可憐な蕾
横尾茂明:作

■ 夏の盛り1

「お父さん、戻りました」

少女は事務所のドアを開けて学校から帰ったことを剛史に告げる。

「おっ、帰って来たか」
「沙也加、期末試験の結果は…どうだった?」

「はい…結果表…貰ってきましたが…」
少女は鞄をソファーに置き、中から紙片を取り出す。

「なんだ…悪かったのか」
「まっ、1学期はほとんど学校に行ってないもんな…」

「怒らないから、ちょっと見せてみな」

少女は剛史の事務机の前に進み、紙片を渡す。

「これか…」

剛史は紙片を開き、しばらく目を通す。

「おっ、嘘だろう学年で2番じゃねーか、こりゃすごい!」
「って、お前いつ勉強してるんだ」

「夜は…あればかりだろ、それと終わってからは…」
「俺に抱かれてすぐ眠っちまうし…」

「勉強なんぞする暇ねーのに?」

「……学校で…授業うけてる…から」

「ぶゎーか! そんなことわかってるよ」
「学校の授業だけで2番とれるならみんな2番じゃねーか」

「だってー…」

「ふぅん…お前、頭いいんだ」

「まっ、俺や今田の子種じゃねーことは確かだから」
「なんせ俺も今田も高校大学は私立のカス校だったからよ」

「しかし嬉しいねー、お前を見直したぜ…」
「スケベなエロガキだとばかり思ってたが、やるじゃねーか」

「祝いに…そうだなー、お前何か欲しい物はないか?」

「そー言えば…お前来週から夏休みだって言ってたなー」
「何処かに旅行にでも連れて行ってやろう」

「……………」

「まっ、考えておけや」

「それと…今から俺はクライアントの会社まで行かなきゃならんし、夜はたぶん飲み会になると思うから…」

「今日は先に寝てな」

「なんだ…一人で寝るのは…寂しいのか?」

「な…わけねーか、あれから毎晩だったからな…」
「今夜はオ○ンコ休暇だな、ムフフ」

「じゃー行くから、ちゃんと鍵締めて寝るんだぞ」
剛史は言うと、鞄に書類を詰めだした。

「分かりました、お父さんも気を付けて下さい」
少女は事務所を出て自分の部屋に向かう。

鞄を机に置き、ベットに腰を掛ける。
そして…気が付いたようにベットを見つめた。

(オジサンの…お母さんが使ってたベット…)
(あれから一ヶ月もたったんだ…)
(あの日…このベットで父のことを想って泣き明かした…)

(このベット…思えばあの日に寝たっきりだった)
(次の日からは…オジサンのベットで…)

(なんか変な感じ、日常の習慣になってたHなこと…)
(今日はされないって分かると…何故か寂しい感じ)
(私…Hな子になっちゃったのかな…)

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