清めの時間
ドロップアウター:作

■ 34

 ティッシュペーパーをつまんだ右手を手前に何度も引くようにして、鈴木は玲の愛液を吸い取っていった。その度に、玲は「くふっ……あぐっ……」と苦しそうにうめいた。
 それでも、玲は鈴木の行為に全く抵抗する素振りを見せなかった。はじめは嫌そうに口元を歪めていたけれど、すぐに肩の力を抜いて、恥ずかしい体を無防備にしてしまった。それどころか、鈴木が股間を拭きやすいように、腰を少し浮かせるようにさえしていた。
 きっと、何をされても耐えるしかないと心に決めているのだろう。それが「清めの時間」のしきたりだから、どんなに嫌なことでも受け入れるしかないのだと……
 愛液をあらかた拭き取った後、鈴木は脱脂綿を右手につまんで、玲の股間を軽くなでるようにした。
「んひゃっ」
 玲は、アルコールを湿らせた脱脂綿のひんやりとした感触に驚いたのか、かん高い声を上げた。
「あっ、あぁぁ……んあっ」
 鈴木は、少女のもだえる姿を楽しむかのように、股間のワレメの中にまで脱脂綿を持った指先を差し込んでゴシゴシと強くこすり始めた。
「あぁ、んひゃっ……くふっ……あぁぁ……」
 玲の痛々しい泣き声が、少しずつ、快感と苦痛にあえぐような妖艶な声に変わっていく……
 私は、ちょっとした意地悪を思いついた。上から顔をのぞき込んで、少女の名前を呼んだ。
「北本さん」
「ハァ……ハァ……はっはい……んあっ」
 玲は、体の敏感な箇所を刺激されて、今は声を発することさえままならなくなっている。それを知った上で、私はわざと話しかけた。
「まだ、おしっこは出てこないの?」
「あっ、ハァ……ハァ……ハァ……んひゃっ」
 今も、玲は鈴木に股間を弄られ続けている。そんな状況でもちゃんと質問に答えようとするのか、確かめたくなったのだ。この少女が、どこまで従順でいられるのか……
「どうしたの?」
「い、いえ……んひゃっ……ま、まだ……お、おしっこ……んあっ」
「何? ちゃんとはっきり聞こえるように話してくれる?」
 普段は何でもないことであっても、今の玲にとっては過酷な要求だ。
「はっはい……あっ、んあぁ……お、おしっこ……まだ……」
「おしっこが、何なの?」
「ま、まだ……あぁ、んひゃっ……まだおしっこがしたくならないんです……くふっ」
 玲は、苦しそうに息を弾ませながら、それでも懸命に質問に答えた。その健気さに、私は満足した。
 そして、玲はくっと息を呑んで、ぽつりと言った。
「ごめんなさい……」
 思わずため息が漏れた。自分にこれだけの辱めを与えている相手に、「ごめんなさい」なんてどうして言えるのか。しかも、口先だけでなく、心の底から申し訳ないというような表情で。
 この少女には、最後まで従順なままでいて欲しい……私は、そんなことを思った。

 五分くらい経って、鈴木先生がやっと股間を拭くのをやめてくれました。ティッシュペーパーや脱脂綿で、おしっこの出る穴の辺りを強くこられるのが、痛くて……先生が手を離した後も、まだ少しうずいていました。
 どうせなら、もう少し優しく拭いて欲しかったです。強く拭いたら、股間を指で刺激するのと同じような感じになってしまうから……拭いても拭いても、ぬるっとした液がどんどんにじみ出てきてしまいます。先生がもう少し力を抑えて拭いてくれていたら、こんなに時間をかけなくて済んだのに……でも、先生は男の人だから、女の子の体のことをよく知らなくても、仕方ないですよね……
 わたしは、顔を地面に少し傾けて、ため息をつきました。

 いつまで、こうしてなきゃいけないんだろう……
 こんなに嫌なことされたの、初めてです。あのプールの時よりも、ずっとつらくて、恥ずかしくて……わたしは、そろそろ限界です。それでも、まだ耐えなきゃいけないのでしょうか。このままだと、本当に心のどこかが壊れてしまいそうで……

「北本さん」
「……はっ、はい」
 ふいに呼ばれて、びくっとしました。兵藤先生が、わたしのお腹の横でしゃがみ込んでいました。
 先生は、右手に一枚のビニール袋を持っていました。わたしの目の前でビニール袋を開けて、中から注射器とピンセットを取り出しました。
「ちょっと待ってね」
 そう言って、先生は注射器を、わたしの目の前にかざすようにしました。注射器の先に、細い管がついているのが見えました。
 また、何か変なことされるのかな……わたしは不安になって、兵藤先生に聞きました。
「あ、あの……何をするんですか?」
 兵藤先生は、まだ仰向けに寝て足を開いているわたしの顔をじっと見て、低い声で答えました。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊