従兄妹の夏
はるき:作
■ 9
それから1週間後、僕はいつもの時間に彼女の家に行きました。
「こんにちは」
ところが、玄関のドアを開けて呼んでも返事がありません。
(あれ? でも、ドアが開いているんだからいるんだろう)
そう考え、悪いとは思いましたが、靴を脱いで上がり込んでいきました。
彼女の部屋は2階ですが、まず入口に近い居間に行ってみると、奥のトイレのほうから、押し殺したような声が聞こえていました。
(?)
そっと行ってみると、トイレの中からくぐもった声が聞こえていました。
「うぅぅ・・・」
(聖美、具合でも悪いのかな?)
そう思っていると、
「あぁぁ・・・いい・・・」
それは、あきらかに女性が感じているときのあえぎ声で、しかも、僕が知っている聖美の声ではありませんでした。
(叔母さん?)
この家のトイレに入るのは、聖美以外では叔母しか考えられません。
(叔母さんが、この中でオナニーを?)
上品で、いつも落ち着いた雰囲気をただよわせている、あの叔母さんがオナニーしている姿は、僕には想像ができませんでした。
(ご主人が亡くなったから、仕方がないのか・・・)
女性の性欲はよくわかりませんが、あの美しい叔母はまだ38歳でしたから、無理もないのでしょう。
「あぁぁ・・・いいわぁ・・・」
悩ましい声とともに、
ウィィィィン・・・。
無機質なモーター音が聞こえてきました。
(バイブ使ってるんだ・・・)
「うっ・・・、うっううっ・・・」
乾いたモーター音の中で、叔母の上ずった声が大きくなっていきました。
「はぁぁ・・・はぁ・・・いい・・・」
いつもの落ち着いた叔母の声ではなく、メスの動物の声でした。
「ん、んんっ・・・いいっ・・・いいぃぃぃ・・・」
バイブの音、叔母の声に混じって、
くちゅくちゅ・・・。
という音も聞こえてきました。
「あぁぁ・・・きて、きて・・・」
モーター音が、いちだんと大きくなり、
「早く・・・早くきてぇ・・・」
叔母の声がして、モーター音が少し静かになったようでした。
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