人妻と少女の淫獄
木暮香瑠:作

■ 沙希、集団調教2

 男優達に続いて三脚に載ったカメラや録画機材を持ったスタッフ達が入ってきた。
「その娘が今日の主役かい? なかなかスタイルのいい娘だね」
 男達が品定めするように沙希の肢体に視線を這わす。ミニスカートから伸びたすらりと長い脚、セーラー服とスカートの隙間から覗く引き締まったウエスト、服を押し上げる胸に男達の粘着質の視線が向けられている。
「モデル級の肢体だね。顔を隠すのが勿体ないね。篠原ちゃんが見つけてきた娘だから、顔も一級品なんだろ?」
「まあね。でも本人が、顔は出したくないって言うもんでね。顔出し無しでやっと出演を認めてくれたんだ。そうだろ?」
 沙希の顔を覗きこんで、同意を求めるように訊ねる。
「……」
 沙希は声を出すことも出来ず、胸の前で両手を握り締め、震えるように顔を横に振る。
「嫌がってるんじゃないの? 彼女……」
「嫌がってる振りさ。ザーメンを子宮にドバドバ流し込んでやったら、ヒイヒイ言って嬉しそうにアクメを迎える、そういう女なんだ」
 愛の欠片も感じさせない言葉に、マスクの奥で沙希の瞳が曇る。
「そうだろ? イヤならイヤと、ちゃんと言葉にして言って!」
「うっ、……」
 沙希の唇が動きかけ、息を飲み込んだ。
(イヤッ、そんな……。声を出したらばれちゃう、昇に私だと……。そんなのイヤッ! ……昇に知られるなんて……)
 沙希は、弱々しく顔を横に振るが、篠原がそれを認めるはずも無い。
「えっ? どうなの? イヤならちゃんと声に出して言ってくれないと判んないな……」
 言葉を出せないことを知っていて、意地悪に訊ねる。あくまでも沙希が、AV出演を承認しているように取り繕う為に……。
「あっ、そうそう。ピルも飲んでおかなくちゃね、安全の為にも……。今日はザーメン中出し祭りになるからね」
 そういって錠剤とミネラルウォーターのペットボトルを篠原は沙希に差し出した。
(こ、こんなにたくさんの人に中出しされたら……)
 錠剤とボトルを受け取った沙希は、慌ててピルを飲み、両手で支えたミネラルウォーターで胃の中に流し込んだ。その横で篠原が発した言葉は、沙希の労う気持ちも愛も無いものだった。
「中出しOKなんだね。イヤとも言わないし、ピルを飲んだってことは……」
「こんなに若い娘に中出し出来るっ、今日はいい絵が撮れそうだね」
「あの娘なんだろ? 篠原ちゃんがフェラを教えてた……。おい新人、マスクをしてるがこの娘、すごいかわいい娘だぜ」
 男優達はみんな、先日の隠し撮りの映像を見ているみたいだ。
「ラッキーだな、初出演がこんなに可愛くて若い娘だなんて。顔出しNGが残念だけど……」
 男優の一人が昇を冷やかすように言う。昇も緊張した顔を引き攣らせながらも、笑みを作って見せた。
「妊娠されちゃうと困るからね。降ろすのにお金も掛かるし、AVに出れなくなっちゃうのも困るし……。これから稼いでもらわないとね」
 沙希の瞳から溢れた涙を、マスクが吸っていった。



 それは数日前のことだ。

「ちきしょう、姉さんは犯らしてくれないし……」
 ゲームセンターでシューティングゲームに興じていても、昇の口から出るのは不満ばかりだ。口には出さないが、沙希のことも気になる。
(沙希は何してんだろ?)
 最近は、登校の時も迎えに来ないし、帰宅時も一緒に帰ることもなくなった。
(本当に彼氏が出来たのかな? あの時も彼氏に会いに急いでたのかな……)
 先日の放課後、校舎の窓から見た急ぎ足で帰っていく沙希の姿が思い出される。

「やあ、昇君。元気?」
 ゲームセンターの喧噪に中、昇に後から声が掛けられる。声の方に振り返った昇に笑顔を向ける男、篠原が話しかける。
「俺のこと、俺と君の義姉さんの関係、気付いてんだろ?」
「ああ、知ってるよ。姉さんとAVに出てた……」
 昇は、顔をゲーム画面に向け篠原を見ずに返事を返す。昇は、義姉が執拗に拒む理由はこの男だと疑念を抱いていた。
「お前、姉さんに何か言っただろ」
 その疑念をぶつけてみた。
「ひどいな、僕がそんな男に見えるかい? 俺が君の姉さんに何か言える立場じゃないけどね。美香さんと何かあったのかい? 昇君」
 とぼける篠原だが、昇は振り返りもしない。それどころか、今まで以上に厳しい視線でゲーム画面を見詰めている。早くどこかへ行ってくれとばかりに……。
 しかし篠原は、そんな昇の気持ちを無視して話を続ける。
「例えば……、セックスさせてくれなくなったとか……」
「っ! ……」
 昇は、ビクンッと背筋を振るわせる。義姉とセックスしたことを知られていたことに動揺し言葉を飲み込んだ。
「図星だったみたいだね」
 篠原は、にんまりとし昇の顔を覗きこむ。
「まあ、不倫はいけないねって言ったかもしれないね、世間の常識として……」
 耳元で呟くように喋る篠原だったが、この喧騒の中でも昇には不思議と言葉は耳に届いた。それほど意識が敏感になっていた。小動物が猛獣に狙われているときのように……。
「君らの年頃じゃ、性欲が溜まってしょうがないだろ。せっかく見つけたセックス相手がさせてくれないんじゃ、そりゃあ機嫌も悪くなるよね」
 昇の動揺を楽しむように呟き続ける篠原。
「セックスしたくないかい? 何なら紹介するよ。セックスできる相手を……」
「……ど、どうせAVにでも出ろとでも言うんだろ」
(どうせ俺をからかってるんだろ? 姉さんに拒まれてる俺を面白がって……)
 緊張を隠そうと、昇は強がって見せる。
「そうだよ。JK輪姦物のAVを獲ろうと思ってね。輪姦物は男優が多い方がいい物が撮れるからね」
 冗談のつもりで言った言葉がまさかの正解だったことに、昇は身体を強張らせた。
「思いっきりセックスできるんだぜ。それに少々のお金ももらえる。いいアルバイトだろ?」
 世間体や良識を無視すれば男性の夢のような話に、昇の耳以外の神経回路を遮断したように佇み、篠原の言葉を聴き取ろうとしている。
「顔にはモザイクを掛けても良いよ。学校に知れたらヤバイもんね。それに姉さんや沙希ちゃんに知られても……」
 義姉に拒まれ沙希からも距離を置かれ、イライラとして妄想ばかりが脳裏を占めていた隙間に篠原の甘い言葉が忍び込んでくる。悶々とした時間を強いられてる昇には、誘惑を断る理由を探す勇気は持てなかった。

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