青春の陽炎
横尾茂明:作

■ 恥辱責め6

 敏夫は子供の頃からマサルが喜ぶと嬉しかった。エロ写真を見せたり、オナニーを教えたり、少女を抱かせたり……、敏夫がマサルを喜ばせられるのはそんな卑猥なことしか出来ないが…まさるの喜ぶ顔は兄弟がいない敏夫には至福の思いであった。

 由紀をマサルにやろう…。マサルが由紀に憧れを抱き、恋い焦がれていることは前から知っていた。
自分の使い古した由紀だが…マサルは泣いて喜ぶ事だろうと一人合点した。

 敏夫には恋だの愛だのは無縁の言葉で有った。マサルに手っ取り早く由紀を抱かせるには以前の少女の時のように情事の現場を見せ、マサルに観念させるに限ると考えていた。

 敏夫は今晩由紀を来させ、タイミングを見計らってマサルの来訪に合致させようと考えた。

 由紀を6時半に呼び、いつものようにいたぶり、7時に挿入した…。だがマサルは約束の時間が過ぎても来なかった、時計を見ながらペニスの萎えていくのを感じ一時中断して敏夫は煙草を吸った。

(マサルの奴…オフクロに止められたか)
…敏夫はマサルの母に嫌われているのは知っていた。

 煙草を吸い終わり……ままよとSEXを再開した…今日はイケない予感を感じ、焦りながら腰を振ったドアの向こうで足音が聞こえた。…その音に敏夫は腰を突き抜ける快美感を感じたのだった。



由紀は物思いに耽りながらマサルのペニスをいじっていた。

 由紀は敏夫との3ヶ月を振り返り、この月日は自分にとって一体何だったのだろうかと考えていた。
物心がついてこのかた…人間を恐いと思った事は一度たりて無かった由紀である。

 大学教授の父と物静かな母に包まれるようにして育てられた由紀……。学校も社会も由紀を汚すものは一切無かった今までの人生……。

 純粋培養のシャーレーの中で育ったようなものである。この世界にこんな汚辱に満ちた世界が有るなどとは想像の埒外の由紀で有った。

 敏夫に初めて顔を蹴られ鼻血を流した時……、人の怖さを知った。精神すら破壊する暴力の怖さを知った由紀である。

 人は暴力とか死に晒された時、その恐怖本能は自分にとって命から二番目に大事なものを与えることで回避しようとする。
 由紀にとって顔を蹴られ鼻血を流した現実は、死を意味するほどの恐怖であった。
由紀の生い立ちがそうさせたのである。

 由紀はこの恐怖を回避すべく…命から二番目に大事なもの……そう! 純潔な躯を陰獣の前に差し出すことで暴力で破壊しそうな精神を救ったのである。

 だが敏夫との三ヶ月に渡って繰り広げた汚辱に満ちた生活は、由紀の心を大きく浸食していた。
この心が壊れるのにもう幾らの月日も掛からないように由紀には思えた。

 今までどれほど父母にすがりたかったか……。しかし由紀が敏夫にされた数々の恥辱の行為を、親に知られることは更なる恐怖であった。

 由紀は誰かにすがりたかった。心が助けを求めていた……。しかし羞恥がそれをさまたげ……それがさらに敏夫の思うつぼにはまり込んでいく由紀でもあった。

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