人妻と少女の淫獄
木暮香瑠:作

■ 従わされる女達5

 美香との淫らな打ち合わせを終えた篠原は、待たせてあるもう一人の女の所へ車を飛ばした。

 待ち合わせ指定の場所、駅前ロータリーに一人の少女が立っている。シフォンチュニックに3段フリルのペチスカートを合わせた、お洒落をした休日の女子高生らしい軽やかなファッションに身を包んだ沙希だ。
 昨日の今日である。気恥ずかしさもあり、最初、篠原の誘いに会うことをためらった。しかし、傷心の自分のことを気に掛けてくれていると思うと、少し嬉しくもあった。家にいると、いろんなことを考えてしまう。頭に浮かんで来るのは、昇のことばかりだった。どんどん気が沈んでしまう。そんな時、誘いを入れてくれたのが篠原だった。熱心に誘われ、遂に会う約束をした沙希だった。
 駅前の広場で篠原の登場を待つ沙希。ミニスカートとフレアスリーブのチェニックからは、すらりと生肌の手脚が伸びており、十代の若々しさが周囲の目を引いている。時々、視線を周囲に配り待ち人を探す仕草が、擦れていない初々しさを漂わせている。

「目一杯お洒落したつもりか? でも、ガキだな……」
 高校生らしいファッションの沙希を見つけた篠原は、目元を綻ばす。
「十分遅れか、ちょうど良い頃合だったな」
 篠原は、ゆっくりと車をロータリーに進め沙希の前で止めた。
「待たせた? ゴメンね」
「いえっ……」
 沙希は背筋を伸ばし、ペコンッとお辞儀した。
「さあ、乗って」
「あっ、は、はいっ……」
 沙希は、言われるまま車に乗り込んだ。

「今日も可愛いファッションしてるね」
 昨日はTシャツ姿のラフな服装だったが、今日はお洒落をしているのは明らかだった。篠原は、まずそのことを褒めた。普段と違うところにも気付いていると、沙希に関心があるところを見せ付ける。
(昇とは全然違う。お洒落して来たこと、ちゃんと気付いてくれた……)
 どんなファッションをしていても無関心な昇と違い、お洒落をする女心に気付いてくれたことに沙希は、頬を赤らめた。しかし、昇のことを比較対照にしたことに目元が曇る。
(忘れなきゃ……。だから篠原さんのお誘いを受けたんだから……)
「どうしたの?」
「いえっ、何でもありません」
(まだ弟君のこと考えてるな!? 忘れさせてやるよ、俺のチ○ポで……)
「そう? なんか元気がないみたいだったから。何か美味しいものでも食べに行こうか。美味しいものを食べると、心も満足するよ。ねっ!」
 二人を乗せた車は、エンジン音を響かせ駅前ロータリーを後にした。



 食事を終えた二人は、公園を散策していた。大きな森の中に芝生の広場や池が散在する、自然を生かした市民の憩いの場になっている。公園の小径を二人並んで歩く。少し離れた距離感が、知り合い以上恋人未満の関係を漂わせている。
「美味しかったでしょ。あの店のシェフはね、フランスで修行してるんだよ」
「すごーい、本場ですね。高かったんじゃないですか?」
(昇じゃあ絶対連れて来てくれないよね、あんな高級なお店……。昇ったら、ファーストフードばかりだもん。……あっ、また昇と比べてる)
 幼馴染の昇との長い月日は、どうしても拭いがたい。考える基準に浮かんで来るのは、昇と過ごした時間だった。沙希は、昇の残像を振り払うように篠原との会話を続ける。
「本当に美味しかったです。本格的な料理だったし、すごく美味しかったし……、デザートまで付いてたし……」
「大丈夫、心配しなくて。これでも結構、稼いでるんだよ。……本当はね、あそこのランチコース、意外に安いんだ。意外な穴場なんだ。夜は高級レストランに変貌するけどね、値段も……」
「そうなんですか? でも、高校生の私じゃ、場違いな感じがして……」
「そんなことないよ。店の客の中でも、沙希ちゃんが一番輝いていたよ」
 褒められたことに照れながらも、沙希は嫌な気はしない。照れ隠しに沙希は、早口で話を続ける。
「最初、すごく心配で……、あんなに高級そうなレストラン初めてだし、マナーも判らないし、緊張しました。でも、篠原さんと一緒でよかったです」
 緊張する沙希を、篠原が軽快な会話で解してくれた。デザートが運ばれてくる頃には、最初の緊張が嘘のように和んでいる自分に驚いた。会話と優しい物腰で女性の心を解きほぐすのは篠原の常套手段だった。目に付いた女性達を騙し、AVの世界に引き込む為の……。

「篠原さんって、何のお仕事、してるんですか?」
 沙希は、ずっと抱いていた疑問をぶつけた。高級そうなオープンカーに乗り、カジュアルではあるがセンスの良い服を着ている。サラリーマンではないことは想像に容易い。
「映像関係」
(ふふふ、君には話せない映像関係だけどね)
 篠原は気恥ずかしそうに曖昧に答える。しかし沙希には、凄いことをしてるのにそれを自慢することを憚ってるように受け取ってしまう。それほど大人な篠原に好感を持ち始めていた。
「すごいですね。テレビとか、CMとかのお仕事?」
「テレビで映る事はないけどね、僕らの作品は……。ちょっとしたイベントとか、企画製作をやってるから……。沙希ちゃんは何かスポーツでもしてるの?」
「えっ? どうしてですか?」
「いやあ、余分な贅肉が付いてないし、ただ単に痩せてるだけでなく引き締まったスタイルしてるし……」
「判ります? バスケットしてました。全国大会の予選は負けてしまったので、もう引退なんですけど……」
 二人は、会話を交わしながら公園の小径を進んで行った。

 二人は公園の奥の方までやって来た。池の周りに散策道があり、少々の芝生スペースとベンチが設置されている。
「この公園に、こんなに静かな所、あるんですね」
 入り口付近は遊具が有ったり売店も有り、家族連れや子供たちが多くて賑やかだが、ここまで来ると人影もめっきり少なくなり、数組のカップルがいるだけだ。

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