人妻と少女の淫獄
木暮香瑠:作

■ 開かれる淫獄の扉5

 二人を乗せ走り出したオープンカーは、住宅街を抜け街の中を走る。美香は、無言のまま恥ずかしさに耐えた。信号で止まるたび、周囲の視線が気になる。町中の人たちがオープンカーに乗った自分を見ているのではないかと。
「姉ちゃん、かっこいい服着てるね」
 隣に止まるトラックの運転席から見下ろすドライバーが、嘲笑うように大きな声を掛ける。高いドライバー席からは、美香の胸元の隙間から覗く素肌に、スカートの裾から伸びた太腿に鋭い視線が突き刺さる。
「ノーブラかい? 乳首が勃ってるのが判るぜ。もしかして、パンティも穿いてないのかい?」
 ドラック運転手は、横断歩道を渡る人たちに聞こえるくらい大きな声で話しかけてくる。その声を聞いた歩行者達が、美香に視線を投げ掛ける。男達の好奇の視線、女達の嘲りの視線が一斉に美香に降り注ぐ。
(いやっ、み、見ないで……)
 美香の顔が、みるみる紅く染まった。
「どうも的中みたいだな。素敵な彼女だな」
 的確な指摘に、美香の身体は芯から恥辱に燃える炎に焦がされる。露出の多い服を着て肌を晒すだけでも恥ずかしいのに、僅かに隠れた衣装の下に隠された真実まで晒される。美香にとって、これほどの恥辱は無い。美香は顔を真っ赤に熱くした。

 隣に座る篠原は、トラックの運転席に向かって笑顔で喋りかける。
「あんまり虐めないでやってよ。この女、感じやすいから……。シート、汚されちゃうよ」
 そして、トラック運転手に見せつけるように美香の生脚を摩りながら言った。
「シートを濡らさないでね。美香は濡れやすいから……、ふふふ……」
「うっ! ……」
(どこまで私を虐めれば気がすむの!?)
 美香は唇を噛み俯き、恥辱にじっと耐えるしかなかった。



(どこへ行くの……?)
 二人を乗せたオープンカーは、街を抜け林の中を走っていた。対向車もめっきり減った。視界の中には、適度な車間距離を開け数台が走っているだけだ。街の衆人の視線が無くなった事は美香にとって幸いしたが、知らない場所へ進む車は美香に新たな不安を生んだ。
「どこへ行くか、不安そうだね。近くはイヤでしょ? 知り合いに見られると、妻としてはマズイでしょ」
 緩やかなカーブを、軽快に走りながら篠原は言った。
「ドライブデートと言えば、やっぱり『海望ヶ丘公園』でしょっ」
 車は、ゆっくりと公園の駐車場に入っていった。

「平日だと言うのに、結構人がいるね。うわあー、カップルばかりだ」
 篠原に腰に廻された手に押されて公園の小径を奥に進んだ先は、突然視界が開け眼下に海が見渡せた。穏やかな波の海面に浮かぶ島々やそこを行きかう船が眼を楽しませるこの公園一番の展望を楽しめる場所だ。篠原は、展望の一番良い目立つ場所へ美香を連れて行った。

「いい景色だね。ほら、フェリーがあんなに小さく見える……」
 一人浮いた格好の美香に、カップル達の視線が集まる。まずはその整った美貌に男達の視線は釘付けになる。まるで正統派女優のようなオーラを放っている。そして次に、その露出の多い服に目を奪われた。露出した背中の肌を、黒髪のストレートヘアがサラサラと撫ぜ、大きく開いた胸元からは深い谷間を惜しげもなく晒している。衣装の裾からは、長く適度に脂の載ったすらっとした脚が伸びている。今にもお尻の柔肉が見えそうなのである。男達の視線は、隣にいる自分の恋人ではなく美香に吸い寄せられた。そして、自分の恋人の視線を奪われた女達は、嫉妬と軽蔑の視線で美香を睨みつける。

 男達の淫欲に満ちた視線を、同性の嫉妬と軽蔑のこもった視線を浴びていることを痛いほど感じ、美香は耳まで赤くした。そんな美香の気持ちなど知らない振りで、平静な恋人を気取る篠原に腹が立つ。美香は、顔を背けて篠原を無視していた。

「僕たち、誰がどこから見ても恋人同士に見えるだろうね」
 腰に廻した篠原の手が、ゆっくり降りて柔肉の隆起を摩り始める。
「ひっ! 嫌ッ……。止めてよ、こんなところで……」
 美香は、朱に染めた顔で振り向き、キッと篠原を睨み付けた。
「こんな所に連れてくる為、私を連れ出したの? 話があるんでしょ? ……AV出演とか」
 お尻を撫ぜていた手は、更に下に降り太腿の生肌を直接触り始めた。
「出てくれる気になったの? AVに……。それでデート、OKしてくれたんだ」
「違うわ! あなたが脅迫したからよ。私は……、断る為に、付いて来たの……。うっ!」
 生肌を味わった手が、太腿の間に差し込まれる。そして、股間の柔肉に食指を伸ばす。
「いやっ! 止めて。嫌なの、こんなこと……」
「へえ、でも、身体は嫌がってないみたいだよ。ほら、こんなに乳首が勃ってる」
 恥辱に火照った身体は汗を吹き、衣装を肌に纏わり着かせる。薄く伸縮性のある素材は、美香の身体の隆起を晒し、柔らかな曲線で形作られた身体のシルエットを曝け出していた。胸の豊かな隆起の頂上では、二つの突起が薄い生地を押し上げているのが見てとれた。
「本当に、うっ……嫌なの、ううっ……」
「説得力ないね。こんなに乳首勃てて……。こっちはどうかな?」
 手が裾から忍び込んだ手は、太腿の体温を味わいながら奥へ奥へと進んでいき、遂に大気に晒された媚肉に達する。そして、指を亀裂の中に没しようとクネクネと動く。
「ほら、しっかりと濡れてる」
「はうっ!! だめっ……。人に見られちゃうっ! ここでは……止めて……」
「見られない所ならいいの?」
 狼狽する美香を楽しむように、篠原の指は縦裂の中に侵入する。
「つっ!! ……」
 美香は、周りの人たちに聞こえないように悲鳴を噛み殺した。

「あの二人……、何してんの? 嫌らしい!」
「何? あの女……。生脚放り出して、見せつけたいの? お尻の肉まで出てるじゃない。よっぽど自身があるのかしら……」
 カップル達の軽蔑の罵りが聞こえてくる。
「腰振っちゃって……、嫌らしい。ここはキャバクラじゃないっていうの!」
 まるで汚いもでも見るように、美香たちから距離を置いて鋭い視線を投げ掛ける。

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