人妻と少女の淫獄
木暮香瑠:作

■ 沙希、集団調教1

「ここはどこなんですか?」
 沙希と篠原は、上質な内装のマンションの一室にいた。最近は、あってすぐホテルに直行することが多かった沙希は、いつもと違う場所に心をときめかせていた。篠原の家に初めて招かれた? そんなことを思って……。
「俺の知り合いのマンション。部屋を貸してくれるって言うんでね。高級マンションだよ、いい部屋だろ?」
 備え付けられてる調度品も作りのいい物が揃っていて、ソファーや家具も世間知らずの女子高生の沙希の目にも高級品だと判る物ばかりだ。

 篠原は、大きな紙袋から物を取り出しながら沙希に声を掛ける。
「じゃあ、これに着替えて」
 篠原が差し出したのは、どこかの高校の制服を模した安物のセーラー服だ。生地は下着が透けるほど薄く、引っ張れば今にも裂けそうなほどのちゃちなものだった。
「どうしてこんな格好するんですか?」
 ささやかな疑問を持ちながらも、沙希は篠原に手渡されたセーラー服とスカートに着替え始める。逆らって篠原を怒らせても何も良い事がないことは、今までの付き合いで痛いほど知らされている。従順に従っていれば、優しくしてくれる。そのことが身に着いていた。また、高級マンションと言うのも沙希の気持ちを和らげる。
(篠原さんもこんなコスプレ、好きなのかな……?)
 公園や野外でないので、いつものような恥ずかしい思いもしなくてすむだろうと油断させた。

「沙希は僕の仕事、知ってるだろ?」
「映像……関係?」
 篠原の質問に、渡された服に着替え終わった沙希は軽く答える。
「そう、僕の仕事現場を見せようと思ってね、アダルトビデオの撮影現場。今日はここが撮影の現場だよ」
「……!?」
 沙希には篠原の言葉が俄かには理解しがたいものだった。続いて、沙希には信じ難い言葉が、篠原の口から飛び出した。
「沙希には、主演女優として出演して欲しいんだ」
「えっ!?」
 目を丸くして篠原を見詰める沙希。しかし篠原は、そんなことはお構い無しに話を続ける。
「驚いてる? でも、もう撮り始めてるんだよね、君が主演で……。ほら、この前の初めてのフェラ、初めての中出し絶頂……。いい絵が撮れたよ」
「!? ……、嘘でしょう……」
「嘘なんかじゃないさ、隠し撮り風のマニアには堪らない映像がね。実際、隠し撮りだったんだけどね」
(本気なの? 私と篠原さんのセックス映像を……、あの時の映像を本当に発売する気なの?)
 セックスは、秘めてお互いが愛を確かめあうものだと思っていた。そのセックス映像を、己が快楽を得る為に不特定多数の男達に見られると思うと恐くなる。男達に自分の痴態を見ながらオナニーのネタにされると考えると……。沙希の膝が、今まで経験のしたことの無い動揺にガクガクと震える。
「う、嘘……。そんな……」
(知られちゃう、学校のみんなに……、昇にも……)
 学校でも男のクラスメート達がAVの女優を話題にしているのを知っている。沙希のAVが世に出れば、目敏い誰かが見つけ話題にするだろう。そんな沙希の不安を気付いているのか気付かない振りをしてるのか、篠原はいつものように軽やかに話を続ける。
「沙希だって、気持ち良くなれるんだから……、いいよね。お金が貰えて気持ちよくなれて、いいアルバイトだね」
 満面の笑顔を向け篠原は、沙希の顔を覗き込んだ。
「イヤです! そんな……、AVに出るなんて!!」
 沙希は眉間に皺を寄せた顔で篠原に迫る。
「そんな困った顔しないで。心配ならいらないよ。目元にはモザイクを掛けてあげるよ。今回は他の男優ともお願いしてるから、何回も沙希を逝かせて上げられるよ。みんないい一物を持ってるよ」
(えっ? 他の人ともするの?)
 篠原の言うことは一言一言が沙希を驚かせ、戸惑いは増すばかりだ。
「ダメです。篠原さん以外とするなんて……」
「俺とだったらAVもOKなの? 今回は我慢してよ。終わったら俺のチ○ポで気持ち良くしてあげるから。何度でも逝かせてあげるよ」
 篠原は沙希の言葉など聞こえてこないとばかりに一方的な良い訳を並べAV出演を認めさせようとする。
「それに今回はボンテージマスクを被ってもらうから、誰だか判らないよ。ちゃんと、鼻と口はあいてるから、フェラの邪魔にはならないよ、沙希の好きなフェラの……」
 そう言って篠原は、皮で出来たマスクを沙希に被せた。マスクは、顔半分、頭部から目元までを隠すハーフタイプで、鼻と口に掛けて大きく穴が開けられている。
「編集のヤツラがモザイク掛けるの嫌がるんだ。モザイク無しで発売したいって言うのを、なんとかモザイク掛けさせることで説得したんだから……。モザイク掛けるのも大変なんだよね、動きのある映像の中で……。だから今日はマスクを被ってもらうことになったんだ。顔がばれるのは困るだろ、沙希も……。モザイク掛ける手間も省けるし……」
 そして後頭部を紐で締めながら諭すように言う。

「ど、どうして? どうして私をAVに出させるの?」
 自分の意思を聞き入れてくれない篠原に焦りを感じながら、沙希は訊ねた。恋人なら、自分以外の男とセックスさせるなんて考えられない。沙希にとっても、愛を感じる人以外の男とセックするなんて考えたことも無かった。
「かわいい沙希をみんなにも見て欲しいからさ。それに映像として残しておくと、逢えない時でも、いつでも沙希のかわいい喘ぎ顔を見られるだろ?」
 篠原から帰ってきた答えは、いかにも勝手な言い訳だった。
「そ、そんな……」
 あからさまな嘘でも、沙希には声を荒げて『嘘だ!』と罵ることが出来なかった。嘘と決め付けることは、今まで篠原に愛されてると信じ込んでいた自分を否定するようで、躊躇われた。
「沙希だって困るだろ? AVがモザイク無しで出回って、昇君やクラスメートに知られちゃうと……。沙希ちゃんが承諾してくれると、モザイクも掛けるし身元がわからないようにしてくれるって約束してくれてるんだ、社長も……」
 篠原は冷たい視線を沙希に向け、脅しの言葉を沙希に突きつけた。
「でも、イヤです。AVに出るなんて!」
 このまま篠原の言葉に流されていてはAV出演を認めさせられてしまう。沙希はいつもとは違い強い言葉で否定した。
「そんな我が侭言わないで……。もう男優さんたちが来るよ」
「でも、イヤッ! 絶対」
 ガシャッ。
 頭に被せられたマスクを外そうと沙希がする時、ドアが開く音がした。そして、部屋の扉が開き数人の男が入ってくた。
「!!」
 沙希は、マスクの奥の目を見開いた。
「喋らない方がいいよ。声で誰だかバレテしまうよ」
 耳元で篠原が、男達には聞こえないように小声で呟く。
「っ! ……!!」
 篠原の言葉に、沙希は言葉を飲み込む。入ってきた男優達の中に知った顔があったのだ。篠原の言葉と、緊張した面持ちでオドオドと最後に入ってきた青年は、沙希の言葉を遮るには十分だった。知った顔の男、それは幼馴染の昇だった。
「彼はまだ、今日の主役が沙希だとは知らないから……。ばれてもよければ、喋っても構わないけど……」
 沙希の耳元で篠原は小声で伝えた。

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