青春の陽炎
横尾茂明:作
■ 堕落4
また陵辱されて3ヶ月が経とうというのに…、未だ敏夫に呼ばれ体を開き陵辱の限りを受け何事も無かった様に口を噤んで毎日教壇に立てる、女の性に腹が立った。
敏夫の精液にまみれた肉体とは知らず、夜な夜な想像を逞しくしてオナニーに耽った自分…。
先生の家に呼ばれ、有頂天になってた自分……。
背中を震わせ無防備にも尻を向けて嗚咽する女に、日頃憧れていた想いが…、無惨に崩れ落ちて行くのをマサルは感じた。
敏夫はマサルに、この女と遊んどれ…と言った…。
目の前の女はもう先生ではない、敏夫を喜ばせた性器自身と感じた。
そう思うとマサルは楽になった。あのオナニーの対象者が目の前にいる。キラキラひかる生身の裸像が手の届くところにある。
どんな陵辱にも耐え、口を噤んでるメスが目の前にいる。
据え膳以外の何者でもない女だ。
しかし、マサルは思った…女の弱さにつけ込む卑劣漢にはなりたくない…。
先生の目映くひかる全裸を前にして…、肉欲は耐えられない所まで来ているが…、ここで先生を陵辱したら…、情けない思いになることは必至と感じた…。
長い沈黙を破り…、マサルは、
「先生」
と声を掛けた。
由紀はその声に応えるようにゆっくり振り返った。
その顔は先生の貌では無かった…。泣きはらした後の汚れた子供の貌であった。
マサルは情けなく、このまま黙って帰ろうと思った。
しかし自分がこのまま帰ったら……、先生はこの侮蔑には耐えられないと感じた…。
(この人は死んでしまう)と直感した、マサルは迷った…そして葛藤の末……。
「先生、僕はどうしたらいいんですか」
「…………」
「この事は、誰にも言いません。死にたいなんてもう言わないで下さい」
「マサル君、先生のこと許してくれるの」
「許すも許さないのも……、先生は被害者じゃないか」
「敏夫には今後、絶対先生には手を出さなせから、もう泣かないで下さい」
「マサル君、有り難う」
由紀は又さめざめと泣き始めた。
敏夫に先生のことを諦めろという迄もなく…、敏夫がマサルに先生を会わせたということは、敏夫はとうの昔に、この女に飽きたということをマサルには分かっていた。
昔、敏夫は飽きた玩具をいつもマサルにくれた。以前少女の時も同様である。
多分、敏夫は今夜は帰らない…。精一杯、マサルに気を利かしたつもりなのだろう。
「先生、もう遅いですから帰りましょう」
「………そんなことしたら、敏夫君に叩かれる……」
「そんなこと…僕がさせません!」
「マサル君は敏夫君の本当の怖さを知らないから……」
由紀の心の奥底に敏夫への恐怖が巣くっていた、由紀は身もだえしながら後ずさった…。
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