト巡りをしていたので知識はある。
だけど夫もそういうのを求めては来ないし、自身がというのは考えられなかった事だ。
体液という独特な物を他人に口にされる、それがどうしても私には理解出来ない。
裸の身体をシーツで包めて、流れ続ける愛液をティッシュで拭いながら先程のプレイを思い出していた…… ……。


最初に口にして大絶賛だった田崎さん……。
その後も田崎さんは、一口かじってはキュウリを私の中へと戻し、卑猥な言葉責めで私を嬲るのだった。
どんどん短くなってゆくキュウリを大事に大事に私の中へ埋め込み、その度に私は手を使わずにキュウリを吐き出させられる。

「ん〜ん〜〜ん〜、たまんないねぇ〜奥さんの糠蜜はぁ。
トロットロだよほらぁ〜キュウリがこんなにもさぁ〜〜ね、ねっ?。」
「んくぅぅ……ゃだそんなに見せないでっぇ!」
「あ〜〜〜キュウリが美味しいよ、鮮度タップリだねぇ〜」

このプレイ……私にとって大変苦手なものとなりそうで、同時に田崎さんは癖になりそうな程嬉々としている。

「んふふふ、ふふっ、これなら僕も野菜を率先して食べられるよ」
「はぁはぁはぁっ……もっぉ、いゃぁ〜〜」
「まだあとちょっとだよぉ〜〜奥さん〜」


今までの羞恥プレイの中でも一番恥ずかしくて逃げ出したい思いでこの長い時間を耐えたのだった。

「あれっ理沙ちゃんなにやってんの?、まだ着替えてなかったの?」
「ぇ……え!?」

一度出て行った田崎さんが戻ってきたのだった。
(え、ええ……嘘っ!?)
慌てて掛け時計を見る。
(やだっ、私ったらっ!)
もう、かれこれ15分は過ぎている。
(ぇ……ぇぇっぇ、えっ!?)
拭っていた筈のティッシュは愛液で溶けてなくなっており、その代わりに左の2本の指が…… ……秘所に深々と突き刺さっていた。
15分の間で、私は信じられない行為をしていたのだった。
……耽るくらいに。

「何なに、どうしたの理沙ちゃん?」
「いっ、いえ……何でもっ!」

田崎さんも異常に気付いた様だったが、寧ろ私の身体の事を心配している様子である。
私は必死に取り繕い、シャワーを借りると言ってその場から逃げ出したのだった。


(いけない、急がなきゃっ!)
夫が帰ってくる時間はまだまだだが、お夕飯の準備が全く出来ていない。
それにこの6時前という時間は非常に危険である。
ご近所同士が最も顔を合わせる時間帯だ。
そんな時に限って……この衣服は着づらい。
田崎さんのご命令という事もあり、私が普段着るような服を持参してはいない。
(ん、もぉ〜っ)
ガーターベルトと網タイツの吊りストラップが片方着け忘れている。
田崎さんが選ぶ服は限界まで近い程の露出度が高く、派手なファッションを好む。
こんな格好をご近所には見せられない、必死で1つ1つの衣装を身に着けてゆく。
「あそこの奥様はホントに清楚で奥ゆかしい」
「人付き合いも良いし、喋り方とかも丁寧」
「旦那様一筋っていう感じで、あの夫婦見てると微笑ましい」
これ、これを、崩す訳にはいかない。
何よりも箱入り娘の私を選んでくれた夫に申し訳ない。
そして(何よりも)私のプライドが許されない。
そう考えながら、ようやくハーフカップブラが見えそうなブラウスのボタンを留め終えて……ふと。
姿見を見る。
(……っ!?)
決して嘘を映さない姿見に映る私は、酷いアバズレだった。
(わたし、わたし…わたし…じゃ、ない?)
出る所はたわわに強調され、括れる所はしなやかに演出された全身でフェロモンをダダ漏れさせている。
(そっか……)
何となく悟ってしまった。
顔の原型を留めていないドギツイ化粧で、多分ご近所の人にもこの暗闇なら解らないだろう。
(そ、うだよ、ね)
悟った。
貞淑な夫だけを愛する妻の鏡でもなんでもない、ただの露出狂だったのだと。

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