清めの時間
ドロップアウター:作
■ 20
「んっ……んん……くぅ……」
鈴木先生は、わたしの下腹部を、指先で強く突くように押しました。さっきお腹を押された時よりも、痛くて、苦しいです。
それに、この箇所は子宮と膀胱があるから、そんなところを強く刺激されるのは怖くて、気持ちが悪いです。あの時みたいに、おしっこを漏らしそうにならないか、心配になりました。
「んくぅ……あぐっ、あぁ……」
もう痛みをこらえることができなくて、わたしは何度も何度も、うめき声を漏らしてしまいました。
先生の指は、始めはおへその下あたりを押していたけれど、だんだん……下の方に移動していきました。
そして……先生の指が、パンツのゴムの部分にかかってしまいました。
だ、だめっ……それ以上は!
顔が熱くなって、叫んでしまいそうになりました。
さっきパンツを下げられたから、今は、ほとんど全裸の格好です。おしりの凹んでいるところとか、剃ってなければ恥毛が生えているところとか、足の付け根から上に伸びているラインとか、ちゃんとパンツをはいていれば隠れている部分はとっくに見られて、弄られたりしています。隠れているのは、一番見られたくないところ……お、おしりの穴と、股間のたて筋くらいです。
だから、それ以上……下のところは、触らないで下さい。お願いしま……んくっ、あっ……きゃあっ!
「いっ、いやぁ!」
先生の指が、パンツの中に入ってきて……膣のワレメに触れてしまいました。そして、ワレメの周辺を……また強く押し始めました。
「いやっ、いやっ……あっ……あぐぅ……」
痛みはあまりないけれど、変な刺激があって……それ以上に、男の人に初めてこんな恥ずかしいところを触られたので、すごくショックで……わたしは、泣きました。
膣の部分から、ぬるっとした粘液のようなものがにじみ出ていました。さっき胸を弄られた時からちょっと出てきていたけれど、今はもっと刺激が強いせいか、どんどんあふれ出てきました。その液で、先生の指もたぶん濡れてしまったと思います。
「あっ……んあっ……いっいやぁ……いやぁ……」
抵抗することもできず、わたしはただ、泣き叫びました。
「耐えなさい!」
兵藤先生が、また厳しく言いました。
「そうよ泣きなさい。つらいものね、どんなに泣いてもいいわ。でも、こらえるのよ」
「はっ、はいぃ……んくっ……あっ、あぁ……」
レイプされるって、こんな感じなのかなって思いました。泣き叫びながら、わたしは心の中で、自分に精一杯言い聞かせました。
がんばって……耐えなきゃ。最後まで、乗り切らなきゃ……。
鈴木先生は、膣の周辺をまだ指先で刺激し続けていました。それでも……膣の中にまで指を入れられなかった分、マシだったかもしれません。さっき兵藤先生に入れられた時は、先生が女性で指が細かったから痛みはそんなになかったけれど、男性の鈴木先生だったら……激痛で、耐えられなかったと思います。
股間が、もうすっかり濡れてしまいました。帰ったらパンツ洗わなきゃ……そんな場違いなことを考えてしまいました。
そうして……「お祓いの儀式」が始まってから、七、八分くらい経ったでしょうか。
鈴木先生が、やっと、パンツの中から指を抜いてくれました。
「北本さん」
兵藤先生が、静かに告げました。
「これで、『お祓いの儀式』は終わりよ。最後まで、よくがんばって耐えたわね」
わたしは、すぐに返事を返すことができませんでした。体中を弄くり回されたショックで、頭の中がぐちゃぐちゃだったんです。鈴木先生に肩を抱かれた格好で、しゃくり上げて泣いていました。
わたしが少し落ちついてくると、兵藤先生が、脱脂綿の詰まったガラス瓶を持ってつかつかと歩み寄ってきました。
その時、鈴木先生が肩から手を離したので、わたしは支えを失って、その場にしゃがみ込んでしまいました。
「パンツの中、ちょっと湿ってるでしょう?」
「えっあっ……」
「拭いてあげるから、パンツ……ちょっと持ち上げてくれる?」
「はっはい……」
わたしは、今度はすぐに言われたとおりにしました。股間がぐっしょり濡れて気持ち悪かったから、恥ずかしいけれど、ありがたかったです。
兵藤先生が、脱脂綿をつまんで、右手をパンツの中に入れてきました。そのまま、股間をゴシゴシと拭かれて……アルコールを湿らせた脱脂綿の冷たさに、はっとしました。
股間を軽く刺激されている状態なので、また少し、ぬるっとした液が膣からにじみ出てきました。パンツに染みができていないか心配になったけれど、外からは見ても分からなかったので、ほっとしました。
「……これくらいで、大丈夫?」
兵藤先生が、パンツの中で手を止めて、言いました。
「あっ、はい……ありがとうございます」
股間を拭いてもらったお礼を言うのも、ちょっと変な気がして、うつむいて言いました。
兵藤先生は、わたしの股間から右手を離して、言いました。
「それじゃあ、北本さん……さっきみたいに、そこの線の上に立って。儀式の終わりのあいさつをしなさい」
「はい」
わたしは、足がふらつきそうになるのをこらえて、どうにか立ち上がりました。そして、また地面に引かれた線の上で、かかとを揃えて立ちました。
「あっ、ありがとう……ございました」
そう言って、わたしは体の前で両手を合わせて、深くお辞儀をしました。
それから……パンツが下げられたままで、下腹部とおしりの半分が見えたままになっていることに気づいて、慌てて引き上げました。
思っていたよりも、「お祓いの儀式」はすごくつらかったです。この後、もっとつらいことが待っているということも、何となく想像はつきます。
それでも、わたしはこの風習に参加したことを、後悔なんかしていません。
失いたくないんです。仲の良い友達と、普通におしゃべりをして、一緒に過ごすことのできる日々を。つい三ヶ月前までは、望んでも叶わなかったことだから。それを守るためなら、わたしは……
■つづき
■目次
■メニュー
■作者別