青春の陽炎
横尾茂明:作
■ 恐喝3
ビール瓶の口部を膣に挿入しろと言われ痛さに泣いた。最後に…跪かされ敏夫のペニスを口にくわえ鏡の反射を利用し全身写真を数枚撮られ、鏡を見ながら指でVをせよ! と命令された時は恥ずかしさと屈辱で戦慄いた。
「よーし! 終わった、ほら帰っていいぞ」
敏夫はタンスの鍵を開け、由紀の下着と服を、屈辱に泣き崩れている由紀の頭の上にばらまいた。
由紀は泣きながら立ち上がり散らばった服を拾い集め……、ショーツが無いのに気がついた……。
由紀は敏夫を見上げた。敏夫は、
「今日の記念に貰っておく」
とニヤけた。
由紀はブラジャーを付け…、裸の腰にスカートを巻き付けた。
着終わった由紀は、敏夫に一瞥もくれずドアを開けた。
「先生! 言わんでも分かってるよなー」
「写真はしっかり預かっておくから」
「また連絡するからな!」
「お前は俺から逃げられん! 覚悟を決めるんだな」
由紀は何も聞いていなかった…。ただフラフラと夕闇迫る路地に躓きながら歩き出た。
ただ呆然と歩き橋に差し掛かった。川面から吹き上げる風を性器に感じた時…、由紀は現実に引き戻され、屈辱に泣いた……。
(このままこの川に身を投げてしまおう)
……死を予感し、それを行動に移そうとしたとき保存本能が邪魔をした…。口中がカラカラに涸れ果て、目の前が白くなり冷汗が吹き出た。……死にたくない。
自殺とは悲観が生命の保存本能を凌駕したときに達成できるもの…。私ははまだ生きていたい…。
本能を脱却出来るほどの苦しみは未だ受けていないように由紀には感じられた。
由紀は(お母さん)と、心の中で呼んでみた。……辺りはほの暗く夏の闇がせまっていた。
次の日、由紀は敏夫からの連絡に怯え、まんじりとせず1日中部屋で過ごした。
夕方母からの電話が有ったが……出ることを躊躇った。
二日目の昼に敏夫からな電話が有った。留守電からの呼びかけに抗しきれず由紀は受話器を取った。
「居るじゃねーか! 先生よー逃げようなんて料簡起こしてみやがれ。ただでは済まんさんぜ!」
「先生の恥ずかしい写真……、わかってんだろうなー」
由紀は目から大粒の涙が湧き出た。……猛獣の前に引きすえられた小動物のようにただ震え、食われるのを待つ…おのが弱さにむせび泣いた。
「先生! 夕方5時に俺んとこへ来いよ!」
……ただそれだけであった。
■つづき
■目次
■メニュー
■作者別