家畜な日々
非現実:作

■ 〜追記調教〜5

夜、再びアイツが入ってきた。
起きたばかりの事だった。
今まで不思議に思っていた事を聞いてみた。

「監視カメラ、解らなかったか?」

横倒しの姿勢でポカンと見上げる。
天井の四方、確かにカメラがあった。
不覚にも納得する。
出産を迎えた牛を絶えず監視する事は、当たり前の事らしい。

「そろそろ餌でも食わんか?」
「……いりません」
「2日食べてないが?」
「食欲無いんです」

実際、お腹は減っていないのは、この非現実的な環境のせいかもしれない。
それに、タライをトイレとして使う事は何より、人として終わってしまう気がした。
水は飲んでも、汗で出ているみたい。

「じゃあ、ご主人様が餌を食わせてやる」
「あぁ、本当にやめっ」

足枷と首輪で繋がれた鎖が解かれた。
久々に背中が伸ばせる事にホッとする。

だが、これが逆の苦痛になろうとは……。

まず正座されて、再び足枷に鎖を取り付けられる。
そして後手にされた手枷の留具に、足枷から伸びた鎖が留められた。
(手が、動かないぃ)
続いて、もう1つの鎖を手枷の留具へ取り付ける。

「顔を真上に上げろ」
「うぃぃっ!」

延髄が首輪に食い込むまで、上へ顔を上げられた。
すぐさま、顔が下げられなくなるようになった。
後手状態の手枷から伸びた鎖が、首輪に繋がれたらしい。

「あっ、くぅふぅっ!」
「苦しいだろうが、このまま我慢だ」

何かを用意しているアイツ。
私は必死に楽な姿勢を探すが、正座でのエビ反り状態では何も出来ない。

「口を開けろ」
「あむぅ」

右手(骨折していた筈)で、口をこじ開けられると歯を覆うような金具を嵌められた。
丁度「お」の発音をした状態で口が動かなくなる。

「〜ぉ〜〜〜ぉぉ〜〜〜……〜〜」
「喋れなくなるだろう?」

口の金具は頑丈そうな皮が両頬を覆い、アイツは後頭部の所で紐を結んでしまった。
口からは空気を吸うのも吐くのも困難だ。

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