家畜な日々
非現実:作

■ 〜さよなら過去〜13

張り詰めた空気が部屋を覆っている……
拘束を解かれてベッドに座る私は項垂れ恐れるばかり。
山崎君はシドロモドロになりながらも何とか理解を得ようと必死だった。
流石は学級委員長だった彼は十分に言葉を選び、事の成り行きを説明した。
意外にもご主人様は弁解の間は一切口を開く事は無く、全裸の私達をジッと見据えて聞いていた。
私にはその沈黙が怖かった。

「……なるほど、つまり結論から言うとこの雌豚が誘ったという訳か」
「はっ、はいっ、そうですっそうなんですっ!!」
「彼はそう言ってるが、そうなのか雌豚由紀?」
「は……は……ぃ、そう……です」

ガクガクと身体が恐怖で震え出す。
私から誘ったのは事実だし、嘘を言えば更に厳しい折檻が待っているのは考えずとも解る。
私の言葉に力強く何度も頷く山崎君を軽く睨んだ。
(どうしてよ、どうしてっ……曖昧な感じで共犯にして庇ってくれてもいいじゃないのよっぉ!)
酷く身勝手な考えだが、それ程にご主人様の折檻が恐ろしい。

「では確認してみよう、か」
「え?」
「ぇ?」

クローゼットに向かったご主人様は、なにやら奥を探り出した。
そして…… ……
ご主人様の手にある物を見て山崎君が叫んだ。

「ビデオっぉ!!?」
「そうだよビデオさ、さぁてチェックしてみるか」
「くっ!」
「きゃっぁ!!」

突然山崎君がご主人様に襲い掛かったのだった。
だが農業を営むご主人様に敵う訳も無く、あっさりと倒されてしまった。

「ぼ、僕をハメたのか……一体何が要求なんだっ!」
「心配するな君を嵌める為にやったんじゃないよ、全てはこの雌豚由紀の為さ。
まぁ、これから君に協力はしてもらうがね。」
「どういう……事だ!」
「ふふふ、よく撮れているよ元学級委員長さん?」
「くっそ!」

再び山崎君が動いた。
出口へと走る。

「おぉっとぉ!」

だが距離的にもご主人様が近く、あえなく塞がれてしまう。

「そ、ソコをどけぇ!」
「由紀、電話のコードを抜け」
「ぇ?」
「雌豚由紀っ、聞こえないのかっ?」
「は、はいっ只今っ!!」
「き、君っなんて事を……僕らは嵌められたんだぞ!?」
「ご、ゴメンなさい……私、ご主人様の家畜……だから」
「何故だ、何でこんな事をするっ!。
散々誤ったし、それに僕は彼女に誘われてっ!。」
「その償いをしてもらう訳さ」
「犯罪に加担する気は無いっ!」
「後で訴えるのは勝手だが、その時は画像をばら撒く。
そしたら君も君の家族も終わる、君にはその覚悟があるかね?。」
「何が望みだ、言ってくれっ、金なら何とか都合するから!」

「まぁまぁ」と言いながらご主人様はノートパソコンを鞄から取り出して、ビデオと接続したのだった。

「やっぱりっ、僕らの画像を流すんだなっ!?」

力では勝てないと悟った山崎君、もはや負け犬の遠吠えである。

「まぁ待てよ学級委員長さん、今画像処理をしてるんだから」

慣れた手付きでご主人様はパソコンを操作する。

■つづき

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