家畜な日々
非現実:作

■ 〜更なる改造計画〜2

頭がぼんやりとしている中、ご主人様の声が耳に届いた。
軽く頬を叩かれている感覚もある。
(……ぇぇと、私は……)
フカフカなベッドの上、目に映るのは掃除が行き届いている白いタイル。
その私を覗き込むようにしているご主人様とムネ様。
(アレ……私は)
どうにもこうにも頭が働いてくれない。
そんな中、全身緑の服を着た人……寺谷様がドアを開けて現れた。
やや疲れが見て取れる寺谷様に詰め寄るご主人様。

「寺谷さん、これは!?」
「手術はあくまでも部分麻酔だが、これが昨日話した通りの麻薬現象だ」
「精神は大丈夫なのかね?」
「ちゃんと今から説明するから、ちょっと水でも飲ませてもらえんか?」

そう言って寺谷様は備え付けのポットから水を注ぎ、一気に喉に流し込んだ。
こんなに疲労している寺谷様・そしてこんなに動揺しているご主人様を見るのは初めてかもしれない。
ぼんやりとしている頭ながらも、五感はしっかりしていた。
手術台に乗せられて部分麻酔を受けた時点では、意識ははっきりとしていたのだが……。

「部神経は無数の神経が絡み合っていて間違えれば全神経が壊れる難手術だった。
最もこの手術は合法でないから、マニュアルなど存在しない。」
「で、どうなんだ?」

寺谷様が言い終わらないうちに、ご主人様が急かす。
ご主人様と同様、私も自身の体がどうなってしまったのかは知りたい。

「手術は成功したよ、ギリギリまで残せる神経はちゃんとのこしてあるさ」
「そ、そうか……良かった」
「手術に5時間も掛かったのは私も予想外だったが、成功したと断言出来る」
(そか……成功した……んだ……)

私はベッドに横たわりながら、微々たる動きしか出来ない両足を擦り合わせた。
内股で交互に擦り合わせるものの、そこに何も感触は無かった。
まるでぽっかり空洞があるかのよう、内股の……オ○ンコの部分だけ感触が無くなっていた。
これが手術の成果なのらしい……。

「残った神経隋には麻酔を相当打ち込んだが、完全に鈍らせるには至ってない」
「……というと?」
「もう一度言うが、これは合法手術ではないからね。
だから打った麻酔自体も合法的な物、持続性は無いのだよ。」
「では、いづれは回復すると?」
「人の細胞回復力は凄くてね、こればかりはどうしても、なのだよ」

お手上げ、というポーズで寺谷様が言った。
私としては喜ぶべきなのだが……何となく申し訳ないような感覚でもある。
そんな沈黙ムードに、小さく手を上げて声を発したのがムネ様だった。

「スンマセン、僕〜頭良くないんで理解するのに時間が掛かるんですケドぉ〜。
要に殆どの神経は切ったが、残る神経隋ってのの麻酔が切れたら駄目という事ですか?。」
「そうだがっ!?」
「あっいやいや……いやいや手術は成功したのですし名執刀だと、ね。
いやホント、そう思います思いますよ〜〜。」

キツイ目をした寺谷様を、ムネ様が壊れた人形の様に首を横に振りながら言っている。
(ちょっとかわいい。)
「ありがとうございます」の言葉を言いたかったのだが……。
部分麻酔である筈なのに全身が動かない……何度も麻酔を受けた身体が気だるさ。


「ボ、僕の知っている友達で……あの、その……ぇえと。
非合法のドラッグで……マジックという麻薬を扱ってる奴がいるんです。」

ボソボソと話すムネ様の言葉に、他のご主人様が身を乗り出した。

「ほぅ……あの噂の?」
「興味深い話だな」

意外な食い付きに、一瞬キョどるムネ様。

「確か感情は高ぶらせるが肉体的の快楽は持続的に鈍らせる麻薬だったか」
「は、はいっ、一度やると神経が潰れて行くっていう、らしいです。
しかも麻薬特性の依存性も全く無いらしくて。」
「……使えそうだな」

ご主人様が顎に手をやり呟いた。

「このまま麻酔を持続的に打つよりは効果的かもしれん」
「そうか、そのクスリ……ムネさんなら何とかなりそうか?」
「は、はい……何とかして取り寄せてみしょうか?」
「金は工面する、何ならその連中にも雌豚由紀を使わせるのもいい」
「解りました、やってみますよ〜」

横たわる私以外、満場一致だった。
私はいよいよ感じる事すらも許されない道具としての雌豚なのだと存在を意味した。

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