家畜な日々
非現実:作

■ 〜追記調教〜11

私自身も知らなかった空腹が満たされて、気持ちが落ち着いた。
何も考えられなかった程のパニック状態は解除され、今は冷静に考えられる。

「会社、クビかな……」

小さくと呟いてみた。
(有給も無いしなぁ)
…… ……なんてトンデモくだらない事も思い出してくる。
別に会社の事なんてどうでもよかったのだが、この非現実的な現状の中…… ……。
どんな些細な事でも、前の思い出にすがり付きたかった。


それにしても…… ……。

これほどまで、追い詰められた私も珍しい。
勝気・生意気・ワガママ、よく噂で耳にする私の陰口、ベスト3。
私自身も高飛車だと思っているし、男を手玉に取るのも得意だったりする。
でも私の身体目当てに寄って来る男から、トコトン貢がせて最後に捨てる事に何が悪い?。
一夜限りの恋愛は、戦いだ。
気に入った男以外は、全勝。
負けたらその男は私の言いなり。

……そう考えていた。
でも今の私が、その言いなり。

だけど、今まで会った男の中でも最悪の大野健三という悪魔に、こういう形で屈するとは……。

「〜〜〜ぅうう……くっぅぅ〜〜」

冷静な分、深々と考えると泣けてきた……。


「むぅ…ぅぅ〜〜〜〜んっふぅ!!」
「そらそら、どうした?」
「ぅ〜〜〜ごっふ、んっかぁ…ンぐぅ」
「あと少しだっ、零すんじゃないっ!!」
「〜〜ぃ〜〜〜ぅ」
「ありがたい餌だぞっ、残さず食えっ!!」

私は、夜の食事を食べさせられていた。
口枷状態で流し込まれるのは、お粥。
正座のまま、後手の手枷から伸びるのは、首輪の留具に装着されたピンッと張られた鎖。
エビゾリのまま鎖のせいで強制的に真上を向かされている。
お粥は私の意志とは関係無く口に流し込まれる。
必死に鼻で息をしながら、いつまでたっても口の中は、お粥の表面張力。
苦し紛れに吐き出そうとすると、表面張力のお粥が飛び散る。
無くなるまで終わらない地獄。

事の発端は、私が食事の挨拶を忘れた事だった。
たった一度のミスも許されないなんて……。

「こぽ、アゥ〜〜〜っは、ンんぉ〜〜んぐ……」
「どうした雌奴隷由紀っ、お前はどうしようもないくらいの馬鹿な奴隷だろ?」
「んぉ、んンぁ〜〜ぁ〜〜〜んぅむ」
「これだけ言いつけ守らない奴隷も珍しいぞ、虐められたくてたまらないんだな?」
「ぁおっぉ〜〜〜んむ、ぁンぐ、っパァ!!」

辺りに飛び散らしながらも、やっと飲み終えた。
空になった口内からようやく、空気が入るようになった。

「はっはぁ、はっぁ、はぁはぁ…ふぃはあっぁ」

苦しさのあまり激しく空気を求める。
鼻から口から、逆流したお粥の糸がポタポタとタイトミニを汚す。

「お前には真性マゾの素質があるようだな。」

反論はしたいが、今は苦しくて何も答えられない。
その間アイツは、鎖を手枷の留具から外した。
首輪の留具には残った鎖。
グイィッ……。

「あっ、うっ!?」
「さぁ、食後の散歩だ」

首輪の留具に繋がれた鎖を引っ張られて、意識が飛びかける。
慌てて、四つ這いになって苦しさから逃れる。

「さぁ、今日はお前の好きな所へ行っていいぞ?」
「?」

アイツを見上げ、その瞬間顔面が強張る。
手には鞭があったのだ。

「グズグズするな、立ち止まるとこうだっ!!」

ビィッシィィッ!!

「ぁおおおぉっ!!」

背中に一撃。
考えられないほどの激痛に、私は思わず大声で悲鳴を上げてしまった。
スパンキングの数十倍の痛みに、頭の中は真っ白になり、ただ叩かれるのを防ぐために無心に四つ這いで歩き続けた。
リードを緩めながらアイツは鞭を肩越しについて行く。

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