保健室の闇
〜女子生徒の告白〜
ドロップアウター:作

■ 2

 血液検査の後、私はお医者さんに指示された通り、右側のドアから外に出て、そこから外階段を上がっていきました。
 迂闊にも、私は上履きを持ってくるのを忘れてしまっていました。外階段は土足禁止です。靴下をはこうかなとも思ったのですが、汚れてしまいそうだったので、結局、裸足のまま保健室に行くことにしました。
 この日は天気が悪く、朝から雨が降っていました。半袖シャツにハーフパンツだけの姿で少し肌寒かったけれど、我慢しました。
 渡り廊下を通って校舎の二階に入ると、ざわめきが聞こえてきました。たぶん、順番待ちの生徒が集まっているんだなと思い、私は少し足早に歩き出しました。

 廊下の角を曲がると、私が思ったとおり順番待ちの子が五、六人くらい集まっていました。けれど・・・私はその光景を目の当たりにして、呆然としました。
 順番を待つ女の子達はみんな、裸になっていたのです。

 保健室の前で検査の順番を待つ女の子達の光景は、あまりにも異様でした。みんな、上は完全に裸で、下もパンツしかはいていないのです。少し近づいてみると、その子達の足下に、体操服のシャツやハーフパンツが、畳まれて置かれているのが分かりました。
 事前に内科の診察をするという話は聞いていたので、肌を露出する覚悟はしていました。けれど、まさかハーフパンツまで脱がされることになるとは思ってもいませんでした。それも、廊下で。いくら女子校とはいえ、いくらなんでも理不尽だと思いました。と同時に、これから自分も同じ目にあうんだと思うとぞっとして、この場から逃げ出したい気持ちになりました。
 それでも何とか、重い足を引きずるように私はその場に辿り着きました。パンツ一枚の格好にされた女子生徒達は、胸を隠す姿勢で、黙って座り込んでいました。その時私は、さっき聞こえたざわめきは、裸になるように指示された時の戸惑いの声だったんだと理解しました。

 私も、脱がなくちゃ。そんなふうに思いながら、私はシャツの裾に両手の指をかけました。でも、その後なかなか体が動かないのです。体重測定の時みたいに、割り切った気持ちにどうしてもなれません。
「先生が、服を脱いで待っていなさいって」
 気が付くと、順番待ちの女子生徒の一人が私に話しかけていました。
「少し恥ずかしいけど、シャツとハーフパンツとブラを取って、パンツ一枚になりなさいって」
「はい・・・」
 けれど、私はそう返事するのがやっとでした。シャツの裾をつかんだまま、しばらく突っ立っていました。
 そしてこの後、私の動揺に追い打ちをかけるような事実が知らされたのです。

 しばらくすると、保健室のドアが開いて、診察を終えた女子生徒が三人、やはりパンツ一枚の姿で出てきました。その様子を見て、私は驚きました。彼女達は三人とも、涙ぐんでいたのです。
 その理由の一端は、間もなく明らかになりました。
 女子生徒に続いて、養護の川原先生が出てきました。先生は私を見るなり、冷たい口調で言いました。

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