青春の陽炎
横尾茂明:作

■ 恐喝4

由紀は催眠術をかけられたかのように、逃げる気はもう起きなかった。ただ日の暮れるのを待った。

 3時頃シャワーを浴び、性器を丁寧に洗い、化粧を始めた時、
……私…、私…、何をしているの
と考えた。今から陵辱を受けに行くというのに…女の性を感じた。

 外は昼の厳しい陽光は衰え、夏の風が吹いていた。
由紀はワンピースの裾を揺らす風に向かって歩きだした。


「先生ヨー! 遅せーじゃねーか」

 時計は四時を40分ぐらい過ぎていた。由紀は敏夫の家の前を30分ほど行ったり来たりで、痺れをきかして玄関に出てきた敏夫に強引に引きずり込まれた形となったのである。

敏夫はベットの横に立つ由紀の腰を蹴った。由紀はふらつきながらも直立していようと堪えた。

「来い! と言ったら時間通りに来んかー!」

「敏夫君、……ごめんなさい」

「送れた罰として、そこでストリップをしろ!」

 由紀はもう屈辱心は無かった……。恐怖心で完全に敏夫にのまれていた。
8才も年下の青い高校生の…性の奴隷になりかけていた。

由紀は背のジッパーを降ろし、肩からワンピースを落とした。

 ブラジャーとショーツ姿を敏夫の目にさらし、両の手を腰の前でにぎり性器の膨らみを隠す仕草でもじもじしながら敏夫を見た。

「パンツから先に脱げ!」

 敏夫の命令に一瞬躊躇するも、由紀はあきらめらように腰のショーツに指を掛けゆっくりと降ろしながら、顔が上気していくのが分かった。

足首に絡んだショーツを取り、ワンピースとともに丸めて下に置き、再度敏夫の前に立った。

 由紀は敏夫の目に己の性器を晒しながら、心の中で(餌食になるの)と問うた。
性器に空気を感じたとき、被虐的な暗い炎が心の内を一瞬照らすのを感じたからだ。

 8才年下の高校生に、性の奴隷として簡単に脱がされた。これから叩かれて泣き、性器を弄られ乳房を噛まれ土下座して許しを請う……。転がされ、めくられ、突っ込まれ、のたうち回る……。

 敏夫の欲望のおもむくまま、敏夫の精液が涸れ果てるまでなぶられる。
由紀はこの不条理且つ人間の尊厳を全く無視した無惨な行為を、必然として受け入れようと無意識下で飲み込んだ。それは自我と社会の中でおのれを自立させる精神のギリギリの
選択として捉え、精神に蓋をして崩壊をくい止める無意識行動でもあった。

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