家畜な日々
非現実:作

■ 〜主役は後から〜15

この数日の間、由紀は至極の一時だったであろう。
由紀が由紀でいられたたった3日間の中で、彼女はよく笑いよく喋り私が許可した愛の言葉を何度も囁いた。
2つの足で立ち歩き、椅子に座りテーブルで一緒に同じ食事をして同じテレビを見て笑いあった。
毎晩普通に由紀を抱き、互いに愛のあるセックスを求めた。
汚れた改造された身体と首輪はそのままだったが、確かに彼女は由紀として女性として過ごしただろう。
だがもう……そんな事も思い出す事すらなくなるのだろうが……
私は修羅となる。
一方的な都合で、由紀は由紀でなくモノとなる。
だからこそ最後に由紀が生きた証を私自身に植え付けたかった……といえば一種の贖罪となるだろうか?。
愛する愛娘に対しての復讐は個人的な趣向へと変化した。
今までも復讐の度はとうに超えている、だがこれからは戸籍はあるものの彼女という由紀という女性は存在しなくなる悪魔の儀式。
そう考えると、膝がガクガクと震える。
呼吸が荒くなり、ジワリと嫌な汗でシャツが張り付く。
頭の中で何度も何度も良心が囁く。

「今ならまだ間に合う」

いいや、いいのだ、その度に首を振る。
良心の声を振り払い雑念を掻き消すように私は心の中で叫ぶ。

「最早繭はいいだろう? お前がしたかったのだろう? 最高の素材を悪魔の所業で完成させたいのだろう?」

沸々とドス黒い邪念が蘇る。
自殺未遂まで犯した繭は苦しみ悩んだが、最高の伴侶を得て今幸せとなった筈だ。
ならば後はコレを私が自由にしていい筈。
もう繭にはいらない玩具を回収して細工するだけだ……。
一切の邪念は捨てて、私は修羅となる。
私は地下室へと踵を返した。
   ・
   ・
   ・
地下室の手前の鉄扉の前で2人が待っていた。

「おっ、来ましたか大野さん〜」
「…… ……覚悟は、良いかね?」

お気楽なトーンで出迎えたムネさんとは違い、寺谷さんは察したのだろうかそんな言葉を投げかけてきた。
寺谷さんの口にした言葉の意味をじっくりと噛み締めて、私は力強く頷いて見せる。

「後戻りは出来ない儀式は準備出来ている、ここにいるムネさんも了承した」

そう言って胸ポケットから紙を取り出して見せた。

「ん……せいや…誓約書?」
「念の為のな」
「まぁ〜もうここまで来たら後戻り出来ませんからねぇ〜ハハ」
「あんたの署名はいらない、ドアを開けた時点で決まりだ」

私はゆっくりとドアノブに手を掛けた。
準備一切は寺谷さんとムネさんに任せっきりだったので私は部屋に入って初めて状況を見たわけである。

「え、え……これ、は?」

さも凄惨な状態なのだろうとタカを括って入った訳だが大分拍子抜けした感じだ。
由紀は地下室の洋式便器に万歳の体制で座らせられており手は後ろ手に、足は便座を抱え込むように鉄枷で拘束されていた。
身体は腰縄で便器のタンク部分と括りつけられている程度である。
だがよくよく観察すると、両の乳首のピアスは外され代りにローターで挟まれており、オ○ンコと尻穴にも極太の変態家畜お気に入りのバイブが
突き刺さっている。
顔は目隠しをされ両耳にはヘッドホン、口にはボールギャグといった至って「普通」の恰好だったのだ。

「これで、こんなんで……どうにかなるのか?」
「ショック療法の真逆をするだけだからな、だがね少しばかり順序を誤ったかもしれん」
「とは?」

私の投げかけに小さく頷いた寺谷さんはポケットから2つのリモコンを取り出して、スイッチを入れてみせた。

「ぉぁぅふぐっぁ!!」

便器に括りつけられた雌豚由紀が小さく痙攣する。

■つづき

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