清めの時間2
ドロップアウター:作

■ 痛い、恥ずかしい……2

 いい子ね、本当にいい子……

「儀式」を再開する前に、私はまた一つ香帆に指示を出した。
「先生が頬を打ったら、何回目かその都度声に出して数えるのよ」
「はいっ」
 香帆は、怯えたような声を発した。裸にされ、無防備な状態で体を打たれるのだから、無理もないだろう。
「……じゃあ、いくわよ」
「はい……」
 それでも、少女は素直に返事して、唇をきゅっと結んだ。まるで覚悟を決めたように。
 私は、香帆の滑らかな可愛らしい頬を、右手で容赦なく打った。
 バシッ、バシッ、パシッ、バチィ……
「……うぐっ、いーち……にーい、あぐぅ……さーん……痛いっ、しーい……」
 少女の若い頬は、弾力性があり、叩き心地が良かった。その分、つい叩く力が強くなる。
 バチッ、ピシッ、バチィ……バチッ……
「ごーお……いたっ、ろーく……んぐっ、しーち、はーち……あぐっ、くーう……」
 頬を打たれる度、香帆は苦しそうに息を荒げながらも、懸命に声を出して回数を数えた。それは、痛々しいほどに健気な姿だった。
 私は、香帆の頬を左右とも十発ずつ叩いて、平手打ちをやめた。少女の顔が赤いのは、羞恥心のせいだけじゃなくなった。
 少し涙ぐんでもいたから、目元をハンカチで拭いてやる。すると香帆は、小さな声で「ありがとう……ございます」と礼を言った。自分を痛めつけた相手である私に。
 次に、私は香帆の膝より上を少し持ち上げさせ、少女の太股とふくらはぎの間に挟んでいた棒を一旦取ってやった。そして、また相手に命じる。
「青山さん、立ちなさい」
「はい……あっ」
 香帆は、左腕で乳房を隠し、右手を床について立とうとした。だが、尻を少し浮かせたところで、また座り込んでしまった。
「あれ、んっ……うぐぅ」
 香帆の顔が、苦しげに歪んだ。どうやら足が痺れて、下半身に力が入らないようだ。おまけに棒まで足に挟んでいたから、かなり痛みもあるだろう。
 私は相手の背後に回り、肩を抱くようにして体を持ち上げた。室内は冷房が効いているため、少女の肌は陶器のように冷たかった。
「ほら、青山さん。先生が支えてあげるから、頑張って立ちなさい」
「はい、すみません……んくっ」
 私に体を支えられ、香帆はどうにか立ち上がった。だが、手を離すとよろけて後ろに倒れそうになった。もう一度、背後から少女を抱きとめる。
「大丈夫?」
「ごめんなさい。大丈夫、です……」
 香帆はうつむいて、消え入りそうな声で答えた。
 私は、香帆を小さな丸椅子に座らせ、少し柔らかい口調で言った。
「今から、ちょっとお医者さんに診てもらうからね。一度、あなたの健康状態をチェックするから」
「はい」
 返事すると、香帆はほうっとため息をついた。まだ乳房を隠して恥ずかしそうにしているが、束の間苦痛から解放されて、少し安堵したのだろうか。

 若い医師が、さっきまで私が座っていたパイプ椅子に腰かける。香帆は、ショーツ一枚だけの姿で、異性である医師と向かい合う格好になった。さすがに羞恥心は隠し切れず、少女はまたうつむき加減になった。
「……聴診器を当てるから。手をよけて、胸を張りなさい」
「はい……」
 それでも、香帆は素直に相手の指示に従った。少女の膨らみかけの乳房が、また露わになる。
 医師は、香帆に何度か深呼吸させながら、胸と背中に聴診器を当てていった。その後は、お腹の臍の周辺を指で押していく。下腹部に触れられると、下着のゴムの部分に指がかかったせいか、少女が一瞬ぴくっと体を揺らした。
 医師の診察が終わり、健康状態に問題がないことを確認すると、私は香帆をまた椅子から立たせた。
 香帆は、今度はすんなり立ち上がることができた。少し時間を置いて、足の痺れも大分取れてきたのだろう。
 だが、香帆はひどく怯えたような表情で、私を見上げた。私が目を合わせると、今度はうつむいてしまう。
 やはり不安なのだろう。次に待っているのは、さらなる苦痛なのだから。
「青山さん……」
 私は、また一つ、残酷な指示を少女に告げた。
「パンツ、脱ぎなさい」
 私に命じられると、香帆は一瞬びくっと肩を震わせた。不安が的中したのか、今にも泣き出しそうな顔になる。それでも、少女は「……はい」とか細い声で返事した。そして、右腕で乳房を押さえたまま、左手の指をショーツのゴムの部分にかけた。
 さすがにためらってしまうのだろう。香帆は、なかなか脱ぐことができなかった。左手が、かすかに震えている。ショーツを一度、二度下ろそうとして、その度に少し下げたところでやめてしまった。
「青山さん、早くしなさい」
「あっ、はい……」
 私は、香帆を容赦なく急かした。
「それとも自分で脱げないのなら、先生に手伝ってもらう? 小さい子みたいに」
「いいえ、できます。ごめんなさい」
 私に急かされ、香帆は覚悟を決めるように、目を瞑った。
 そして……左手に力を込め、下着を一気に膝まで下げた。後はためらうことなく、香帆は片方ずつ足を抜くようにして、ショーツを脱ぎ去った。
 これで、少女は全裸になった。
 下着を床に置くと、香帆は慌てて、恥ずかしい女性の部分を左手で押さえた。だが、私は見てしまった。
 香帆は、股間の恥毛がまだ生えておらず、割れ目のラインがはっきり見えた。乳房といい、かなり幼さを残す体だった。
「いやっ……」
 香帆は、小さく悲鳴を上げた。顔全体が赤らみ、少し涙ぐんでもいる。全裸を人前に晒すのは、思春期の少女にとってかなり辛いようだ。

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