家畜な日々
非現実:作

■ 〜変態調教〜2

「だいぶ、火照っているようだ」
「だねぇ」
「雌豚はいいな、どこでも発情出来るなんて」
「うふふパパァ、もっと発情させようよ?」
「だな」

私の腰使いに釘付けのユウジ様に、ご主人様が云う。

「もっと栄えるよう……頼むよ?」
「はっ、はい……ではこちらにっ」

ユウジ様が慣れた足取りで裏路地へと足を進めた。
遊び場として熟知していた繁華街の、決して足を踏み入れたことが無かった裏路地。
行った事は無いが、何があるかは熟知していた。
(ちょ……ホントに!?)
一瞬躊躇する私に、ご主人様が耳元で囁いた。

「リードを付けて引っ張っても良いんだぞ?」
「……っ!」

従うしかなかった……。
私は、更に妖しく淫猥なネオン路地へと足を踏み入れるほか無かった。
期待と……不安…… …… ……。

加えて云うと…… ……身体は期待に支配されていた……。


視線は真っ直ぐに、ユウジ様の背中を捕らえている。
というか、両隣の店に目を向けてられない。
それほどにキワドイ店が立ち並んでいる裏路地だった。
その中で、一見拍子抜けの看板前で、ユウジ様が足を止めた。

(アレ?)
「ここですよ」
「ここかい?」
「はい」
「……普通の店のようだが?」
「ええ」
「いや……ユウジ君?」
「ふふふ、騙されたと思ってどうぞ」
「…… ……」

自信アリのユウジ様に比べ、意外という表情なご主人様達。
正直、私も意外だった。
ネオンも灯っていない、ごく普通の看板。
「服の採寸承ります」とあるが、店名は書かれていなかった。
有無を言わさず、ユウジ様が地価へと降りて行ってしまった。
数秒顔を見合わせた後、私達は従うのだった。



地下一階、ごくごく普通のお店だった。
壁四方には、綺麗なドレスを着込んだマネキンが立ち並ぶ。
結婚式とかにお呼ばれされる時に着るような、カクテルドレスやセクシードレス。
別段、全く違和感無い普通のドレスである。
そして店内も明るく、淫猥な雰囲気はまるで無し。
地下にあるという事を除けば、普通の店だった。
たった1人で切り盛りしているのか、店長らしき中年のオジサンが、丁寧に迎えてくれた。
そして、ユウジ様が紹介する。

「こちら、店長のムネさん」
「初めまして、キメラの店長のムネと申します」

ご主人様が軽く会釈をして、ユウジ様の袖を引っ張った。
どうやら、ご主人様の思惑とは違うらしい、何やらヒソヒソと内緒話。
(この店なら大丈夫かな……結構可愛いの多いし♪)
私は、早くも目移りしている。
やっぱり綺麗なドレスは興味ある。

「店長さん、すまんね」
「いえいえ〜」

突然態度が変わったご主人様が、ムネさんと話し始めた。
内緒話に参加していなかった繭様と私には、何の事か全く解らない。
ご主人様とムネさんの会話は続く。

「当店のシステム、解っていただけましたか?」
「ああ、さっそく服を選ばせて貰うよ」
「どうぞどうぞ」

ご主人様とユウジ様が、四方に並んだドレスへと足を運んだ。
一々手に取り、何やら計画に余念が無い様子。
一方、繭様は悠々自適に自分好みのドレスを手に取っていた。
(ご主人様に付いてった方がいいのかな)
私は付いて行こうと一歩を踏み込むが、以外にもムネさんに制された。

(え?)
「貴女に一番似合うドレスを選ぶ紳士には、黙って従うものです」
「は…い」

よく解らないが、そうなのかもしれない。
紳士的な態度に、私は圧倒された。
(でも、出来れば可愛いのがいいな)
一着ごと手にとっては、何やら相談する2人の姿を目で追う。
やがて一着に2人は時間を掛けた後、店長のムネさんを呼んだ。
繭様も付いてゆく。
(イイじゃん)
ご主人様とユウジ様のセンスが良い事に、素直に安堵した。

真っ黒のセクシードレス。
シルクの生地で、V字に胸元がカットされたワンピースタイプのセクシードレス。
胸元を隠した生地が紐状に伸び、首の後で生地を結ぶ形の、大胆に見せる背中と鎖骨を見せる後。
膝上5cm程度のスカート丈には、3重のシースルーに施されたボリュームあるフリル。
フリルのスカート丈は右斜めに持ち上がっており、右の腰付近で大きな蝶々結びで留められている。
(イイじゃん)
これくらいのセクシードレス、一度は着てみたかった代物だ。
私の心は躍っていた。
だが…… ……。

「さ、着てみろ」
「はい」

私はキョロキョロと見回した。
そうだ……ここには試着室が無い。

「当店では試着室はありませんよ、常にココで着替えて頂きます」
「……ぇっぇ?」

……絶句する。
(ここで……?)
私を除いた皆の目が淀み、卑猥な表情となった。

「……あ……の?」
「どうした、雌豚由紀?」

裸を見せる事に、今更躊躇はなかった。
だが、施された肉体改造を見せるのは…… ……。

「雌豚由紀、ここの店では全てを曝け出すのが条件だよ?」
「ぁう」

常連らしくユウジ様が追い詰めてくる。
私は……全員の顔を見渡した……。


許される状況ではない……察した。

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