家畜な日々
非現実:作

■ 〜これが私達の望みです〜22

間違った使い方をした簡易マッサージ器も、ただ恐ろしかっただけのギロチン拘束台も今は無い。
後ろ手に回され両手枷を鎖で拘束されただけの状態で、かなり楽にはなった。
だが不本意な点が1つ。
一日足りと外される事が無く、それが当たり前のアクセサリーとさえ思うようになった首輪。
……これはまぁ気にならない。
問題はその首輪の首の後ろにある留め金から頭上にベルト状の物が伸び、額を通過して鼻腔を吊る鼻フックだ。
ベルトはゴム製の伸縮可能で、鼻の二穴をU字型の長い金具が鼻の奥へと当たり外れる事を許さない。
何度か使った事のある調教道具だが……私はコレがかなり嫌だった。
ゴム製の特徴で戻ろうとする力が発生し、2つのU字型金具が吊った鼻を押し上げようとするのだ。
故に私の(綺麗に整った)鼻を醜く吊り上げるのである。
どんな時でも美しく……身体と美顔のケアを怠らなかった私にとって、これはかなりの屈辱である。
だが、ここではそんな事はどうでも良い事なのだった。

「ホレホレッ、こういう時は何て鳴くんだっ!?」
「……っ、ブゥブゥゥッブゥッブッゥ!!」
「はっはっはっは、よく似合うなぁ〜さすがは変態家畜の雌豚だ」
「ブウブウブッゥ〜」
「だがなぁ、言われる前に鳴かないと駄目だぞ、肝に銘じておけよ?」
「ブッゥブッゥブゥブウウ…ウゥ」

そう、しっかり覚えなければ……。
私は頭に叩き込むのだ。
この世界、そしてこの世界に身を投じる事になってしまった今。
そして不本意ながらもこの世界に快楽を得るようになってしまったこの身体。
教わった事を忠実に守り実行する事。
「これは間違いなのではないだろうか」という思考すら許されない世界に身を投じている。
調教。
そう、私は確実に家畜として身体で物を覚えている。
まさにこれは人が物を教わる過程ではない調教。

「よし、じゃあ……これから何をするか……解ってるよな?」
「ぇえ?」
「拘束もといてやったし、豚らしくなったんだろぅ。
如何に家畜豚とはいえ後始末位はせんと駄目だろう?。」
「ぇえ!」

寺谷様の言わんとする事に理解して、私は愕然とする。
毎日ほぼ決まった時間に、決められた庭の大木でオシッコやウンチを許されるのは前々からだった。
緊急時には自らご主人様達にご報告して、大木まで連れてってもらい処理をした日々。
下も管理すらご主人様達の管理下に置かれているのはもう諦めていた事だった。
黙って違う場所ですれば折檻という名の調教が待っており、生理現象である故に我慢も限界がある。
……だけど、これは……。

「どうした雌豚由紀、解っているんだろぅ?」
「ぅっぅ…ゃあ……」
「…… ……そうか嫌か……だったら」

新たに調教収納ケースからではなく、寺谷様持参のバックから新たな道具を取り出した。
それは見たことの無い道具だった。
だが、ここで調教と意味の無い道具を披露する筈はないと察する。

「全く、お前はどんだけ変態な家畜なんだろうなぁ。
まさかコイツまで使うとは思ってもいなかったぞ。」
「ぇえ、あ、え……」

口枷という物だと後々で聞いた。
口をO字で開けられて上下の歯の奥にU字金具を宛がい固定した状態で、左右の布で後頭部で紐が頑丈に結ばれる。

「ぁ、が……ぉ、っかぁあ!!」

息は辛うじて出来るものの、口を閉じる事が出来なくなった。

「ハッハ、ハッァッハッァ、ハッァハッィハッォハッォ!!」

閉じる事が出来ない為に乾く口内を、満たされない潤いを求め息が獣染みてしまうのだ。
辛うじて……下は動く。
それを覚えた私は必死で口内を舌で弄り少ない唾液を塗した。

「オォィオイ、舌はそんなんで使うんじゃないだろうが。
真下に潤ったのがあるだろぅが、ぇええっ!?。」
「ぁぉっぁ……ンっかはっぁ!」

限界だった。
このままでは口内が干乾びてしまいそうだった。
(みぃ…みぅ……み、水ぅ……)
私はごく自然に動物が水分を欲するかの如く、吊り上げられた鼻をフンフン言わせながら……。
「私が」放尿した臭い水溜りに、自由である舌を伸ばしたのであった。

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