可憐な蕾
横尾茂明:作
■ 捨てられた少女4
(ハーッ…こりゃー明日は忙しくなるぜ)
(まずは今の学校の転出届けか…)
(転入校の書類も受け取らんとな)
(親でもない俺が…なんでそこまでせにゃならんの)
(ハーッ仕方ねー…楽しみのためだ、なりすますか)
(それと住民課に行って転入手続きもしないと…さて転出をどうやるかだな)
(あのガキ…印鑑なんて持ってねーだろーなー)
(養子にするって言う方法もあるが)
(未成年者を養子にする場合は家庭裁判所の許可書謄本がいるから…これはマズイわな)
(しょうがねー…明日は1日仕事を休んで一気に済ますか)
(はーっ、やてられねーぞ)
剛史はそう思いながらも…心は何故か奇妙に浮き立っていた。
透明感に満ちた少女の肌…折れてしまいそうなほど細い指と真っ白なうなじ…。
それとあのこぼれ落ちそうなほどの可憐さ…。
その可憐無垢の少女を己のペニスなじむまでいたぶり、体液をあの真っ白なウブ肌にしみこませる鬼畜な所行。
これで浮き立たないわけはないと剛史は一人ほくそ笑む。
剛史はこれまでにあれほど美しい少女を見た記憶は無かったのだ。
38才で独身の剛史…これまで女性経験は何人もあるが、気に入った女はいなかった。
しかし体は女を求める、そんなときは街に出て…たむろする少女を物色し、可愛げな少女を見付けては声を掛け…数万の金と引き替えに幼い青い性に淫らを強要し貪った。
今田に以前…お前は少女趣味なんだと言われたことがあったが…その時は何を馬鹿なと反論したが…思えば今田に心の深淵を見透かされた反射であったようにも感じる。
今田は美少女を連れてきた、彼女を前にして剛史は絶対に断れないと確信を持って…。
(あの野郎には…とうに見抜かれていたてことかー…)
カーテンを閉め忘れたのか…明るさで目が覚めた、時計は6時半を指していた。
(もう少し寝るか…)
と思った刹那…昨夜の出来事が甦る。
(そうだ…あのガキ…)
剛史はパジャマのまま、階下に降りて洗面所で顔を洗いはじめる。
先から少女のことがしきりに気になっているが…。
(まだ起きていないのかな…)
(あんな事になって疲れているんだろうか)
(しょうがねー…もう少し寝かしといてやるか)
顔を拭きながら鏡を見た瞬間驚く…少女が知らぬ間に背後に立っていたからだ。
「おはよう御座います…」
剛史はたじろぎながらも振り返り、少女の全身を視野に入れた。
赤の半袖のミニワンピース、髪は可愛く横で縛り零れるほどの可憐さで剛史にお辞儀する。
「お、は…よう」
剛史は気押された感覚に…洗面台に後ろ手を付いて何とか挨拶を返した。
ミニのワンピから零れる真っ白な形のいい脚と…ミルク色の腕。
朝日を受け愛くるしいほどに輝く顔とその影は剛史をたじろがせるには余りある可憐なエンジェル像…。
少女がクスっと笑う…その笑いで自失呆然から剛史は我に返った。
「ご飯…出来てます…」
「失礼かとは思いましたが…冷蔵庫に有る物で朝ご飯の用意を致しました」
「そ…そうか…」
踵を返した少女のあとに続きながら…主客転倒の感に頭を傾げながら台所に向かう剛史。
冷蔵庫の中のあり合わせで作ったと言うだけあってけして豪華とは言えないが…みそ汁はとびっきり旨かった。
鰺の開きを箸でつつきながら少女を盗み見る…美少女は品のいい食べ方でご飯を口に運んでいた…
口が動くたびに可愛いえくぼが見え隠れし、その可愛さには圧倒するものがあった。
剛史は何か楽しくなってきた…久々に朝ご飯を人と食べるのが嬉しいのか、それとも美し過ぎる少女が手を伸ばせば触れるところにいることが嬉しいのか…いずれにせよ近年になく心が浮き立った。
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