人妻と少女の淫獄
木暮香瑠:作

■ 従わされる女達6

 二人は芝生の中の大きな木の元に腰を下ろす。街中の暑さが嘘のように、木陰に爽やかな風が二人を包む。地面の芝生と木々が茂る木陰は、清清しい恋人達の空間を作っていた。
「気持ち良いですね」
 沙希は隣に腰を下ろした篠原を気にしながらも、視線を上に向け青空を眺めながら話しかけた。
「食欲が満足したら……次は性欲だな」
「えっ!?」
 呟く様に篠原の言った言葉に驚いて振り向く沙希の唇に、唇が重ねられた。驚く沙希の疑問を押さえ込むように……。片手は背中に回し抱き寄せられ、もう一方の手で頭を押さえられ強く唇が押し当てられる。
「ううん、ううっ、ううん……」
 強く押し当てられた篠原の唇に、沙希は息をするのを忘れ吐息を漏らす。
(拒むことも忘れちゃったか? やっぱり思ったとおりの世間知らずのお子様だな)
 篠原は、顔の角度を変えながら沙希の唇を味わう。
(……だめっ! 見られちゃう……)
 人影は少ないとはいえ、数組のカップルがいる。誰かがこちらを見てるかもしれないと思うと沙希は恥ずかしさに気が気でない。気持ちは拒まなきゃと思っていても、身体が驚きに動かない。
「ううっ、ううん、ううっ、うん……」
(だめっ、こんな所で……。人に気付かれちゃう、見られちゃう……)
 永く口篭った沙希の声が漏れ続ける。
「ううっ、ううん、うん、ハア……」
 やっと篠原の唇が離れ、沙希は大きく息をする。恥ずかしさに息をすることも忘れていた沙希の頬は朱に染まっている。
「沙希ちゃんの唇、柔らかくて甘いね。美味しかったよ、君とのキス……」
(キスだけでこんなに恥らいやがって……。もう処女でもないのになっ……)
 自分が散らした純潔を思い出しながら、篠原は沙希を優しく褒める。褒められた沙希の顔は更に赤くなった。
「こんな所でキスなんて……、みんなに見られちゃう」
「キスを見られるの、恥ずかしい? じゃあ、木の陰に廻ろう」
 恥ずかしそうに俯いたままの沙希に、篠原は手を差し伸べた。
(ウブな女にキスは魔力ってか? キスだけでメロメロになりやがって……。もっともっと、大人の快感を教えてやるぜ。昨日は酔いもあってあんまり覚えてないだろうからな)
 沙希の手をぎゅっと握り引き寄せ、腰に手を回し導く。
(またキスされる? さっきのは……何かの間違い? キスだけなら……)
 沙希はキスという催眠術に掛かったかのように、篠原に連れられるまま大きな木の後に廻った。

 大きな立ち木の裏に廻った沙希を篠原は、両手でしっかりと抱き寄せる。そして唇に、再び唇が重ねられた。
「はうっ、チュッ……、だめえ、人に気付かれちゃう。んんっ、うむむ……、グチュッ……」
 激しく唇を合わす音が、静かな公園に響く。沙希の両手は篠原の胸に当てられているが、押し返す力は弱々しいものだった。
(はあ、わたし……キスしてる。こんなに明るいのに、誰かに気付かれるかもしれないのに……)
 恥ずかしさと供に身体が熱くなる。羞恥と異常な状況が、沙希の鼓動を速くする。血管を激しく流れる熱い血液は、沙希の思考を惑わせる。
(わたし、興奮してる? 恥ずかしいのに……、篠原さんのキスを受け入れてる……? Hなキスを……)

 篠原は沙希の唇を割り舌を差し込んだ。そして、歯茎の裏側を削るように舌を這わせる。沙希の舌を絡めるように、沙希の思考を掻き乱すように口の中を弄る。篠原の舌が歯茎を削るたび、ビリビリと痺れが走る。
(あんっ、どうしよう……。私の口の中に……篠原さんの舌が、私の中に……)
 他人の物が自分の口の中に、まるで本当のセックスをしてるような卑猥な気持ちになる。
「あん、いやっ、……そ、そんなに激しくされたら……」
「激しくされたらどうなるの? 激しいキスは嫌いかな?」
 篠原は更に激しく舌を絡め、強く沙希の唇を吸った。

 篠原は、一旦唇を離し首筋に唇を移した。チュッチュッを首筋を吸い、剥き出しになった鎖骨周りに舌を這わす。その間も篠原の手が、背中をお尻を弄り動き回る。時には背中を舐めるように指が這い回り、時には尻肉をギュッと握り潰す。
「だめっ、そんなとこ舐めちゃ……。うんっ、あんっ……」
 首筋から鎖骨の窪みに掛けて舌が這うと、沙希はゾクゾクと身体を震わせた。
(あんっ、だめえ……。これが、大人のキス? 身体に……、脚に力が……入らない……)
 篠原に抱き寄せられていなかったら、その場にしゃがみ込みそうになる。
(だめっ、キス……してるだけなのに。キスって、こんなにHなの?)
 深夜、ひっそりとするオナニーのような興奮と浮遊感を沙希は感じていた。

 チュッ。
 再び沙希の唇に戻ってきた篠原の唇が軽く触れる。
「沙希ちゃんも、舌、伸ばして……」
「……エッ? はっ、はい……」
 興奮に侵食された沙希は、言われるまま甘い命令に従わされる。軽く唇を開き舌を伸ばす。その舌を篠原は自分の口を被せていく。密着した二人の唇の中で、狭い秘密の空間の中で二人の普段晒すことのない肉が触れ合う。篠原の舌がウネウネと動きながら沙希の舌の裏側を舐めてくる。二人の口の中には唾液が溜まり、それを混ぜるように舌が蠢きあった。
「はうっ、ううん、うっ、クチュッ……、うんん、はうっ、グチュッ……」
 篠原の舌は、沙希の舌の裏側だけでなく触手のように沙希の舌を絡め取る。沙希の舌に絡んだ唾液を絡め取るように……。
「グチュッ、はうっ、クチュッ、んんっ、ううん、はうっ……、チュッ、クチュッ……」
 強く引き寄せられ、篠原の胸板に押し当てられた沙希の双乳が押し潰される。

 グチュグチュと、お互いが口径を掻き回す音が沙希の耳を擽る。
「はうっ、グチュッ……、チュッ、うぐうっ、うっ、グチュッ、うむムム……」
(こんなにHなキス……。人に見られたら……、どう思われるんだろう……)
 身体が熱くなる。キスってこんなにHなんだと思い知らさ、恥辱に酔わされる。恥ずかしさとHなことしてると言う背徳感が、沙希の身体を熱くし鼓動を速めた。

 篠原は一旦唇を離す。しかし沙希の口は半開きのまま舌を伸ばしたままだ。
「さあ、飲んで……。僕らの唾を……」
 篠原は口径に貯め混ぜ合わせた二人の唾液を、沙希の舌の上に垂らした。ツーッと透明な液体が沙希の舌の上に落ち、そのまま舌を伝い口の中に流れ込んでいく。全てを流し落とすと、篠原はすぐさま唇と重ねる。唾が零れ落ちるのを防ぐように……。
「うぐっ、うむむ、うむっ……、ゴクッ……、ゴクゴクッ……」
 口を塞がれた沙希の喉を、二人の混ざり合った唾液が飲み込まれていった。まるで媚薬を飲まされたように、沙希を甘く切ない官美な気持ちが包んでいった。

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