家畜な日々
非現実:作

■ 〜さよなら過去〜3

パーティー会場であるホテルは、一流という名に相応しく街の中心に聳え立ち、この街のシンボルとも鳴っているほど有名だ。
かなりのスピードで飛ばす事小一時間、開始の時間を15分遅れでホテル前に到着したのだった。

「時間チョット過ぎちゃったね、パパ」
「これも予定通りだよ、繭」
「そなの、何で?」
「遅れてやってきた我々の変態家畜雌豚、だが他の連中から見ればお姫様みたいなものだろ?」
「なるほど〜主役を喰っちゃうって訳ね?」
「そうだ、これほど目立つ演出はないだろう?」
「雌豚由紀はこれから、同級生に視姦されるのですね」

遅れてきて会場の扉を開いた途端、一斉に元同級生達の視線を浴びる私。
それを想像するだけで、身体は既に熱くなっていた。

「行く前からドレス汚すんじゃないわよ!?」
「あっ、うっ!?」

突然、繭様が何かを投げつけた。
ハラリと落ちた物を、私は粗相をしたと慌てて拾い上げるとそれはストールだった。

「貸してあげるわ、だ・け・ど、絶対に汚さないでよねっ!」
「ありがとう御座います繭様ぁ」

網目状の黒いストールだけど、これなら乳首の膨らみも隠せる。
私は安堵の思いで肩口からストールを羽織った。
更にご主人様から、携帯電話を戻された。

「勘違いするなよ雌豚由紀ぃ、お前は私の何だ?」
「ご主人様だけに忠誠を誓う、変態家畜の雌豚です」
「そうだ、だから連絡先とか聞かれても無視しろ、解ってるよな?。
家畜である雌豚に人間の友達など必要無い。」
「はい、解っておりますご主人様ぁ〜」
「家畜のお前を呼び出すために渡したんだ、メールが来たら必ず従え、いいな?」
「はぃ、ご主人様のお申し付けには絶対服従致します」
「じゃあ行って来い、身体で刻み込んだ雌で過去を自ら汚してこい」
「は、い」

何の躊躇いも無い、私は後部座席のドアを開ける。
風になびくストールを腕組みしたまま押さえつつ、ブランド物のハンドバック(繭様の)を小脇に抱え、背筋をピンと伸ばしながらピンヒールを響かせてホテルへと入ったのだった。
そう、表向きの自信満々の私を演じ……裏は誰も知らない本当の私、雌豚を身体に背負って。
   ・
   ・
   ・
会場は3階、私は前の私の頃を既に取り戻していた。
ピンヒール余裕、馴れた足取りとプロポーションを美しく見せる為の身体の動かし方。
簡単な受付で、元同級生達が目を丸くしていた。
「えっ嘘……あっゴメンッ、更に奇麗になっちゃって驚いちゃって、あはは」と、受付役をやっていた元女子同級生が誤魔化している。
正直私自身、この子が誰だか名前が思い出せなかったが、適当に愛想笑いして名前を記入した。
扉は開いており、自由に行き来出来るようになっていた。
私は卒業依頼一度も顔を出さなかった元同級生が集う場へと足を踏み入れた。
そして、それは起こった。
ザワツク会場、感歎の溜息、歩を進める度に付いてまわる視線。
(心地良い)
誰もが私に注目していた。
悦気味になった私は、それを無視しながら恩師(別に全く何も思っていない)へと自信満々の足取りで向かった。

「アラアラ随分と久しぶりねぇ、お元気だったぁ?」
「センセ、ご無沙汰しておりました」
「毎年同窓会があるのに、あなただけ一度も来ないから、先生心配しました」
「土日とかも仕事で忙しくて……すいませんです」
「そぉなの〜」

初老というには白髪が目立つ恩師(?)は、何度も深く頷き言った。

「あなたが立派な大人になって先生も嬉しいわ」
(ええ先生ぇ、私は立派な変態家畜の雌豚になりましたよ?)
「今でも思い出すわぁ〜あなたが制服を色々と改造したりとかして。
よく生徒指導の先生に呼び出されたりしたりとかねぇ。」
「その節はご迷惑お掛けしました」

(今の私の制服はね、雌豚である証拠のイヤラシイピアスと変態な刺青なんだって、先生?)
「でも良かったわ、あなたがこんなに大人になってくれて」
「先生のお陰ですわ」

(家畜らしく立派になりました、それに先生なんかのお陰じゃないから、ご主人様達のお陰ですから)
恩師(?)が感無量に浸っていても、私は何も感じない。
いや……感じてる。
何も知らない普通じゃあり得ない境遇をひた隠している私、恩師のありがたい言葉など。
ただの言葉責めとしか受け取っていなかった。
皮を剥かれ晒されたままのクリ○リスが疼く、バーピアスで刳り開かれたオ○ンコがトロトロになる。
(身体も心も変態な家畜なの先生、雌豚なの先生、高校で教わった事なんて私にはどうでもいい)
ね、先生?

■つづき

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