清めの時間
ドロップアウター:作

■ 31

「いい子……北本さんは、本当にいい子ね」
 兵藤先生が、紙コップを股間にあてがいながら、わたしの顔を見上げて言いました。
「初めての子が素直に言うことを聞いて、ちゃんと耐えてる……すごく立派よ。本当にいい子……」
「あっ、はい……ありがとうございます」
 ほめられると、何だか余計に恥ずかしい気がしました。
「おしっこが出そうになったら、教えてね」
「はい……えっ、教えるって……」
「『おしっこしたいです』とか、『おしっこ出そうです』って言えばいいじゃない」
「えっ……はい」
 兵藤先生に言われて、戸惑いました。「おしっこしたいです」なんて、小さい子どもが言うようなこと、口に出して言うのは嫌です……
 紙コップが、足の付け根とかワレメの部分に当たって、どきっとしました。股間の辺りに、またみんなの視線を感じます。兵藤先生は、わたしの体の横で屈み込んで、そこから手を伸ばしておしっこの出るところに紙コップをかざしています。先生の体が下半身を覆い隠してくれているわけじゃないから、たぶんこの場にいるほぼ全員に……わたしのおっぱいも、あそこも、丸見えです。
 だからきっと……わたしがおしっこをするところも、全員に見られてしまいます。
 でも……どうせ見られるんだったら、早くおしっこしなきゃ。お願い、早く出て……いつまでもこんな格好でいるのは耐えられないよ……
「まだしたくならないの?」
 兵藤先生に言われて、びくっとしてしまいました。
「もう少し……です。ごめんなさい」
 学校を出る前にトイレを済ませてしまったことを悔やみました。水も少ししか飲んでないし、それにやっぱりおしっこするところ見られたくないから、なかなかしたくならないんです。
「しょうがないわね」
 先生が、立ち上がって言いました。
「おしっこが出やすいようにしてあげるから、私の言うとおりにしなさいね」
「えっ、はい……」
 えっ、今度は何されるの……
 兵藤先生の言葉に、また少し不安になりました。
「それじゃあ……」
 先生は、妙なことを言いました。
「くるっと180度回って、後ろを向きなさい」
「はい」
 言われたとおりに、わたしはみんなに背中を向けて立ちました。
「……そのまま、正座するみたいに両膝を地面について」
 兵藤先生が、続けて指示を出しました。
「はい」
 言われていることがよく分からないまま、わたしは指示に従って両膝を地面につきました。
「これで、いいんですか?」
「そうよ。じゃあ、そのまま……両手を前について。それと足をもっと開いて」
「はい……えっ、ええっ」
 言われたとおりにしてみると、わたしは……四つん這いの格好になっていました。
 いっ、いやぁ……恥ずかしい!
 四つん這いになると、正面を向いて立っている時よりも、後ろからはあそこがもっと丸見えになってしまいます。それにおしりを突き出した格好になるから、足を開くと、肛門まで見られてしまうことになるんです……
「そうよ、北本さん。とってもいい姿勢よ」
 先生が、満足そうに言いました。
「ちょっと恥ずかしいと思うけど、しばらく我慢しなさいね。おしっこが出てくるまでの辛抱だからね」
「はっはい。だい……じょうぶ……です」
 本当は、全然大丈夫じゃありませんでした。おっぱいとあそこだけじゃなくて、肛門まで見られて……こんな恥ずかしい格好させられて、死んじゃいたいって思いました。

 兵藤先生は、今度はおしりの下に右手を入れて紙コップをあてがうようにしました。
「それじゃあ、おしっこが出てきやすいように……膣の辺りに思い切り力を込めてごらんなさい」
「はい……えっ、いやぁ……」
 言われたとおりにすると、あそこがひくっと動いてしまいました。
「一回でやめないで。もっと続けなさい」
「はい……うっ、うぅ……くふっ……」
 とても恥ずかしいけれど、わたしには結局言われたとおりにするしかありません。わたしは、早くおしっこが出てくるように、股間に何度も何度も力を入れて……その度に、あそこがひくひく動きました。
 やだ、やだよ……あそこがひくひくして、こんないやらしい格好……いやぁ……
 そのうち、兵藤先生が、わたしの膀胱のあたりを指先で強く押し始めました。
「んひゃっ」
 わたしはうめき声を漏らしました。
「い、痛い……痛いです……」
「我慢しなさい。こうでもしなきゃ、出せないでしょう……ほら、あなたも膣に力を入れ続けて」
「はっ、はい……うぅっ……くふぅ……」
 本当に屈辱的で、苦しかったです。おしっこが出ないだけで、こんなに苦しまなきゃいけないなんて……
膀胱を押されて、あそこを自分でひくひくさせて……わたしはまた、泣きました。でも……まだおしっこが、出てきません……


「なかなか苦しいわね、北本さん」
 兵藤先生が、そう言ってため息をつきました。
「はぁ……はぁ……ご、ごめんなさい……すぐにできなくて……」
 まだ四つん這いの姿勢で、わたしは乱れた息のまま言いました。
「しょうがないわね。じゃあ……また元のように前を向いて立ちなさい」
「はい」
 やっと恥ずかしい姿勢から解放してもらいました。
 わたしは、立ち上がって正面を向いて、さっきのように両手をおへその上に組みました。下腹部とあそこが……ちょっと痛いです。
 前を見ると、クラスのみんながわたしを心配そうに見ていました。目線を逸らしている子も、涙ぐんでいる子もいます。
「じゃあ、仕方ないから……」
 兵藤先生が、また妙なことを言いました。
「誰か、お友達に手伝ってもらおうね」
「と、友達にって……」
 わたしが戸惑っていると、兵藤先生はクラスのみんなの方を向いて言いました。
「村野恵美さん、ちょっとこっちに来て」
 えっ、恵美ちゃんが……
 名前を呼ばれると、恵美ちゃんは顔を上げてびっくりしたように目を大きく開きました。それでも、すぐに「はい」と返事して前に出てきました。
 その時、わたしは恵美ちゃんのあそこを初めて見ました。まだ生理が来なくて、他の子よりも成長が遅いことで悩んでいる恵美ちゃんの股間は……恥毛が全然生えてなくて、ワレメのたて筋がはっきりと見えました。見た目はわたしと一緒です。でも、恵美ちゃんの方がきれいだって思いました。恵美ちゃんはわたしみたいに、自分の体を変にいじったりとかしないと思うから……
 恵美ちゃんは、胸もあそこも隠そうとしないで、気をつけのような姿勢でわたしの前に立ちました。恥ずかしいという感じではなくて、頬の辺りがちょっと引きつって、何だか緊張しているみたいでした。毎日運動部で汗を流している恵美ちゃんの頬や肩は、健康的な小麦色に日焼けしていました。
「村野さん、ちょっといいかしら」
 兵藤先生はそう言って、恵美ちゃんの耳元に顔を近づけて、何かをささやきました。すると、恵美ちゃんはなぜか、ちらっとわたしの方を見て、うつむきました。それから「できません」って言うように、恵美ちゃんの唇が動いたように見えました。
 でも、また先生に何か言われて、恵美ちゃんは今度は納得したようにこくんとうなずきました。その後、なぜか両手を広げて、指先を兵藤先生に脱脂綿で拭いてもらっていました。
 何を話してたんだろう……もしかして、また何か変なことされるのかな……

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