家畜な日々
非現実:作

■ 〜そして家畜は悦ぶ〜8

18時を過ぎた町の商店街には、学校帰りの地元学生もチラホラと見える。
それに混じって、懐かしい学生用のローファーで町を闊歩する私。
セーラー服やブレザーなど、様々な学生達はいるのだが……。
決定的に違う。
校則違反という枠を遥かに超えている私の格好……。
そして、すれ違う度に顔をしかめている訳……。
妙な所から鈴の音色がするファッション……。
(ぅっぅ〜〜〜ゃぁ……見ないでぇ!)
顔を真下にして顔を見られないよう勤めるしかない。

幸い繭様が施してくれたヘアスタイルは、少しながらも表情は隠れる。
オデコが隠れるように前髪は揃えられて、俯けば一応目元までは隠れる。
後ろ髪は右側頭部でゴムで結んであり、だらりと垂らされている。
丁度、ポニーテールを右でしたような感じ。
このお陰で、右からは私の素顔は見えない。

(でも……この臭いって……うぅっく)
俯いていると、否応にも強烈な体臭が鼻に突いてしまう。
そして……ベストを着た事により臭いが篭り、より一層臭さを増しているようだった。
(ど…どうしよぉ〜〜……ぅ)
覚悟を決めたはずだった……。
でも……。
勇気の一歩を踏み出せない……再びゲームセンターの横を通り過ぎる間際。
UFOキャッチャーに群がっていた女子高生2人組みが振り向いた。
(ヤバッ!?)
明らかに不審に思っている視線が突き刺さる。
足早に通り過ぎようとした時、携帯が鳴った。
(もっ…こ、こんな時ぃ!?)
後ろを歩くご主人様達からの着信は「立ち止まれ」という合図である。
仕方なく私は反対側のUFOキャッチャーで携帯を耳に当てる。

「そのままだぞ、女子高生等の言葉を聴くんだ」
「は……ぃ」

あえて右を向き、垂れた髪で顔を隠した。
(見られてるぅ…その視線が……私、気持ちイイィ…の?)

「ねぇ……アノ子、何ぃ?」
「ウリかなぁ〜?」
「あ〜〜〜そうかもぉ!」
「でもさぁ、あんなの買う奴ってどんなん〜?」
(あぁ〜〜〜私ぃ、そんなふぅにぃ?)
「うんうん、絶対ヤバ系かフェチ系だよねぇ」
「例えば数学のセンコーとか?」
「あはははっ、言えてるぅ」
(はぁはぁ…はぁ〜はっぁ!)

ピアスで開かれたオ○ンコから雌汁を溢れさせる。
私……感じてる……。
全く面識の無い年下の女子高生の言葉に、全身で感じている。

「でもさ、綺麗なんだけど……」
「ぅん……」
「超臭くない?」
「……う、うん……何だろこの臭い」
(ぅあっ!!)

ガクガクと震えそうになる足を必死に抑える。
自然と携帯を持つ反対の手でベストを押さえるが、意味はまるで無いらしい。

「くっさいよねぇ」
「シャワー浴びてるのかね……」
「ぅう〜〜ん……ていうかさぁ、便所臭い?」
「やだぁ〜〜、キモいよ〜〜」
「だってさぁ、そんな臭いじゃん?」
「……だねぇ」
(べ…便所の臭いってぇ〜〜…あってるぅのぉ……精液たっぷりなのぉ!)
「こんなに体臭がキツイ人っているんだ……ね」
「便所臭いまでって、可哀想じゃん?」
(ち、違うのぉ…ブラウスね、ご主人様の涎や精液も…私ぉ汗も洗ってないのぉ…ょ)

左側に回ったご主人様達へと視線を泳がせると、ニヤニヤと卑下た笑みが見える。
私の足は動けない……いや、ひょっとすると動きたくないのかもしれない。

「でも、マジで綺麗だよね……足とかも」
「うん羨ましぃ……」
「でもさ、網タイツってねぇ」
「ていうか、あれじゃスカート穿かなくてもいいんじゃん?」
「うわぁ…見てよ、下っ下っ!」
「え……うっそ!?」
(ぁ〜〜ぁ……見てるのぉ、私のオ○ンコ?)
「……やばいよ」
「い、行こうっ!」

突如……慌てて女子高生は行ってしまった。
いや、逃げてしまったと言った方がいいだろう。
(ぁ……ぁぁ……ぅふぅぅ)
携帯から声が聞こえた。

「くく、何が見えたんだろうな、雌豚女子高生ぃ?」
「……ご、ご主人様」
「言ってみろ?」
「…… ……お、オ○ンコ……です」
「ふっふっふ、じゃあ続けようか、このまま進め」
「は……ぃ」
「目的はあの証明写真だぞ?」
(コクリ)

私は……従うのだった。
勇気が……欲しい……。

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