清めの時間
ドロップアウター:作

■ 28

 ああっ、みんな……
 わたしは、気づいてしまいました。A組の女子は、わたし以外はみんな、もう……パンツを脱がされて、全裸の姿になっていました。みんなが座っている少し前の方に、パンツが……まとめて置かれていました。
 すぐに、恵美ちゃんの顔も見つけました。恵美ちゃんは、地面がけっこうかたいのに正座をして、股間が見えてしまわないようにしていました。わたしと目が合うと、一瞬笑ったようにも見えたけれど、すぐに気まずそうに視線を逸らしてしまいました。
 みんな、恥ずかしそうにうつむいて、押し黙っています。当たり前だって思います。露天風呂でもないのに、男の人もいるのに……こんな場所で全裸にされて、平気でいられる女の子なんていません。
 それじゃあ、わたしもこれから、パンツを……いっ、いやぁ……恥ずかしい! 恥ずかしいよ……
「北本さん」
 ふいに、兵藤先生に呼ばれて、どきっとしました。
 振り返ると、兵藤先生が静かに言いました。
「あなたは、賢い子だから……これから自分が何をしなきゃいけないのか、分かるわよね」
「えっあっ……あの」
「想像は、できるわよね?」
 先生は、ちょっと強い口調で念を押しました。
「はい……」
 声がかすれてしまいました。怖くて、恥ずかしくて……膝が、がくっ、がくっとふるえ出しました。
 兵藤先生は、今度は淡々とした口調で言いました。
「それじゃあ、これから『洗浄の儀式』を始めます。北本さん……指示をするから、言われたとおりにしなさい」
「はっ、はい」
 返事をして、わたしは目をつむりました。
「ちょっと恥ずかしいかもしれないけど、その場で……」
 お願い、その先を言わないで……いやっ、ダメぇ……

「その場でパンツを脱いで、全裸に……何も身につけない格好になりなさい」

 目を開けて、わたしは強く唇をかみました。体の震えが、止まらなくて……これからみんなに、おしりも、恥毛を剃った股間も見られてしまうんだって思うと、すごく恥ずかしくて……頭の中が真っ白になりました。
 でも、逃げちゃダメ……ちゃんと先生に言われたとおりにしなきゃ。人前でパンツを脱ぐなんて、すごく恥ずかしいけれど、他のみんなだって耐えてるんだから……
「何してるの? 早く脱ぎなさい。みんな、雨に濡れて寒いのに待ってくれているのよ」
 兵藤先生が、急かすように言いました。
「はいっ、ごめんなさい……」
 わたしは、泣いてしまいました。
 ダメ……パンツを脱ぐくらいで泣いちゃダメ……これぐらいで泣いちゃったら、この後耐えられなくなっちゃう……
 そう自分に言い聞かせているのに、涙があとからあとからあふれ出てきて、止まりません。「お祓いの儀式」の時、これ以上泣けないくらいいっぱい泣いたつもりだったのに……
 泣きながら、わたしはパンツのゴムの部分に、両手をかけました。
 みんな、わたしの毛のない股間を見て、どんなふうに思うのかな……変だって思われて、後でからかわれたりするのかな……
 わたしは、今度は目をつむらないで、下着をつかんでいる両手に力を入れました。それから、一瞬ためらってしまったけれど、覚悟を決めて……パンツをゆっくりと下げていきました。
「いやっ……」
 股間のたて筋が露わになった時、思わずつぶやいてしまいました。それでも、手を止めないで……一気に足首の辺りまで下ろしました。
 とうとう……わたしの下半身が、誰にも見せたくなかったところが丸出しになってしまいました。
 大きくため息をついてから……片方ずつ足を上げて、パンツを足から抜き取りました。そうして……わたしは全裸になりました。
 もう、逃げられないんだ。何をされても、耐えるしかないんだ……そう思って、また涙があふれ出てきました。

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