君の瞳の輝き
あきんど:作

■ 第一部11

 近藤の言った住所はすぐに見つかった。
 そこは1階しかない平屋建ての古い家だった。
 家は横に長く、裏庭に物干し竿があった。裏庭といっても家が細長く道に面しているので洗濯物は道から丸見えだった。そこにまあたらしセーラー服をがあった。確かあの時小6なら今は、中1か・・
 そんなことを考えながら ふとその家にもうひとつ玄関があることに気がついた。
 「バー、スナック鈴音」という看板が出ている。
 ネオンがついているので開いているのだろう。私は店の中に入った。
 店が薄暗く、カウンターにママひとりでほかに客はいなかった。
ママ「いらっしゃい。早いわね。何飲みます?」
 「ビールください」私はカウンターに座り店内を見渡しながら言った。
 ちびちび飲んでいると、ほかにも何人か店に入ってきて、小さな店はすぐいっぱいになった。
 ママは一人でお客の相手をしていたのだが、手に負えなくなったか、店の奥に声をかけた。
ママ「鈴!手が開いているなら店手伝って、洗い物!」
 私は店の奥をじっと見つめた。おくから一人の少女が出てきた、鈴だった。
 背が伸びていたし、髪型も三つ網ではなくなってポニーテールのように結んでいる。
 薄暗い店内で、こちらに興味もない様子で鈴はうつむきながらジョッキや皿を洗っている。
そのときある男が鈴に声をかけた。
「鈴ちゃん。べっぴんになって可愛くなったなぁ、おじさんと結婚しないかい?」
鈴は聞こえないふりをして皿を洗っていた。
「おっぱいもおっきくなってきたやろ!・・あっははは」酒の酔った男が大声で鈴に声をかけた。
ママ「すいませんね、山下さん。無愛想な子で・・鈴!洗い物終わったら中で勉強でもしておいで」
 そのとき店のドアがガランガランと音をたてて開いて、近藤が入ってきた。
 その姿を鈴はみて、洗い物も置いて店の奥へ逃げるように入っていった。
近藤は店内を見回して、私を見つけると近寄ってきた。
近藤「早いなぁ、もう来たのかい」
 私は近藤をにらみつけた。
近藤「そんな怖い顔するなよ!」
 そこへママがやってきた。
ママ「いらっしゃ近藤さん。あらこちらの方近藤さんのお知り合い?」
近藤「ええ、この人がこの間話した撮影の、倉田さんです」
ママ「あ〜、あなたがそうなんですか・うちの人が中で待っているので・・そういってくださいよ」

 あんな撮影をしててっきり起こられて殴られるかもしれないと思ったのであの態度に私は驚いた。
近藤に促されて、店の奥に行くと居間で一人の男が瓶ビールを飲んでいた。
かなり飲んでいるらしく、顔は真っ赤で人目で勤めていなくて遊び人とわかった。
「おー近藤さんどうだった?」男は近藤に話しかけて、私を見た。
「この男は?」
近藤「この間お話した、倉田さんです」
「おー、あんたが・・」男は私をみて笑顔をこぼしていった。
近藤「それでこれができた例のものです」
 近藤は紙袋から本を取り出した。鈴の写真集だ。でもこちらは目線が入っていなくて、
鈴の姿がばっちり写っている。
 「何部?」男が答えた
近藤「一応10000部です。」
男は「定価が3000円だから、3千万か」
近藤「経費を差し引いてもかなりの額が入ってきますよ、好評ならあと10000部刷る用意ができてます」
男は奥の部屋に向かって言った
「おい!鈴!ちょっとこっちへ来い!」
 鈴はさっきとは違って、短パンにピンクのTシャツという服装だった。

うつむきながら部屋に入ってきた鈴は私を見て下唇をかみ締めた。
「なかなか可愛く撮れてるなぁ。次も撮る相談していたところだ」
 鈴は無言で何度も首を横に振った。
 そこへさっきのママが一息ついて入ってきた。
ママ「鈴!かわいく撮れてるじゃない。別に次もヌードのような感じで撮ってもらえばいいでしyぉ。お父さんの言うことちゃんと聞いて・・」
鈴「こんな人、お父さんじゃない!」

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