保健室の闇
〜女子生徒の告白〜
ドロップアウター:作

■ 7

 この時、私は女医さんの表情が変わったことに全く気付いていませんでした。
 女医さんは、両手で私の左右の乳房をつかむようにして、もみはじめました。それをしばらく続けた後、今度は乳首を指先で触れて、転がすようになで回し始めたのです。
 今までされたこともない診察のやり方に、私は戸惑いました。そして、女医さんの顔を見上げたのです。
 その時、私は息を呑みました。
 女医さんは、さっきまでの温和な表情とは打って変わって、薄気味悪い笑みを浮かべていたのです。そして女医さんの後ろの方で、川原先生も同じような表情をしていました。
 私は気持ちが悪くなって、胃の辺りがむかむかと焼けるように痛み出しました。そしてこらえきれなくなり、「ああっ・・・」と声を上げてしまいました。
 すると、川原先生が奥の方でニヤニヤ笑いながらこう言うのです。
「何を我慢する必要があるの。他人に無理やりされても、女は感じてしまうものなんだよ。悲しいけど、それが自然なことなのよ」
 先生がなぜそのような言葉を口にするのかは分かりませんでしたが、その発言に悪意が込められているのは明らかでした。
 続けて、女医さんが不気味な笑みを浮かべながらこう言いました。
「ふふ、あなたって本当に純情な乙女って感じよね。乳房もまだ膨らみかけで小さいし、アソコの毛もまだそんなにないし。でも、ちゃんと乳首も立ってるし、アソコだって濡れてるじゃない。やっぱり女なのよね……」
 女医さんの言葉で、私はより一層屈辱感を覚えました。
 私は叫び声を上げようとしました。けれど、声が喉の奥に詰まってしまったようで、どうしても声が出てこないのです。
 そのうち、女医さんは私の乳房から手を離し、今度は私の股間に手を伸ばしてきました。そして、股間のワレメに指を入れてきたのです。
「あ・・・や、やめて下さい・・・」
 私は必死に声を絞り出しました。でもそれは、蚊の鳴くような声で、二人の大人を威圧することなどできませんでした。
 女医さんは、私の性器のでっぱったところ(それがクリトリスと呼ぶ箇所だと知ったのは、後のことです)を指先でいじり始めました。性器の湿り気が増していくのを感じました。叫び声とは違った声を上げそうになりましたが、それをしたら負けだと思い、私は懸命にこらえました。それでも、「う・・・う・・・」とかすかにうめき声を上げていたことが、後になって冬美ちゃんから聞いて分かりました。
 やがて、女医さんは手を離しました。その瞬間、私は全身の力が抜けて危うく気を失いそうになりました。
 けれどその時、川原先生の声が聞こえてきました。
「これで検査は終わり。あんたも意外と根性あるのね、かわいい顔して」
 何か言い返そうと思ったのですが、その時息が上がっていて、何も言葉を発することができませんでした。

 その後、私は川原先生にまた股間を脱脂綿で拭かれ、そしてようやくパンツを返してもらいました。すぐにでも帰りたかったのですが、「しばらく様子を見て、体に異常があったら報告してもらうから」と、冬美ちゃんの検査が終わるまで、保健室で待たされることになりました。
 私がカーテンの外側に出ると、平島さんと冬美ちゃんが私を心配そうな顔で見つめていました。
 その後しばらくして、私は冬美ちゃんの泣き声を聞かされ、胸が痛みました。
 三人の検査が終わり、私達はようやく外に出ることを許されました。
 先生と女医さんには黙っていたけれど、私の体は確実に変調をきたしていました。胸が焼けるように痛んで吐き気がしました。それから、検査の時にいじられた性器の部分が、ひりひりと痛み出していたのです。
 廊下に出てブラジャーと体操服を着ると、私は真っ先にトイレに向かいました。トイレの個室に駆け込むと、私は便器に嘔吐しました。
 吐いた物を水で流した後、一旦個室を出たのですが、股間の違和感がどうしても気になり、もう一度個室に入りました。残尿感があったのでオシッコをしてみると、尿がピンク色に変色していたのです。
 この日は、私にとって最悪の一日でした。恥辱の記憶と、病気への不安。二つの負の要素を抱えたまま、私は学校を後にすることになったのです。

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